【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「個性が異能と呼ばれ、ヒーローもヴィランも無い混沌とした時代……京都には、ある一派が幅を利かせていたのです、その名は“鴉天狗衆"!鴉天狗衆は京都とその周辺を支配し、富を牛耳っていたのであります」
緑谷が語るヨロイムシャの伝説、その始まりに出て来た、今京都で暴れているヴィラン集団鴉天狗衆が出て来て、待ったをかけたのは芦戸だった。
「え?鴉天狗衆って、そんな長い間活動してるヴィランなの?」
「よく気付いたね芦戸さん、この鴉天狗衆、実はヨロイムシャが昔に倒したヴィラン集団でもあるのです」
今、京都で暴れている"鴉天狗衆“とは別に、その昔ヨロイムシャが戦った"鴉天狗衆"が別に居ると、緑谷は語った。
「恐らくは名前だけ借りたのでしょう、あのHo-Gun・GCとやらは、自身をホウガンの血筋とは宣っていたがそれも嘘でしょう……箔付けの為に嘯いていると思われます……」
多分Ho-Gun・GCは、血筋を騙っているだけだろうと、今の鴉天狗衆と、ヨロイムシャが戦った鴉天狗衆は繋がりがないと断じた緑谷は、扇子で台を叩いて語りを続けた。
「さてさて、今話に出ましたホウガン!これまたかつて、AFOやデストロ、張間歐児に並ぶ黎明期のヴィランとして名前が上がる悪党で、鴉天狗衆を束ねて悪事を働いていたのです!」
その『ホウガン』こそ、鴉天狗衆の頭領であると語りは続く。
「ホウガンは鴉天狗衆を使い、京都の寺社仏閣に飾られた文化遺産を奪い海外に売り渡し、果てには!それらを保管した寺社仏閣を燃やしてしまったのであります!これを世に言う"ホウガン大火“として語られる大事件として、歴史に刻まれたのでした」
「確か……歴史で習ったが内容までは知らなかったな」
「すごい大悪党じゃん!?罰当たりすぎない!?」
ホウガンの所業、かつての寺社仏閣に展示された文化遺産の強奪に放火という罰当たりな所業に、あくまで歴史として習ったなと思い返す切島が、そんな事があったのかと茫然として、芦戸はあまりの罰当たりな行いに憤りを通り越し、それマジであったのかと信じられない様子を見せた。
「そこに現れたのが!ヨロイムシャ!!ヨロイムシャはたった一人で、京都を牛耳る鴉天狗衆を次々と打ち倒す!八面六臂の活躍で持って、ホウガンを追い詰めたのであります……その最後の戦いの舞台となったのが!清水寺!!」
熱い語りも終わりが近づいてくる、かつてのヨロイムシャと、ヴィランのホウガンが最後に戦った場所、清水の決闘に遂に話がたどり着く。
「空舞う鴉天狗のホウガンに、ヨロイムシャは苦戦を強いられながらも食らいつき、その戦いは一晩続いたとも言われます!やがて!ホウガンの羽を切り落としたヨロイムシャ!ホウガンはそのまま清水の舞台から落下して決着はついたのでした!」
パパン!と台を叩く緑谷、これがヨロイムシャの伝説『清水の決闘』かつての大悪党と、一晩という長期戦の斬り結びの果てに勝利したという伝説であった。
「そして、ヨロイムシャは京都の人々より、尊敬と感謝、信頼を得て!京都の守護神であり日本を代表するトップヒーローとして語り継がれていったのでした……」
それが、ヨロイムシャというヒーローの『オリジン』だろう。語り終えた緑谷は、和服を翻せばヒーロースーツへ即座に早着替えをして一息吐いた。
「いやー、ヒーロー解説って気持ちいい……」
こうしてヒーローの解説を他人に行うと、何というかヒーローオタクの自己満足が満たせると、徹夜の眠気すらスッキリ吹っ飛んだかもしれないとご満悦であった。
「たった一人で……京都のオールマイトだったんだね、ヨロイムシャは」
「けど、最後はあんな終わり方って……悲しくなるよ」
かつての英雄、その末路が手のひら返しにバッシングで追い立てられ、痴呆老人として介護が必要になるとは、芦戸も葉隠も居た堪れないと嘆くのだった。
「だからこそ、試されてるのかもね……京都は、今まで守ってくれた象徴を、失うどころか追い立てた、その責任を取れとぶり返しが来てるのかも……」
かつて守って来た英雄の花道を、祝って送る空気でも無かったのは分かる。それでも緑谷は、あの引退会見に苛立ちを覚えていた。今の今まで守ってもらいながら、その人気にあやかっておきながら、辞めたら唾吐きゴミを投げてこき下ろす様は、見るに耐えなかったと今も思っている。
この京都の荒れようは、たとえ今の社会崩壊を抜きにしても、ヨロイムシャへ行った所業の因果が回って来たものではなかろうかと、緑谷は頭に浮かんでならなかった。
桂駐屯地の襲撃を受け、ヒーロー、自衛隊、警察の連合軍は、今後の動向を再編する事になった。
救難物資の配送を続けなければならないが、現状……鴉天狗衆の襲撃も無視はできない。そこで、会議の結果……こちらから鴉天狗衆との一斉検挙へ踏み込む事を決定した。
現在、桂駐屯地以外を拠点としている、独自に動く京都のヒーロー達の招集、さらに隣県からの援軍となるヒーローの派遣要請に踏み切ったのである。
京都府民、避難中の方々にはくれぐれも夜間外出を控えるように伝達し、辻斬り事件への対策も行いながら、対鴉天狗衆への準備が始められたのが、緑谷達が京都に派遣されて2日目の夜の事であった。
流石に徹夜だった緑谷、そしてジュウモンジは他のヒーローや自衛官に諭されて、一日ぶりの睡眠時間を得たのであった。
そして、一夜が明けて……。
睡眠時間を貰った、緑谷とジュウモンジが朝一に聞いた報せは……。
左京区でまた一人、一般人の首が斬り落とされた死体が見つかったのと。
ヨイチが、ヨロイムシャ邸宅で斬られ、搬送されたという報せであった。