※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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370話 その手を無理矢理にでも

 緑谷、渾身のバイオレントラッシュが……AFOの身体に亀裂を走らせ崩壊していく。

 

「個性が……崩れてゆく」

「やったのか、緑谷!!」

 

 崩れていく、AFOの肉体。しかしーーその崩壊する肉体が、自らまた継ぎ接ぎになりながら必死な様相で繋がりだした。

 

 まだだ!ぎょろりと白目が緑谷へ向けられた。

 

「まだ、何も為してない!!」

「こいつ!?まだ!!」

 

 なんて執念だと、個性で肉体をつなぎ合わせてまだ食らいつく様に、いい加減倒れろと悪態を吐く緑谷。

 

「僕だけが夢を為す!誰にも…継がぬ!紡がぬ!!魔王は常に唯一!!」

 

 AFOが、最後の悪あがきと身体を保つ。そしてーーああと、目の前に追撃を放とうとする緑谷向けて手を伸ばした。

 

 そうだ、お前にも……与えていたではないかと、手首で塞いでいた口元を笑みに歪ませた。

 

「その体を寄越せぇ!失敗作!!」

 

 緑谷出久、目の前にある、志村転弧と同じ自身の因子を保有する肉体!こいつに自らを与え、支配しなおせばと身体が飛び出し緑谷に向かって手を伸ばした。

 

「いい加減にしとけよ!AFO!」

 

 失敗作呼ばわりした輩に頼るか!右の拳を振りかぶり、振り抜こうと放った緑谷ーーだが。

 

 その右手が、目の前で広がった黒い靄に囚われた。

 

「ああ畜生!!やっぱり!!……どこまでも!!手ぇ、差し伸べちまうんだよ、あいつは!!」

 

 黒霧の『ワープゲート』が、緑谷の一撃を阻んでしまった。プレゼント=マイクが、まるでそうするのが見えていたとばかりに叫ぶ。

 

 最後まで、黒霧は死柄木弔の忠臣だった。

 

「オール……フォー……ワン……死柄木、トムラを、返しテください……オ友達ガ、待っているんでス」

 

 死柄木弔を守る為、その為だけに黒霧は動いた。ワープホールが閉じる、引き抜かなければ、腕が切り落とされるが間に合わないと、覚悟を決めた緑谷。

 

 そこに、やかましい音と熱が放たれ。ワープゲートが粉砕された。

 

「轟のジャンプ台、借りたけどよ〜〜〜〜俺に追い越されてんなよ!出久!!」

 

 爆豪が、あの満身創痍の中、ワープゲート無しに自身の力だけで、この場に辿り着いたのだった。

 

 最早、阻む物は、何一つ無い。

 

「AFO……!!お前は絶対許しはしないーー理解してやるほどの慈悲も!僕にはもう無い!!」

「や、やめろぉおおこの、失敗作ドモがぁああああ!!」

「魔王らしく、ここでぇ!!死んでいけぇえええ!!」

 

 放たれた、最後の一撃。AFOが見たのはーー消え去ったはずの志村転弧と共に、拳を叩き込む、緑谷出久であった。

 

 

 

『はっ、結局俺は……お前の言った通り……泣いているガキだったって事かーー』

 

 現実と精神の狭間、砕け散るAFOから現れた死柄木が、拳を合わせて緑谷にそう語る。

 

『この手は……壊せなかった』

「やった事は許せない……けど、僕が許すなんて言える立場でも無い……こうなる前に出会えたらと、真に思ってる」

 

 泣いたガキの癇癪が、日本崩壊手前まで悪意を伝播させ、利用されてここまで至った。こうして皆の代表みたく語るけど、過去は決して消えないが、その時に会えたら違っただろうと緑谷は……消えゆく転弧に語る。

 

『……緑谷出久……スピナーが生きてたら、伝えてくれよ……死柄木弔は、最後までーー』

 

 最早時間も無い、たった一人の友人に、遺言を伝えてほしいと、死柄木弔が言おうとした。

 

「断る」

『は?』

 

 だが、緑谷は断り……死柄木の手を無理矢理に握った。

 

「お前、僕が誰だかわかってる?イーヴル・ヒーローだ、普通の正義のヒーローじゃない……死んで楽になんて思うなよ」

 

 普通の正義の味方なら、その遺言を託されてもいいが、僕は違うんだよと笑う緑谷。それに対して死柄木は呆れた様に笑った。

 

『……最後まで容赦ないな、お前は』

「自分で言え、後始末しろ、だから……」

 

 こっちに来い、死柄木弔。

 

 有無を言わさず、緑谷出久は、死柄木弔の消えゆく体を『引き寄せた』。

 

 

 

「おーい、それ、こっち寄越してくれ」

「あ、助かります」

 

 AFOとの戦いを終えて……一週間が経過していた。蛇腔での戦いから手付かずだった復旧作業が、急速に進んでいる。

 

 戦いの後、アメリカをはじめ多くの国から、たくさんの支援が続々と届いている。世界中からヒーローが駆けつけて、日本復興に力を貸してくれていた。

 

 超常以前ならば、この大規模の復興には10年はかかるだろう。しかし、様々なヒーロー、ボランティア、支援によって……戦いの傷はーー。

 

 

 

「元には戻らないですねーー」

 

 セントラル病院、ベッドに寝転がり点滴や酸素吸入機に繋がれた爆豪勝己は、両親と共に手術を担当した吉田竜ドクターの宣告を聞いた。

 

「手術前にもお伝えしましたが、それが最善です……我々も彼の活躍を見ております故…手は尽くしました……なんとか接合に接合を重ねて形は留めましたが、リハビリで動く様になるかは……明言できません」

 

 爆豪の右腕は、死柄木弔により粉砕された。そして、死から甦り最後まで戦った。最早原型を留めないほどながら、なんとか形を留めた。

 

 だが、動くかは分からない。骨も、筋繊維から神経までズタズタで、まず形だけしか治せなかったと吉田ドクターは言う。

 

「ヒーロー活動を見据えるなら、ミルコの様に義肢の選択も……」

「いーや、いいよ……俺の個性、掌由来だもん」

 

 ヒーロー活動を続けるなら、切り落として義肢にしてサポートアイテムを取り付ける方がいい、共に戦ったミルコの様にと勧められた爆豪は拒んだ。

 

 自身の個性は掌の汗腺が由来する。今は全身から出せるが……それでも諦めなかった。

 

「どんなキツイリハビリだろーが、やってやんぜ今すぐーー!」

「まだ負担の軽い訓練しかダメ」

「ハッ!!」

「腕よりねまず心臓よ、キミは」

 

 リハビリも乗り越え完璧に復活してやると意気込む爆豪だったが、早速と宣ってできるわけないだろうと吉田ドクターは諭した。

 

「エッジショットの見事な縫合と心肺蘇生がなきゃ、キミ死んでたんだから」

 

 そもそもキミは心臓に穴が開いて死にかけたのを、エッジショットが救ったんだから、絶対安静の重症なのを忘れるなと言い聞かせた。

 

 

「……気分はどうだい緑谷少年」

「こっちの台詞なんですけどそれ……こんなボロボロになって、無茶しすぎですよオールマイト」

 

 また別の病室。緑谷出久は、オールマイトと同じ病室で寝ていた。両手足がギブスに、様々な機械にに繋がれながら心配しているオールマイトに対して……緑谷は点滴一つだけ、包帯すら無いと言う姿だった。

 

「すぐにでも退院したいですよ、病床足りないらしいですから……」

「まだ衰弱してるって話じゃないか、寝てなさい」

「はい……オールマイト、身体は……」

「こんなにボルト入れるの初めてだって言われたね……緑谷少年は?」

「外傷はもう……無いです……死柄木と同じなんだと」

 

 上半身を起こして、左前腕を眺めながら緑谷は答えた。

 

 緑谷出久は、AFOとの戦いの傷はたった一週間で癒えてしまっていた。

 

リカバリーガールが来たわけでは無い……その肉体自体が……『人から外れた』としか説明のしようがない回復力だった。

 

「戦いの中で……何というか、境界線が頭の中に見えたんですよ……これ超えたら戻れなくなるって、死柄木倒すために踏み越えて……そしたらお医者さん、僕が脳無と人間の境界線みたいな身体になってるって言いました」

 

 医者から、常人ならざる治癒力がどこから来てるのか診断された結果……緑谷出久は『死柄木弔』と同じ『マスターピース』と類似した形になってしまったと宣告された。AFO因子が、度重なる戦いの果てに緑谷出久の肉体を進化させ、細胞から何まで作り変えてしまったと。

 

 異形の個性ですらない、現人類の範疇から外れた『怪人』に、緑谷出久はなってしまったと言うことになる。

 

「大丈夫なのかい……?」

「今のところは……」

 

 オールマイトは、教え子にどう言葉をかけるべきか分からずただそれだけしか言えなかった。

 

「あのまま、死柄木みたいに化け物に成り果てるのかと思いました……けど、歴代の継承者が、寸前で引き戻してくれたのかもしれないです」

「という事は……」

「はい、OFAは……AFOと共に消え去りましたーー」

 

 そうオールマイトに、伝えた瞬間にドアが開き、声が病室に響き渡った。

 

「なんで動けるのあんたぁあああ!!?」

 

 爆豪光己、爆豪の母親が絶対安静の爆豪を引き留めていた。そして、呆けたように立ち尽くす爆豪勝己から、声が出る。

 

「消え去った……って……え?」

「ああ、かっちゃん……大変そうだね、寝とかないと」

「いや、お前……じゃあ……個性、無くなったのか?」

「うん??」

 

 緑谷は首を傾げ……あ!これかっちゃん入るタイミング間違えたなと即座に立って弁明した!

 

「ああ違う!消え去ったっていうのは!OFAと、AFOであって……えーっと!僕の個性はちゃんと残ってるから!?」

「お前……まじふざけんな……いやほんと、心臓に悪いわ」

 

 そう聞こえても仕方ないタイミングで入ってきたから、弁明して勝己は心臓に悪いと冗談にはならない言葉で胸を撫で下ろした。

 

「あーほら、病室帰りなよ?僕から後で尋ねるからさ……本当、生きててよかったよお互いにさ?光己おばさん、よろしくお願いします」

「ごめんね緑谷くんにオールマイトさん、ほらもう、帰るよ」

 

 爆豪を追い返し、病室のドアを閉めてから緑谷は、ベッドの縁に座って一つため息を吐いた。

 

「……言わないのかと、聞かないんですか?」

「今は言えないだろう……皆、傷ついてる……」

「そうですね、またしっかり皆が治ってから話します」

 

 自身の肉体の変化は、皆が治って元気になってからがいいとオールマイトも悟ってくれて緑谷は安堵した。

 

 皆頑張った、頑張って戦って疲れたし傷ついた。今は……休んで元気になろう。

 

 緑谷もそのままベッドに寝転び、眠りについた。

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