【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「雄英の、そしてジュウモンジ達よ……すまなかったのう……あまりに遅くなったが、こうして戻って来れた」
「「ヨロイムシャ!!」」
死装束じみた白い着物のまま、ヨロイムシャはその足で立ち、かつてインターンで指導した芦戸、葉隠とも挨拶を交わした。
「緑谷……お前一体何をしたんだ?」
痴呆だったヨロイムシャが一気に正気を取り戻す。何をしたのだお前はと、ジュウモンジに尋ねられ、緑谷は簡潔に答えた。
「ヨロイムシャに……殺気をぶつけました」
「殺気を……って、そんなオカルトじみた……いや、そうでも無いのか?」
抽象的かつ、オカルトな技で何を馬鹿なと言いかけたジュウモンジだが……彼もまたヒーローとして修羅場を潜ってきたので、何とはなくだが分からんでも無いなと、実体験もある為否定し辛かった。
「しかし……人間身体に染みついた技術や感覚はそう消えない、頭は忘れても身体は動いてしまう……僕が殺す気で掛ったら、身体が防衛本能で反射的に動いて頭も冴えるかと思ったら……こうなるとは」
ヨロイムシャが積み上げてきた経験に技術は、たとえ引退しようと錆びつくのはそうすぐではない。引退してから鉄火場を離れ活力を失い、生き甲斐を失った人間の老いというのは早い。
だが、またもう一度その雰囲気や気配を察知したならば、ショック療法の様にスイッチが入りかつての自分を思い出すと考えた緑谷の、試しのイタズラがこうまでなるとはと、緑谷自身も驚く他なかった。
「早速だが……ジジイ、四剣士以外に刀渡した輩居るのか?」
さて、寝起きでさっせく悪いがとジュウモンジは、今京都を騒がせる辻斬りヴィランのことを尋ねた。四剣士と同じ柄の鞘の刀を持つヴィラン、誰か四剣士以外に渡しちゃいないかと尋ねれば、ヨロイムシャは首を振った。
「いいや、渡しておらん……ワシが渡した刀は4本、突っぱねたお主の刀含めて5本、その刀も屋形の蔵へ丁重にしまって……待てよ?」
「心当たりがあるんですか?」
四剣士と、突っぱねたジュウモンジに渡す筈だった一振りも合わせ5本の筈、他には決して渡していないと語るヨロイムシャだったが、何かを思い出して顎に手を始めたのを見て、やはりかとマインハートは尋ねる。
「……まさか……いや、それ以外有り得ぬ」
「おいジジイ、さっさと言え、そのヴィランが持ってた刀の正体は?」
さっさと勿体ぶらずに言えと、ジュウモンジに急かされたヨロイムシャは、一息を吐いて、この場の全員に対し答えた。
「あれは、ワシのかつての同門の刀やもしれぬ」
「同門?」
「ワシが、ヒーローになる前……ヴィジランテとして活動するより前の、剣術道場で免許皆伝の免状と共に渡された刀じゃ」
ヨロイムシャの語りを聞いたジュウモンジ、そしてマインハート、ジェリーグルーは、それか!!とようやく線が繋がった。
「あのヴィラン確かに言ってました!同門って!!」
「そっちか!確かにそれも同門扱いだ!盲点だった!!」
「確かにそれなら、同じ動きも、鞘の柄の理由も説明がつく!畜生視野が狭まってたんだ!!あぁあああ!!」
『ヒーロー』としての同門ではなく『剣術』としての同門!そっちの意味合いなら確かに意味も通ると3人は、何故そっちに気づかなかったんだと悶絶した。プロヒーロー3人同じヒーローのサイドキックだった奴らが集まって何をこんなと悶える様に、雄英仮免ヒーロー学生達は、相当疲れてるんだなと憐れむ目を向けた。
「つー事はジジイ!その同門というか、流派のしきたりを真似て刀渡してたんか!ややこしい!で!?その同門ってのは誰だ!!」
そもそもしきたりまで真似するんじゃあねぇよと叫ぶジュウモンジは、同じく渡された奴が今回の辻斬りヴィランなのかと、そいつな何者か言えと促した。
そして……ヨロイムシャはため息を吐いて、ゆっくり息を吸い、その同門の名前を言った。
「ワシと同じ剣術を習い、免許皆伝を渡され、同じ鞘の刀を師より賜ったのは……鞍馬天眼……ワシがかつて、清水寺で斬り倒したヴィラン……当時の鴉天狗衆の頭領、ホウガンじゃよ」
まさかの事実に、ジュウモンジも、ヨロイムシャの元サイドキック達も、緑谷達雄英生も、言葉を失った。
ヨロイムシャの伝説の一つ『清水の決闘』として語り継がれ、京都を牛耳ったヴィラン『ホウガン』は……ヨロイムシャと同門の流派の剣士であり、同じく免許皆伝を賜った達人でもあったのだ。