※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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エピローグ② 僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア

 スピナーとの面会を終えてから、緑谷出久は雄英高校へ登校した。これで、一先ずは区切りがついたし、覚悟も決めたと教室へ歩き出す。

 

 去年あたりのこの時期は『どんなヒーローになるか?』と悩んでいたのが懐かしいなと、まだ一年前をなつかしむ。ミッドナイト先生に相談して、グラントリノの下で励んだなと。

 

 そういえば……グラントリノの墓参りに行けていなかった事を緑谷は思い出した。

 

「オールマイトに聞いとかないと……うん?」

 

 花を買って、供えようそう決めて教室前の廊下にたどり着くと……騒がしさと、何やら数十人が屯していたのが見えた。

 

 見かけない顔の学生達だった、頭の中の雄英高校生データには無い。つまり入学してきた新入生のヒーロー科かと、そのまま近づいてみれば、飯田が何やら話していてその背後に轟と爆豪が隠れていた。

 

「憧れるのはいいが彼らも人間だ、集団で追い回されたら驚いてしまうよ」

「一人一人なら話せるんだが……」

「廊下を走ってたぜ廊下をよぉ!委員長!!」

 

 成る程、おっかけミーハーに追いかけられてたのかと、しゅんとする新一年生を諭す飯田が、緑谷の方に気付いて笑って声をかけた。

 

「緑谷くん!おはよう!用事は済んだのかい!」

「「「「え?」」」」

「うん?」

 

 緑谷に挨拶をした飯田、そして新一年生が緑谷の方に振り返ってきて、緑谷もその反応に首を傾げーー。

 

「うわぁああああ!?緑谷先輩だぁあああ!!」

「総員整列ぅう!!背筋を伸ばせェェ!!」

 

 1秒あったかなかったか、廊下の左右に新一年生がビシィイッ!!と整列して軍隊さながらの気をつけとなり道を開けた。

 

「えぇ……いや、何をそんなキミら……楽にしなよぉ」

「おう、ヴィラン恐怖の象徴、怖がられてんなぁ」

「笑わないでよかっちゃあん……」

 

 緑谷出久、この一年の活躍により見事『怒らせたらクソ怖い先輩』枠に納まった模様。悲鳴が違うじゃんと気を落とす緑谷に爆豪がケタケタ笑って、項垂れながら緑谷は教室に入ったが、ま、なるわなと心操ほかクラスメイト達は頷いた。

 

 なお緑谷出久は、この後『さらなる珍事』が全国に伝わり、一生その伝説を擦られつつさらなる恐怖を雄英どころか、全国に広めていく事になる事を知らない。

 

 

       ーー8年後ーー

 

 

『デビュー以降、目覚ましい活躍を見せるテンタコル、僻地などで見られる形質的差別由来の事件に尽力し、平和的に解決してきたその功績と影響にたたえ、イマムラ平和賞が授与されました』

 

『続いてはチームアップニュース!インゲニウム、フロッピー、クリエティが全国の小学校を巡ってます、ウラビティの打ち出した個性カウンセリング拡張計画はーー』

 

『男性からの支持圧倒的!漢!烈怒頼雄斗の意外なオリジンに迫ります!』

 

 超人社会が崩壊してから8年、日本はその傷をゆっくり癒していくように立ち直りつつあった。

 

 今でもヒーローは8年前の決戦から変わらず、日本中を駆け回り助けを呼ぶ声あれば駆けつける。

 

 ヴィラン犯罪は減少傾向にありながらも、エンターテイメントや、個性との向き合い方への為にヒーロー達が率先して活動していた。

 

『えー続きまして……因子怪人、因子怪獣情報です……神野にて怪人反応が見られたと、ヒーロー公安委員会から報告がありました』

 

 だけど、平和になったのかと言われたら……まだまだ先の話になりそうだ。

 

『個性が唐突に変容した、個性が突然強力になった、そのような異変が起きましたらお早めにお近くの病院、保健機関への相談をーー』

 

 ヒーロー達は、ヴィラン犯罪とはまた違う、新たな脅威の対応を求められていた。

 

『因子怪人、怪獣に遭遇しましたら、即座に避難するようお願いいたします』

 

 テレビのニュースを見つめながら……少年は取調室にてひたすら待たされた。

 

 彼の名前は……ダイとあだ名でクラスメイトから呼ばれていた。中学生で、今は受験を考える時期に来る中……彼は警察のお世話になっていた。

 

「どうしよう……こんな事になるなんて……」

 

 自身も、事態が飲み込めないし、こんな事になるなんて思わなかった。

 

 進路希望で、ヒーロー科を志望していた彼は、自身の個性が他と比べて強力じゃなかった為それを馬鹿にされて、衝突があった。

 

 学生による個性を使った喧嘩、小競り合い。珍しくも無いが……それが大惨事を起こしてしまったのだ。

 

「僕の個性、円盤だったはずなのに……手首を切り落とすなんて……」

 

 彼は、当初にある円の模様から、円盤を出すだけの個性であった。クラスメイトと喧嘩になり、相手も個性を使ってきて……それを仕返しになげたら……手首が切り落とされた。

 

 警察も救急も出動する大騒ぎの果てに、ダイは現在勾留されていた。知らなかったのだ、自分の個性がこんなに強力になっていた事に。

 

 だが、理由も理解している。

 

 8年前から、世界中で現れた……個性因子の化け物『因子怪人』に『因子怪獣』だ。

 

 かつて、イズク、大・爆・殺・神ダイナマイト、ショート……今の名だたるヒーロー達が若き学生の時代に打倒した『巨悪』AFO……彼が奪い、手に入れた因子達が世界中にばら撒かれ、その因子が普通の人間に取り憑くのだ。普通に生きている人々だけではない、死んだ人間……さらには因子自体が意思を持ち、暴れ始めたのだ。

 

 だから、突如個性が強まった場合……AFO因子が取り憑いた可能性がありとなって、即座に保険機関やヒーロー公安委員会に連絡が必要となっていた。

 

 多分、それだ、自分はと。どれだけの時間待っただろうか……面会室がノックされて扉が開く。

 

 そこに立っていたのは……警官ではなかった。

 

「やぁ、初めまして……キミがダイくんだね」

 

 ダイは唖然とした。

 

 なんで、彼がここに居るのだと。

 

「え、あ……イズク!?イーヴル・ヒーロー!!」

「まぁ、楽にしなよ……」

 

 イーヴル・ヒーローイズク。

 

『ヴィラン恐怖の象徴』『世界のヴィランが最も恐れるヒーロー』『情け無用の男』『首刈りイズク』『因子怪人第0号』『怪人、怪獣退治の専門家』

 

 そんなヒーローが、何故ここにとなったダイは理解して……即座に頭を下げて言い放った。

 

「どうぞ、死ぬ覚悟はできてます」

「何故!?いやぁ……懐かしいな、昔の僕みたいだ」

「え?」

 

 イズクに目をつけられたヴィランは、決して逃げられない。必ずその脊髄をぶっこ抜かれて退治されると、彼がプロヒーローになる前から誰もが知っていた。だから、ダイは死刑宣告と理解して首を差し出したのだ。

 

『悪い事したら、首を刈りにイズクが来るぞ』なんて、親に散々聞かされるくらいには。

 

 そんなイズクが笑顔で、フランクに話をし始めて、懐かしむ様子にダイは目を疑った。彼は何やら資料を眺めつつ、対面の彼に語りかける。

 

「警察から話聞いてさ、怪人案件かと飛んできた……で、キミの情報とか集めて、最近発熱があったとか、何か問題起こしたとか調べたんだ……まぁ、よくあるよ、喧嘩でのやらかしって……安心しなよ、キミはただ個性が強くなっていたのを知らなかっただけ」

 

 所謂、因子怪人案件と感じてわざわざ飛んで来たのだと、和かにそして安心して欲しいとダイに彼は語りかけた。しかし、ダイからすれば……怪我をさせてしまったクラスメイトが心配でしかたなかった。

 

「けど、僕はその……クラスメイトの手首を……わざとじゃなくてもそれは」

「あぁ、それ……」

 

 事件の内容も、聞いているとイズクは別の資料に目を移して、ダイに経過を伝えた。

 

「不幸中の幸いってやつだね、一切後遺症なく繋がるらしいよ?キミのその円盤……凄いな、黒曜石の切れ味を持った頑丈な円刃とは、細胞を切り離す切れ味なんて個性でしか再現できないんじゃない?」

「……けど、こんな問題起こして……もうヒーローにはなれないですよね、僕」

 

 今更になって、自分の個性が強くなっていた事実を知った。だけど、こんな大問題を起こした以上、ヒーローとしての道は閉ざされただろうと、ダイは自嘲する。

 

「何言ってるのやら……たった一回で?なるわけないでしょ?」

「え……」

 

 そんな自嘲に、緑谷は呆れながら語りはじめた。

 

「まぁ確かに……個性使ったやらかしは看過できない、けど……キミはわざとでもないし、反省の意思を示している……たった一度やらかしてヒーローになれないなら、僕なんかヒーローになれてないぞ、今でもやらかしてるの知ってるだろ?」

「ま、まぁそれは……」

「誰しも失敗するし、やらかしはある……次はそうならない為に、個性を良く知って理解して、使い方を学んだ人間がヒーロー免許を取ってプロになる……」

 

 イズクは立ち上がって、ダイの肩を叩いて告げた。

 

「大丈夫、僕が保証する、その反省の意思をしっかり相手に伝え、個性を理解し、熱意がまだ消えていないなら……キミは、ヒーローになれる」

 

 かつて、オールマイトに手を引いてもらった時のように、沈みゆく少年の手を、緑谷は掴んで引き上げた。ダイはしばらく固まってから嗚咽を漏らして涙を流した。

 

「さて……じゃあ君の親御さんと、怪我させたクラスメイトに親御さん、先生としっかり話をして許してもらおう……大丈夫、訴訟とかなったら僕の専属弁護士を紹介するからさ」

 

 

 

 かつて……平和の象徴として、人々に笑顔をと平和をもたらしたヒーローが居た。

 

 オールマイトは、その笑顔と大きな背中で、平和の礎として今もなお語り継がれている。

 

 彼が、次の世代へ託した火は……様々なヒーローに受け継がれている。

 

 その中の一人、オールマイトが引退した後、ヴィラン再起の時代を壁となり食い止めたヒーローが居た。

 

 オールマイトが、笑顔で民衆に平和をもたらしたならば。

 

 彼はその力で持って、ヴィラン達に『恐怖』をもたらした。

 

 そのヒーローは、オールマイトの宿敵が、戯れで産んだ化け物であったが。彼の手をオールマイトは引き寄せて、ヒーローの道に引き込んだ。

 

 悪に生まれようと、その力を正しく使えば、生まれも関係なくヒーローになれると彼を諭した。

 

 やがて、その化け物は、自らを産んだ宿敵を打ち倒し、意志を継いだ一人となった。

 

 彼の名前は、緑谷出久。

 

 またの名を。

 

『イーヴル・ヒーロー イズク』

 

 今日も何処かで、ヴィラン達の絶叫が。

 

 夜の街に響き渡る。

 

          『Finish Him!!』

 

 

     〜〜僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア〜〜

 

 

            完




次回!!8年後の飲み会編!?

そして……オリジナルの2年生編、開幕!!
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