【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
幕間 ◯◯◯◯っぽい、ヒーローランキング
『ヒーロービルボードチャートJP』
それは、一年に二回、上半期と下半期に提示される日本国内のヒーロー番付である!
死柄木、AFOとの戦いによりヒーロー社会が崩壊した為、今年の上半期は投票も集計もできず下半期に見送りされ、調整中という形になっていた。
一方で……ヒーロー達にこんな『ランキング』をつけられているのを見たことはなかろうか?
例えば……"ヴィランっぽいヒーローランキング"とか。
この各部門を作り上げて表彰しているのは、日本政府ではなく、ヒーロー雑誌で不動の地位を確立している『ヒーロービジュ』という、ヒーロー雑誌である!
ヒーロービルボードチャートに合わせ、上半期と下半期でこちらも様々なヒーローを部門ごとに、読者アンケートやネット投票にて集計して表彰しているのだ。
ヒーローは公務員でありながら、自営業の側面を持ち、芸能人としても扱われる存在で、この雑誌にランキングされる事は、今後のヒーローとしてのあり方や方針、人気を示す指標ともなる。
さて……今回は、緑谷が京都に復興支援に送られる前のちょっとした事件の話になる。
そして……この一件以降、緑谷出久が『ヴィラン恐怖の象徴』として、日本国民及び日本ヒーロー界隈にその存在を知らしめ、再認識させるのであった。
「おぉおい!?皆見たか!!今月のヒーロービジュ!!」
新しい雄英2年A組教室に、朝から騒がしく登校して来たのが、峰田実であった。もう大半が登校済みな為、入って来た彼に何だ騒がしいとA組面々が目線を向けた。
「何だよ峰田そんなに慌てて、女性ヒーローグラビア特集でもあったか?」
朝から騒がしいなと笑いを含みながら瀬呂がどうしたと尋ねた。まぁ、峰田がヒーロービジュをわざわざ買ってまで話題にあげる事となればエロ方面だろうなと、朝の話題にはいいかもしれないと傾聴する。
「いや、ヒーロービルボードチャートはやらなかったけどよ、ヒーロービジュの部門ランキングはやってたんだよ!」
「えぇ!このご時世に投票とかしてんの!?」
「商魂逞しいなぁおい……」
ヒーロー社会の崩壊もあり、今年の上半期ビルボードチャートは出せるはずもない状況にあった。しかし、ヒーロービジュはなんと上半期部門ランキングを集計していたらしい。この情勢でもやったのかと、上鳴は驚き、聞いていた切島も同じく唖然とした。
「で……グラビアとかじゃなくて部門ランキングの話題?何かあったのか?」
そして峰田が、女性ヒーローのグラビアとは違う話題で朝から騒がしい事に少し気になった瀬呂は改めて何があったのかと尋ねれば、その見せたいらしいページを開いて机に置いたのだった。
「ほら……ここ!」
「あー、部門ランキング?それが一体……!?」
峰田が開いた、恒例の部門ランキングのページ。その一つを指差して、瀬呂が目を向けて少し間を置いて……目を見開き黙り込んでしまった。
「おいどうした瀬呂?何かあったのか?」
瀬呂が黙って余程の事があったのかと上鳴が尋ね、無言のまま峰田の開いたページを指差した。何も言わない、ただ見てくれと目線と指のジェスチャーに、上鳴は何なんだ一体とその指を追い目線をそこに注視した。
その表情が唖然の一色に染まるのは、数秒も掛からなかった。
「は、え?上鳴どうしたよ……」
上鳴まで無言になったので、いよいよ何があったのかと切島もヒーロービジュの開かれたページを覗き込み、そして同じく表情が驚愕に染まった。
「おはようー……あれ、どうしたの固まって」
そして、緑谷出久が教室に入るや、ふと集まって何やら硬直している峰田達を見かけたので……声をかけた。そして一斉に、緑谷に反応して振り向いた。
「おおう……ど、どうしたの皆して……何かあった?」
「み、緑谷……これ」
峰田から、恐る恐る渡されたヒーロービジュに、緑谷はああと頷く。
「あ、ヒーロービジュ発売されたんだ今月!まだ買ってなかったなぁ、というか部門ランキングやったんだこのご時世で……」
「総大将、ちがう、そうじゃない……」
まさかこのご時世だし発行すらしばらくないと思っていたが何と逞しいと渡されたヒーロービジュを読む緑谷。丁度部門ランキングが開かれたページを見るが、そうじゃないと上鳴に言われて、何が?と何とも純粋な目で見つめて……それからもう一度確認して……。
「あ……凄い!かっちゃんがカッコいいヒーローランキングで5位に!?仮免なのに凄い!やっぱりあの活躍を見てる人は居たんだなぁ……」
驚いているのはこれか!と『かっこいいヒーローランキング』に仮免で入賞している事に、緑谷は嬉しくなった。やはりあの戦いを見ていた人は居た、ビルボードチャートと違い、仮免でも活躍したらランキングに入るのがヒーロービジュの部門ランキングだから面白い。
が、ここで緑谷はある部門に目が向いた。それが『ヴィランっぽいヒーローランキング』であった。
このヴィランっぽいヒーローランキング、中々順位が変わらない事で度々話題に上がる。緑谷がヒーロービジュの部門ランキングを知り、このランキングを知ってからずっと一位は『エンデヴァー』で、二位と三位は『フォースカインド』か『ギャングオルカ』の2人が入れ替わる、不動のランキングであった。
「えーっと、ヴィランっぽいヒーローランキング一位は……」
まぁ変わらないそのままだろうと、緑谷はそのランキングを見た瞬間……氷ついた。そのランキングには、こう記されていた。
一位……イズク(初ノミネート)
二位……エンデヴァー(ランキングダウン)
三位……ギャングオルカ(ランキングダウン)
自分のヒーローネームが……不動の順位を追い抜かして、そこに刻まれていたのだ。
緑谷は、一度そのページを閉じてから……もう一度開き見間違えかな?と確認して、やはり名前を刻まれていたので、また閉じて……表紙を確認しながら力なく笑いつつ峰田達に言った。
「あはははは、いやー……これ、ジョークグッズ?よく作ったねキミら」
よくまぁできた嘘雑誌を作り上げたねと、現実逃避した緑谷に瀬呂が首を横に振り、伝えた。
「緑谷、それちゃんとした今月号、マジで」
本物の、今月号のヒーロービジュで間違い無いよと諭された緑谷は、もう一度開き、部門ごとのコラムがあるので、それも目で追って黙読した。
『不動のランキング崩れる!最凶のヒーローイズクが、ヴィランっぽいヒーローランキングにて、初ノミネート一位戴冠!!』
・このランキングが遂に崩れ去る日が来ようとは思わなかった!エンデヴァーがここ数年鎮座し、それをギャングオルカ、フォースカインドが追うという当社の『ヴィランっぽいヒーローランキング』にて、あの雄英が育てた対ヴィラン最終兵器であるイズクが!なんとまだ仮免でありながら一位にノミネート!!
しかも!!前代未聞のエンデヴァー達プロヒーローの常連組を圧倒的に上回り、なんと『一桁超え』での一位なのだ!!この得票数はかつてのオールマイトが『かっこいいヒーローランキング』で一位を獲得して以来の事で、まさかそれがこのランキングで起ころうとは思いもよらなかった。(ヒーロービジュ編集談)
以下、投票者の声。
・この子がヒーロー側であってよかったと、安堵している。
・個性からして最早ヴィラン、恐ろしすぎる。
・ヴィランがヒーロー免許交付されているだけのような……。
・絶対的な力と恐怖の前には悪も無力なんだなと。
・その個性と強さと冷酷さが、逆に安心する。
・生で彼を見かけましたが、残虐すぎる。よく彼に仮免を交付したなと……。
・ヴィランに堕ちた知り合いが、精神病棟送りになったと聞いて唖然とした。
・死ぬか精神病棟かICU行きはヴィランの所業なんよ
・ちょっとぶっこ抜きは一度体験してみたくはある。
・わがまま言う我が子に『イズクが来るよ』と言ったらスンと大人しくなった。
・死ぬか引退まで、彼が一位なんじゃないかな、この部門……。
緑谷は、ある程度この部門に自分が関わるだろうなと覚悟していた。個性然り、活動方針然り……。けどそれは、プロデビューしてからだよなと身構えてすらいなかった。
「まだ、先だと、先だと僕は……マジかよぉ……」
「ま、まぁその……良かったじゃん総大将、これでプロ前から名前売れてさ?爆豪は五位だけど総大将は一位だぜ!?」
「そんだけ緑谷の姿がさ、ヴィランを抑制すると考えたらいい事だと思うぜ俺は!」
「フォローになってないよぉ……」
崩れ落ちる緑谷に、上鳴と切島がフォローに入る。ヒーロービジュを持って来た峰田、そして瀬呂は『まぁ、妥当だよな』と、緑谷のこれまでのヒーロー活動や活躍からしたら、それはそうなると頷くしかなかった。
そして……緑谷出久こと『イーヴルヒーロー イズク』は、これ以降プロデビュー後もヴィランっぽいヒーローランキングにて一位を防衛し『殿堂入り』を果たすという伝説を築き
あげるのは、数年後の話であった。