※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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394話 最後の一花を

「はぁ!?ホウガンが尋ねて来ただぁ!?しかも自分達の襲撃する寺院やら建物を示す紙を渡して来たぁ!?寝ぼけとんのかクソジジィテメェコラァ!!」

「く、くるし、ジュウモンジ!お前本当に容赦無くなったの!?」

「ジュウモンジステイ!!マジでしまってるからぁ!!」

 

 朝一から元気にジュウモンジが、ヨロイムシャの襟首を締め上げて、それをジェリーグルーが制止する。昨日の絶縁じみた雰囲気はなんだったんだと、朝の桂駐屯地食堂で起こった一幕に、緑谷達雄英組はポカンとなってしまった。

 

「……何やってんですか昨日の今日で、いや……もう0時回ってたっけ切島くん」

「どうだったか……つか、何かあったんすか?」

「寝起きだから突っ込む気すらないみたいだね、2人とも」

 

 寝起き故に突っ込む気もなれんよと緑谷と切島に、葉隠も頷いた。

 

 

「ホウガンが……襲撃先を?」

「ああ、ジジイのボケて見た幻覚じゃねぇらしい……」

 

 そして、何があったのかとジュウモンジより報される。昨晩、かつての敵であり地獄から甦ったやもしれない、辻斬りヴィラン『ホウガン』が、ヨロイムシャに『鴉天狗衆』の襲撃先をまとめた紙を渡したのだと。

 

 今宵日が変わる0時に行動開始、京都の要所に火を放ち、ヒーロー達を分散させて襲撃し、各個撃破して京都を手中に収める……それが、『現在の鴉天狗衆』率いるHO-GUN G・Cの計画だと。

 

 それをかつての敵、討ち倒したはずの『ホウガン』が現れて、教えたのだと。

 

「いや、馬鹿馬鹿しい、信じられないですよ……かつての敵が手を貸す?ただの陽動じゃないんですか?」

 

 何を馬鹿なと、話を聞いた緑谷はまぁ流石にあり得ないし、信じる根拠が無いと断じた。一般人を殺して、ヨロイムシャ四剣士2人を斬っておいていきなり手を貸す様な行動に切り替わるなんて信じられるかと。

 

「俺もそう思ったよ緑谷……けどな、ジジイが言うには……」

「彼奴が記した紙片……その燃やそうとしている場所のリスト……過去ホウガンが自ら燃やした場所と全て同じなのじゃ、今の鴉天狗衆もまた……形をなぞるだけとはいえ、ホウガン大火を再演しようとしとるらしい」

 

 そりゃそうだろうなとジュウモンジも、気持ちはわかるとなったが、この計画は本当に行われる理由がある。その理由はヨロイムシャが語った。

 

 ホウガンが記載した、放火予定リストは……かつて『ホウガン大火』で燃やした寺社仏閣と同じ場所だったのだと。全て一致しているとヨロイムシャは言う、今の鴉天狗衆も過去を再演する為に必ず同じ場所を燃やすだろうと。

 

「……他には理由あるんっすか、ヨロイムシャさん」

 

 それだけで?あまりにも動機を決定つけるには不十分なとなり、切島が尋ねれば、ヨロイムシャは信じられ無い事を言い切った。

 

「……勘じゃな」

「……勘?」

「ああ、勘じゃ、そして長年の経験……さらに言うなら、あの甦ったホウガンの声が、そうすると告げた」

 

『勘』であると、勘でこの紙片も、現れたかつての敵の言葉を信じると言ってのけた。そんな事信じられるかと、さしもの雄英生がふざけるなと皆、この時は声を上げようとしたがーー。

 

「もし……これが嘘で……京都に少しでも火が放たれたならば、ワシは今度こそ腹を切る」

 

 その眼光と、吐かれた言葉に、全員が射竦められた。さらに……ごとりと、脇差までおいて覚悟を示したのである。かつて兜を脱いで、腹を切るとだけ言って立ち去った男ではない、此度は本気だと……その力が入った眼差しを、緑谷達雄英生に見せたな。

 

「態度だけにしとけジジイ、つまりは……俺が責任負うからついて来てくれ、失敗も勘違いも全部俺が背負うから……だろ」

 

 流石にマジに腹を切ったら、後処理が大変だからその態度で充分だろうと、ジュウモンジが肩を叩く。要するにヨロイムシャが言いたい事はこうだ。

 

『自分の勘で、今回の鴉天狗衆の凶行に対して陣を敷く、もしそれが失敗したら今のヒーロー達に責任は絶対負わせない、この自分が全責任をも持ち、批判も糾弾も受ける』

 

 と言う事だ。現場責任を一括して自分が背負うから、ついて来てほしいと彼は言うのである。

 

「……ジュウモンジさんは、どうなんですか?」

 

 唐突なヨロイムシャの言葉に、緑谷も流石に混乱してしまう。逆に、今まで行動して現場にあたっていたジュウモンジは、いきなり言い出したヨロイムシャをどう思っているのかと聞いた。

 

 その問いに、ジュウモンジが返したのは、なんとも悪どい……しかし色々な物から解放された笑みだった。

 

「なんとまぁ……ジジイの勘は外れた事ねぇんだわ、コレが?それに楽な話だぜ、もし失敗して違ったらこのジジイに責任押し付けれるんだからよ」

「あなた、本当酷い事言うね、ジュウモンジ……」

 

 恐らくこれが、本来のジュウモンジの笑顔なのかもしれない。こうまで言い出して責任を負うなら、好き勝手やってもいいと言うならば、これ程いい話はないと笑う様に、マインハートも呆れて、ジェリーグルーも苦笑した。

 

「つーわけで……俺が他のヒーローも警察も、自衛隊にも話通して集めるわ、お前ら雄英生も動ける準備しといてくれ」

 

 椅子から立ち上がったジュウモンジが、嬉しそうな足取りで食堂を出ていく。昨日とは打って変わって、まるでヨロイムシャの下で動くのが楽しくて仕方ないと言いたげな背中は、食堂から消えていった。

 

「……最早動けぬワシが、戦えぬワシができうる事は、若者の責任を取り頭を下げ、腹を切るくらいだ……雄英の子達よ、ワシが責任を負う、だから……今宵は力を貸してほしい」

 

 立ち上がったヨロイムシャが、深々と、緑谷達に頭を下げた。かつてのヒーロービルボードチャートに座したヒーローが、恥も外聞も無く学生達に、その力を貸してほしいと。

 

「はい、ヨロイムシャ……僕たちも貴方の指示通りに動きます」

 

 頭を上げてくれなど偉そうな事は言えなかった、これで応えなければ何とするか、緑谷が1番に応えれば他の面々にも伝播した。

 

「奴らの好き勝手にはさせないし、ヨロイムシャに責任は取らせねぇよ!」

「おうよ!必ず京都もヨロイムシャの責任も守り抜いてやらぁ!」

 

 切島に鉄哲が、絶対責任取らせるような事はさせないと意気込みを吐く。

 

「心配したけど、元気になってよかったよ!」

「うん、本当に!」

 

 昨日の意気消沈から元気になってくれた、それだけで十分だと葉隠と芦戸が涙ながらに頷く。

 

「途中から来た身だけどさ、俺もヒーローとして任は果たすよ」

 

 尾白も、半ばから助けに来た身だが頼まれた以上人は果たすと拳を握った。

 

「すまんな……では、人員の分配と配置をはじめようかの」

 

 そう語るヨロイムシャに、まだジュウモンジが出たばかりだがとなった緑谷、しかし……。

 

「ジジイ、声かけて来たぞ?とりあえず基地内のヒーロー全員、自衛隊や警官も話通して来た、物資輸送のヒーローにも連絡飛ばして、帰還次第話聞くようにした」

「「「「「「早っ!?」」」」」」

 

 さっき出て数分あったか!?雄英生全員がジュウモンジの仕事の早さに絶句し、マインハートとジェリーグルーは笑った。

 

「ジュウモンジ、ヨロイムシャと久しぶりに仕事できるから気合い入っていますね」

「目もイキイキしてるな、流石元筆頭サイドキック」

 

 そう言えば、かつてオールマイトがサー・ナイトアイをサイドキックにしていた時、余りの作業効率に、別れてから一気に仕事が増えたと話を緑谷はオールマイトから聞いた。

 

 ヨロイムシャにとって、ジュウモンジはそんな存在だったのやもしれないと、京都に来て組んだ今日まで行動した中で、一番調子がいいジュウモンジに、緑谷は苦笑せざるを得なかった。

 

「ジジイ、今夜全部終わらせよう……そんで、京都にあの時と同じ平和を取り戻すぞ」

「……ああ、そうじゃなジュウモンジ」

 

 にっかり笑ったジュウモンジに、ヨロイムシャは孫を見るような表状で笑った。

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