【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
僕のノンアル飲み会だ!!
8年の歳月、思春期の子どもたちは皆大人となり、酒も解かれ責任ある宴も開けるわけで。
「えーでは!ぼくらの、轟焦凍がチャートNo.2にランクアップした事を祝しまして!!」
カンパーーイ!!
居酒屋『ヨリトリ橙』
かつての雄英高校一年A組達は、轟焦凍がヒーロービルボードチャート2位となったお祝いの為、集まったのであった。こうして集まったのは久々であると、グラスを掲げて皆が祝った。
「悪ィな皆、都合つけてもらって」
轟焦凍は、今回の主役だった。8年の歳月をかけて、父エンデヴァーと並んでNo.2にチャートを伸ばした。現在No.1ヒーローとなり、オールマイトの後を継いだ平和の象徴ルミリオンに迫る勢いを見せている。
「いーのいーの!口実口実!」
「そうだったのか……」
「言葉のアヤだぜ!?祝う気前提だよ!!」
上鳴電気が早速やらかした、かれもまたチャート44位と100以内に入る活躍を見せている。
「44位が2位になにしてんだよー!」
「やめよ!そういうの!」
瀬呂範太が何してんだよと上鳴のやらかしを揶揄った。彼も目覚しい活躍を遂げて36位に名前を刻み込んでいる。
「そうだよ瀬呂くん、上がる事は勿論立派だが、チャートも拡張と細分化が進み、以前ほど絶対ではないんだ」
「ええ、本当に……」
「順位だけでは測れないものもあるからな……」
「「立派だ」」
飯田天哉は、兄のヒーロー名を、そして事務所を継いでチャート13位の活躍を見せている。さらには、兄の前代インゲニウムも、ビッグイングとして復帰し、兄弟で事務所を盛り上げていた。
八百万百も19位と上位に、彼女は日本だけで無く方々世界を飛び回り、その個性を使い活躍している。
障子目蔵は異形の理解をヒーロー活動で行って、なんと9位にその名を刻んでいた。
そんな3人の大人びた余裕ある態度に、上鳴と瀬呂は二人重なって立派だと讃える中ーー。
「言葉は刃物だぞ……扱いに気をつけろ」
「ま、まぁまぁ」
「108位は充分上だよ……まーやらかしちゃったしねあんた」
峰田実、チャート108位。初のチャート入りであった……が、実は彼はもっと上に刻まれてもおかしくなかったのだ。
助けた女子高生に、電話番号聞いたがばかりに……それを週刊誌に掲載されたのである。それでもチャートに乗る時点ですごいのだが……。
それを嗜める芦戸三奈と、上鳴響香はそれぞれ28位、30位だったりする。着実に活躍していた。
「独立組は大変だね……」
「積極的に露出する感覚わかんない」
「ね!!」
口田甲司は、障子のサイドキックとして活躍し、チャートには載ってない。独立を勧められているが、障子のサポートとして頑張りたいとサイドキックとして働いている。
心操人使もチャート入りはしていない……が、それは日本での話。八百万同様彼は海外派遣でその実力を発揮し、ヨーロッパのチャートに実は名前が入っていた。彼はそこまで気にしておらず、師である相澤先生同様静かに、確実な仕事をしている。
葉隠透も独立組として活躍していた、順位は最初振るわなかったが、その容姿がバレて一気に人気を獲得して、39位にランクアップしている。
「しかしよく都合ついたよな、こうも短い間にまた集まれるとは……」
「ヴィラン犯罪は減ったけどさ、まだAFOの後始末が起こるとは思わなかったよ」
砂藤力道は、洗濯ヒーローウォッシュのサイドキックとなっていた……が『ある事件』のためアメリカに呼ばれた結果、見事な活躍でなんと『ヒーロービルボードチャートUS』つまりは、アメリカのヒーローチャートで27位に名前があがったのだった。
尾白猿夫は、地道に、堅実な活躍で32位にランクイン。派手な活躍はないが、しっかりと仕事をこなして信頼を勝ち取っていた。
「ところで……同胞は欠席か?」
「ウィ、そういえばまだ来てないね……」
常闇踏陰も、ホークスの弟子として仕事を継ぎ、時には公安の仕事もこなしている。そして、青山優雅はあれから再起し、ヒーロー免許を取得して葉隠のサイドキックとして頑張っていた。
祝いの席ながら、一つ空いている座布団に常闇は言う。緑谷出久は来てないのかと。
「出席するって連絡あったよな、総大将……爆豪しらねぇか?」
「ああ?こっちで合流って言ってたが……」
現地で合流すると聞いたと上鳴が尋ね、爆豪が言う。その時、宴会部屋の廊下から、板前が歩いて来たのだった。
「お待たせしました……こちら舟盛りでございます」
「うおおすげぇ立派だ!?誰か頼んだんか!!」
「え!?頼んどらんよ!!」
切島が予約したコースには無い、舟盛りが轟のテーブルに置かれて、驚いた。頼んで無いよなと、上鳴が慌てる中で……爆豪は目を細めて口を開いた。
「何やってんだ、出久テメェ……」
「あ、バレた?」
板前の帽子を脱いで、てへ!と舌を出した緑谷出久が、笑いながら現れたのだった。
「総大将!来たんだな!てか、この舟盛り何!?」
「いやー、轟くんがチャート2位になったお祝い開くってなったらさ、そりゃあ……盛大に祝いたくて……釣って来ました、鯛」
釣って来た!?買って来たとか頼んだじゃ無くて!?一同が騒然とする中、轟は相変わらずそのまま受け取ってお礼を言うのだった。
「緑谷が釣って来たのか……そこまでしてもらって、悪いな」
「ささ、どうぞどうぞ轟くん、主役から食べてやってください……あ、あとプレゼントに蕎麦ーー」
「蕎麦か?」
さらにプレゼントとして蕎麦まであるのかと、轟は目を輝かせると、廊下に鎮座している石臼を緑谷はみせたのだった。
「を挽く石臼と蕎麦の実他、手作り蕎麦入門セットを持って来ました」
「持って帰れねぇわ!重てぇだろ!?」
「大丈夫だ、ちゃんと車で持って帰る」
「お前蕎麦になるとIQ下がるキャラだったか!?」
持って帰らないわけなかろう、必ず持って帰ると轟は目を輝かせて喜ぶのだった。
「緑谷よく来たな、色々多忙で来れないと思ったよ!」
「同胞よ、まずは駆けつけ一杯」
「あ、ありがとう常闇くん」
爆豪の隣に板前姿のまま座った緑谷を切島が歓迎して、後ろの常闇がノンアルコールビールの瓶とグラスを注いで、早速としきたりの如く飲み干した。
「はー……苦いだけと思ってたのに美味しいや……」
「テメェ飲む酒コーラ割りとかでビールあまりだったよな……出所明けの酒は美味いかよ、種馬ヒーロー」
「ぐっ!!?」
「おい爆豪、やめてやれって……緑谷ちゃんと責任とったんだからよ」
早速気持ち良い一杯に痺れていた緑谷に、隣の爆豪はニヤニヤしながら出所明けの酒は美味いかと聞いて、緑谷は硬直して切島がやめてやれと流石に待ったをかけた。
「まぁあれだ、世間は許さないが俺らは分かってるから……心配すんな緑谷」
「まーね、むしろ安心したっつーか!ちゃんと子どもつくれたし因子もなかったんだろ?」
「ありがとう、轟くん、上鳴くん……いや本当、責任は取ると二人にはちゃんとしたから」
しおしおと枯れたような髪の毛になる緑谷……席についた轟と上鳴にフォローされたが、背後から迫ってきた一つの影が緑谷の首を締め上げた。
「おいらは許してないからなぁ緑谷ぁ!ミッ先孕ませた挙句メリッサさんも娶るとかなんなんだよ本当!しかも形だけとはいえドバイで3人で結婚式を挙げたとかふざけとんのかお前はぁ!!ハーレムじゃねぇかよぉ!!」
「峰田くん!?ちょっ、やめ!?ギブギブギブ!!」
「デスマッチだから止めねぇぞ出久、やったれ峰田」
「た、たーすけてーー!」
この8年間、緑谷出久にも色々あった。その中で世間を騒がせた事件はいくつあったか……ヒーロー界を震撼させたのは、やはり……。
『ミッドナイトを孕ませた』
だろう。
卒業後も、緑谷出久はミッドナイト事、香山睡とセフレのままだった。しかし、お互い間違いはないようにと避妊は注意していたのだ、それが4年前……そのあらゆるエチケットを乗り越えた小数点の確率で、ミッドナイトは妊娠した。
ミッドナイトのファンは怒り狂い、イズク事務所に連日ゴミが投げ込まれる大炎上となったが、正式な認知をお互いが取り、炎上は緩やかに消え去った。
そして2年前、緑谷はアメリカの大事件に招集されこれを解決。アメリカの州が一つ消え去る大惨事を、あやうく死にかけながら解決した緑谷は、メリッサに介抱されて完治した後、日本に帰国。
その三ヶ月後、メリッサから妊娠のメールが届いた。メリッサが介抱している間……眠姦されていたのである。
緑谷出久は……現在二人の妻と、二児の父を持つ『種馬ヒーロー』という蔑称を世間につけられたのであった。
「そのへん、どうなの上鳴夫妻?結婚してみて」
そんな騒がしい緑谷達を他所に、瀬呂は上鳴電気と、上鳴響香に尋ねた。結婚してから生活はどうなのかと。
上鳴電気と耳郎響香は、プロとなった後……独立後に二人は結婚したのだった。
「まぁ付き合いと違うからねー、一緒にとなると嫌なとことか分かるし、いいなってのもあるよ」
「いや本当、じ……響香には頭上がんないよ」
「尻に敷かれてんのなぁ……」
結婚生活はうまくいっているらしい、尻に敷かれるのがちょうどいいのかもしれないのかと、瀬呂はグラスを傾けた。
「そ、そういえば……轟くんはどうなのさ、ほら……クノイチヒーローのあの人と」
峰田のスリーパーから逃げた緑谷は、話を逸そうと轟に尋ねた。女性関係はどうなのかと。
「ん、ああ……色々お互い整理ついたから式を挙げる予定だ」
「あ、そう……え!?」
そして唐突な爆弾発言に、雄英A組は皆轟の方に顔を向けた。
「あ、そうだった……この場で言うんだった……俺、結婚する事になったんだよ」
「「「「「うぇえええええーーー!?」」」」」
耳郎と上鳴に続き、轟も結婚を決めたと聞いと一同が騒然となった瞬間ーー全員のスマホに警報が鳴り響いた。
そして、その音だけでただの宴の集まりから、眼差しが一気に切り替わる。
『因子怪獣の発生を確認、近隣の住民は避難を、ヒーロー達は出動されたし』
祝いの席に無粋なと、緑谷は板前服を脱げば、その下は既にヒーロースーツを身に纏って、中庭に飛び出した。
「本当……いつでも現れるな、お前らは!!」
空を舞う幾つもの影、そして彼方に見える巨大な顎を持ち咆哮を放つ、ヴィランではない新たなヒーローの敵を前に、A組達は全員緊急出動したのだった。
「俺が最後決めた」
「いやほんと、助かったよ」
目の前の怪獣は、その姿を鮮やかな紅の血晶と姿を変えて、暴走を止めた。
緑谷は、その結晶から特に濃く、蠢く細胞片のような物を取り出して、踏砕けば……結晶は弾けるように消え去った。
「因子怪獣……AFOの奪った個性が意思を持った怪物……まだまだ居るんだな」
「世界中にね、あの日……倒して散り散りになった個性が、世界に散ってこうなるなんて……」
「卒業してすぐ事務所建てたのも、テメェ一人ですぐ動くためだったかな」
ヴィラン犯罪が減少する中、ヒーロー達は新たな敵と戦っていた。
それが『因子怪人』であり『因子怪獣』
AFOの奪った個性因子が世界に散り、それが意思を持ち人々に取り憑いたり、因子そのものが姿を作り暴れ出すのだ。
それを利用するヴィランも居る、さらには、AFO復活を目論む信奉者も。
緑谷出久は、それらにいち早く対策と駆除の為に、卒業してすぐに独立して事務所を建てた。自身がAFOより生まれた、同じ化け物として、責任を果たす為に。
「僕が生きている間に、この仕事は次世代には残さないようにしたいね……」
「テメェ一人でできるかボケ、俺ら全員でやるんだよ」
「一人で背負うのは無しだ、緑谷」
また一人でお前はと呆れる爆豪に轟、他の面々も後処理で警察に報告やら交通整備を行っていた。
「さて、とりあえずお店にお金を払いに帰ろうか」
「安心しろ、出る時に俺払っといた」
「はぁ!主賓が!?割り勘に決まってんでしょ!」
さてタダ飯食い逃げはまずいと居酒屋まで帰ろうとした緑谷に、轟は既に払っといたと言えば、芦戸がそれはダメだろと皆を呼んで会費を轟へ次々手渡した。
そうして、轟のお祝いはここで解散となり、皆が次々帰っていく。
緑谷も、久々にプライベートを楽しめたと、スマホを取り出して電話をかけた。
「あ、睡さん?ごめん……ちょっとアクシデントで、すぐ帰るよ」
『あら、早いわね……まだ楽しんでいいわよなんなら明日の朝まで』
電話口で聞こえる、愛してくれる女性から、まだ楽しめばいいのにと笑いながら言われた緑谷は苦笑する。
「そういうわけにはいかないよ……子どもも居るし、任せっきりには……」
『あーちがうわ出久、そうじゃなくて……』
「え?」
『楽しんできなさいって事』
「一体どういうーーーはうっ!?」
その瞬間ーー緑谷出久の身体に電流が走り。前のめりに倒れて痙攣したのだった。
「8年、いや7年待ったよイズクくん……」
「次は、私たちの番ですわ」
背後から聞こえた二人の声を聞いて、緑谷は薄れゆく意識の中、浮いた身体を運ばれてタクシーに叩き込まれた。
爆豪は、その姿を見送り十字架を切り、祈りを捧げて新車に乗り込んだのだった。
そして三ヶ月後ーー。
ウラビティとクリエティが、同時に妊娠報告。
相手はイズクであり、緑谷は4人の妻に4児の父親となるのであった。