【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
尋常ならざる叫びを聞いた瞬間、ジュウモンジは走り出し、緑谷は即座に引き寄せで空へ跳んだ。
「すまない!すぐ追いつく!!」
「はい!!」
叫びの下へ早く向かわねばならない以上、プロも仮免も関係無い。早く辿り着ける緑谷へ、すぐ追いつくからとジュウモンジは託した。
京都の街を、空から見下ろせば所謂碁盤型になっているのが見える。本当に航空写真通りきっちりしてるなという反面、大戦と荒廃からの影響もあり、明かりが少なくて空から絶叫の震源を見つけるのは無理かと、家屋の屋根に着地してそのまま駆け抜けては飛び移る。
早く、早く行かねばと書ける最中ーー。
「ぐぁああ!?」
短い、より近い場所で呻きを聞いた緑谷は道路に降り立ち、声が聞こえた小路に曲がって入った。
「!!」
結論から言えば……緑谷出久は『間に合わなかった』あの最初の絶叫で、もう終わっていたのだ。
うつ伏せに倒れている……夜中を歩いていたのだろう一般人の頭部と、身体が分たれた死体は未だに断面より血を吹き出し……家屋の壁にもたれかかった端正な顔のヒーローは、体を肩から腰まで袈裟にばっさりと斬られて血を流していた。
「大丈夫ですか!?しっかり!!」
「うう……」
出血がひどいなんてものじゃない、臓腑が飛び出してないのが奇跡だと、緑谷はベルトに取り付けた緊急治療キットを取り出した。
「イズク!どこだ!!」
「こっちです!!死傷者1名に怪我人1名!」
追ってきたジュウモンジも辿り着き、その光景に言葉を失う。すでに一人首を切り落とされ殺されていたという事実、そしてなによりーー。
「コウシロウ!?お前……大丈夫か!!誰にやられた!!」
「う……あ……」
ジュウモンジの知るヒーローらしい、身体を抱き上げて誰にやられたんだと尋ねるジュウモンジに、緑谷が待ったをかける。
「動かさないで!救急車を待てない……止血したら僕が運びますから、ジュウモンジさんは警察を!」
怪我人を揺らしてはダメだ、更に救急車を待ったら間に合わないと、緑谷はコウシロウなるヒーローをとりあえず、止血用ホチキスで傷を止め繋ぎ、背中に抱えた。
まさか1日目から、ヴィランの徒党に襲撃されるはヒーローが大怪我して、一般人の惨殺死体を見る事になるとは、緑谷は大怪我したプロヒーローを抱え跳躍し、指定の病院へ向かった。
1日目からまさか徹夜になろうとは……大怪我をしたプロヒーローを病院に運び、そのまま現場に戻り警察からの事情聴取、気付けば朝日が登っていて、雄英を飛び出し一人駆け回っていた時のことを思い出す。
緑谷は、そのまま桂駐屯地にジュウモンジと共に帰還し、此度の首斬り殺人事件、昼間の『鴉天狗衆』襲撃の件での捜査会議に参加する事になった。
「なぁ、芦戸、葉隠、あの二人何があったんだ?」
「殺人事件に出くわして徹夜だって」
「私たち違うところパトロールしてたから、今知ったんだ……ニュースにもなってるよ」
駐屯場敷地内テント、パイプ椅子の背もたれにぐったりするジュウモンジと、前のめりで顔をゴシゴシする緑谷に、パトロールから無事帰って寝れた切島達は、先にもう今日のブリーフィングと行程確認に来て居る二人が、まさか徹夜で直に来た事を知り同情した。
「……おはよ、切島くん、芦戸さん、葉隠さん」
「おお、おはよう……大丈夫か緑谷」
「眠気のピークはあと少しで超えるよ……」
「コーヒーでも買ってこよっか?」
「徹夜には柑橘系がいいって聞いたけど」
寝る事って大事だなと緑谷はつくづく思った。一人で戦ってた時も、睡眠はしっかり取っていたし、決戦前の人海作戦時も寝る時間は確保してくれた。
事が事だからそんなわけにいかないと、目を擦り眠気から這い出ていると、自衛隊員と警察官それぞれがゾロゾロとテントに入ってきた。
「失礼します、昨夜の三条通理で起きた殺人事件に関しまして、京都府警よりヒーロー達へ捜査協力をと連絡がきました」
救援物資輸送の仕事は、殺人事件捜査へと切り替わろうとしていた。
昨晩の事件を簡単にまとめようと、京都府警から来た警官より、ホワイトボードに簡単にまとめた資料が貼られていく。
事件は深夜1:37、三条通から近くの大文字町にて、一般市民が首を斬り落とされ、プロヒーロー『コウシロウ』が犯人と戦闘、しかしコウシロウは犯人に斬られ取り逃がし、以前逃亡中である。
「夜中に人斬りって……明治時代かよ……」
「それ思った、しかもさ……近くに池田屋あるから余計に」
切島の言葉に、池田屋事件の近くをパトロールしてたから余計それが頭によぎったよと緑谷が呟く。
「鑑識が今現場検証をして、何か手がかりか証拠が見つかり次第報告いたします」
「コウシロウの容態は、聞いてませんか?」
簡単な説明の後、ジュウモンジは怪我を負った知古のプロヒーローはどうなったかと警官に尋ねた。
「意識は戻ってないが、命に別状は無いそうだ、袈裟にばっさり、広く浅い傷で臓器には達して無いと」
警官の話に、ジュウモンジはほっとしたのかため息を漏らす。運んだ緑谷も死ななくて良かったと胸を撫で下ろした。
「袈裟?ばっさりって、どんなふうな怪我だったの?」
一方で聞き慣れない言葉に首を傾げているのが葉隠だった。どんな傷か想像ができないと聞いた緑谷が、内容を説明した。
「左肩から右腰へ流れる斜めの軌道だよ、えーっと……切島くんちょっとそこに立ってもらっていいかな?」
「おお、わかった」
言葉で説明するより、見たほうが分かりやすいなと。緑谷は切島へ目の前に立つよう頼み、切島はそれに従った。
緑谷は近場のテーブルにあったペンを持ち、切島の前に立ち、ペンを刃物に見立て葉隠と、同じく見ていた芦戸に説明する。
「つまり左肩から斜めの軌道の切り傷、だから斬りつけた容疑者からしたら右上から、左下に振り下ろした事になる。袈裟って言うのはお坊さんの着ている服の事で、そこから袈裟斬りと呼ばれてるんだ」
自分が犯人として、切島の右肩より左腰へペンを刃物代わりにゆっくり振り抜いて見せれば、葉隠も芦戸も成る程と納得した。
「昼間にヴィランの強盗、夜には人斬り……あっちも大変だが地方も大変だな」
まだまだ日本全国、ヒーロー社会崩壊からの復興へ立ち上がるのは先で大変な事だなと切島が呟く。
「ジュウモンジ、当事者であるキミはこの件を調べてくれ……キミ達の輸送は他の班に振り分ける、死人が出ている以上早急な犯人の特定の確保を頼む」
「……わかりました」
ジュウモンジの顔が、歪みそうになったがそれを見せないためにか彼は警察官に会釈をした。手がかりも少ない中、丸投げされた形に任されたが、やらねばならぬとジュウモンジは緑谷達に近づいた。
「……というわけだ、悪いな雄英生、本来の業務とかけ離れるが協力して欲しい」
本来の物資輸送と護衛から外れてしまったが、ヒーローが少ない現状協力して欲しいと、ジュウモンジは頭を下げた。
「頭上げてくださいよジュウモンジさん、俺らもしっかり協力しますから!」
「早く犯人見つけて、京都の人達を安心させたげよう!」
切島も芦戸も気にしてない、むしろ早く犯人を捕まえようと気合いを入れていた。
「けど、手がかりはまだ無いんだよね、現場検証の人たちからの連絡を待つしか……」
しかしだ、葉隠の言う通りでもあった。事件現場から手がかりは見つからず、それが報告されるまで動けないのではと。
「いや、手がかりならある」
「どこに?」
その葉隠の話に、緑谷は手がかりはあるよと言えば、何処にと尋ね、緑谷は言った。
「意識を取り戻してないけど、斬られたヒーロー、コウシロウさん……訪ねてみよう、向かった頃には目を覚ましてくれるかも」
犯人と対峙したヒーロー、まだ目を覚ましてないが彼が目覚めたら証言が聞けると、まずそこから訪ねてみるのが早いと提案するのだった。
セキアカオリジナルヒーローファイル!!
『艶髪(つやかみ)ヒーロー コウシロウ』
本名 髪結幸四郎(かみゆいこうしろう)
年齢 25歳
ヒーロービルボードチャート841位
ジュウモンジと同期の桜であり、元ヨロイムシャのサイドキック。ジュウモンジと同じ離反組だが、ジュウモンジの事務所に行かず、フリーランスで活躍していた黒髪長髪の美男子ヒーロー、女性人気が高い。
ジュウモンジとはプライベートで互いに『ばっつん』『こうちゃん』と呼び合うくらいには仲が良い。かつてはヨロイムシャに剣術を教えられた『ヨロイムシャ四剣士』として言われていて、剣の実力も中々。
個性は『操髪』
自身の髪の毛を意のままに、手足のように操る。痛めると操作精度が低下する為、めちゃくちゃ気遣ってヘアケアは怠らない。そんな美貌と髪の事から、シャンプーやヘアケアの広告で目にすら事がある。