【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
ヨロイムシャの指示の下、京都のヒーロー達、自衛隊、警察が全面合同戦線を結成、準備は速やかに行われた。
かつて、ホウガンが火を放った寺社仏閣は東西南北様々な箇所にあるが、こと有名なものを挙げるなら、この四箇所が挙げられた。
北側、上賀茂神社
西側、広隆寺
東側、慈照寺銀閣
南側、伏見稲荷大社
その周辺の寺社仏閣、主要な建造物にヒーロー、警察、自衛隊、今ある全ての京都を守る意思ある者が、昼間の内に配置された。一斉検挙のための待ち伏せ……気取られないように、あくまでいつもの物資輸送の傍に……ヒーロー達は街中へ散会し、息を潜めた。
日が変わる夜の0時数分前……各地に動きがあった。
『南側、こちら城南宮です、複数の人影が歩いてきてます、全員黒い服を纏ってます』
『下鴨神社、周辺に多数人影あり』
『えーこちら、平安神宮から、入ってきてますねどうぞー』
「……来たよ、本当に、真正面から……」
「こっちが知ってること、マジで知らないみたいだな……」
緑谷はインカムの通信が次々入って来て驚いた。緑谷と切島は、南側は伏見稲荷大社に、ジュウモンジと共に配置されていた。日が変わる間際、次々京都の寺社に待機したヒーローや自衛官からの通信で動きありと入って来て、呆然とした。
つまりは、ヨロイムシャが出会った、地獄より甦ったホウガンが仲間……いや、そもそも仲間では無いのだろう、現代の『鴉天狗衆』を売り渡したのである。
一体何のために?理由は分からない……しかし、この機会を逃してはならないと本殿の影に隠れた緑谷と切島は、この場に来るだろう鴉天狗衆を待つ。
『慈照寺より交戦開始!交戦開始!!』
『こちら下鴨神社!包囲開始!戦闘に入ります!!』
あちこちで交戦の伝達がインカムに入る中……切島が指で鳥居を指差した。
来た、本当に……黒い服がゾロゾロと、何も知らず!その一番前を歩くは頭領のHO-GUN G・C!のこのこと身体を揺らし偉そうに配下を率いて本殿に!!
『こちらジュウモンジ、楼門閉鎖完了、こっちも合流する』
身を隠し逃げ道を閉鎖したジュウモンジ他ヒーローと警察の通信を聞いて、緑谷は切島と頷き、本殿の影より歩くように出ていった。
「あ?何だテメェらーー」
呑気に、いきなり現れた2人が迫って来たのを見たHO-GUN G・Cこと、黒丸砲鉄やその仲間達はーー。
「かかれぇえええ!!」
本殿敷地内に隠れていたヒーロー、および自衛官、警察により……呆気なく確保されたのであった。
「……終わったな」
「呆気なく、終わっちゃったね」
つい3日前まで、人員が足りないだ襲撃されただ、様々なアクシデントに見舞われた京都。その腫瘍でもある『鴉天狗衆』は、たった一晩で一斉検挙されてしまったのだった。
インカムに、各地の寺社仏閣に待機したヒーロー達から、鴉天狗衆確保の連絡が次々と来ている。警察に連れられていく配下を他所に、確保された鴉天狗衆のリーダー黒丸砲金は身じろぎしながら叫んでいた。
「畜生!!誰がタレこみやがったぁ!?ああ!!離せやァア!!」
手足を手錠に繋がれ倒され、警察に押さえ込まれる何とも惨めな姿に、こうも呆気なく幕切れになるとはと、緑谷も切島も気抜けしてため息を吐いた。
「おーお疲れ、難なく他所も終わってるみたいだな」
「ジュウモンジさん、お疲れ様です」
「お疲れ様っす」
楼門の閉鎖を担当していたジュウモンジが、本殿に来て終わったなと労いに来た。2人は軽く会釈して迎えれば、ジュウモンジは2人の顔を見て頷く。
「まぁあれだ、蓋開けてみりゃあっけない終わりってのはいい事なんだよ、犠牲者も無く主犯格及びメンバー全員確保……出来過ぎなくらいだ」
派手な戦闘もなく、終わったのは拍子抜けなのは分かる。しかし、それは大変いい事なのだと、緑谷達が消化不良を感じているのをジュウモンジは察してそうフォローしておく。ヴィランによる計画を未然に防いだ、建造物の損壊、人的被害無しで完璧な捕物だと。
「けど……結局一体何がしたかったんだろう……ホウガンは」
だが、緑谷も……いや、切島含め此度関わったヒーロー達も考えてしまう。
地獄より蘇ったらしい、ヨロイムシャのかつての仇敵ホウガンは、何故夜な夜な一般人を斬り殺し、ヒーローは生かし、鴉天狗衆の悪事を調べ上げヨロイムシャに伝えたのか……。
「じゃまぁ、聞いてみるか?そこの“ホウガンの孫"によ?」
だったら聞けばいい、今そこで芋虫のようにもがき輸送を待つ、現代の鴉天狗衆のリーダーで『ホウガンの孫』を自称する『HO-GUN G・C』こと黒丸砲鉄にと、ジュウモンジは彼に歩み寄り膝を屈めて黒丸に尋ねた。
「なぁ黒丸、お前の爺さん……ホウガン蘇ってるみたいだけど何か知らねぇの?孫なんだろ?」
「あぁ!?知らねぇよ!!」
「大切な爺さん庇ってる気ならためにならねぇぞ?」
「知らねぇっつってんだろうが!そもそも俺はホウガンの孫でもねぇわ!クルー集めるための設定なんだよ!!」
ああやっぱりそうかと、ジュウモンジも、聞いていた緑谷も切島も分かってはいたがと肩を落とした。所謂なんちゃってギャングスタラッパーという奴だ、自分がヴィランの血を継いでて悪の系譜なんだと箔付けの為にこの黒丸は嘯いていただけだったのだ。
「じゃあもういいわ、おい!さっさと運んじまおう、おら立て!暴れんなよ!!」
「くそがぁあ!」
「大人しくしとけ!!」
ジュウモンジが無理やりに、後ろでかけた手錠を引き上げ黒丸を立たせ、さっさと護送車に叩き込んでしまおうと押せば、黒丸がまだ暴れるので膝裏を蹴り跪かせた。
その最中……ふと、1人の警官が声を上げた。
「おい、あのヒーロー誰だ?」
誰かまた違うヒーローが来たのかと、本殿の鳥居をくぐり、石畳を歩いてくる者が居た。
「あ、あいつは!!」
その姿を見て……一番に反応したのは……切島だった。
何故か?
現れた者が、そう、昨晩自分達に襲いかかった、辻斬りヴィランであったからだ!
「あいつです!黒い鴉のヴィラン!!」
「んだと!?じゃああいつがーー」
ゆらり、ゆらりと歩きながら、腰元の鞘から刀身を抜き放ち煌めかせたのを見て、緑谷もジュウモンジも、そしてこの場にて捕縛作戦に参加した警官や自衛官も一気に緊張が走る。
「止まーー」
一番目の前に居た、最初の警官が、行手を遮った瞬間に、辻斬りヴィラン……いや!『ホウガン』が刀を振りかぶったのを見て、緑谷は即座に手をかざし叫んだ!!
「Get over here!!(危ない!近づくなこっちに来い!!)」
その引き寄せにより、警官は制服を切りつけられただけで済み、後ろに思い切り引き寄せられたと同時に緑谷は、両手を思い切り広げて、石畳に待機していた警官や自衛官を全員退かせた。
『人形操りの糸(マリオネイター)』緑谷出久の、引き寄せの個性による広範囲かつ大人数を引き寄せ操る必殺技!あの刀の範囲に入れば、斬られて死ぬのが先程の一振りで見て取れた緑谷は、範囲から警官達を退けてそのまま石畳を駆け抜けて『ホウガン』に迫る!
「ッシャアア!!」
自らを引き寄せての長距離の踏み込みから、イーヴルガントレットのアームブレードを振りかぶった緑谷に対し、ホウガンはーー斬り結ばなかった。
「なにっ!?」
それどころか、背中より生えた黒翼を羽ばたかせて宙を舞い緑谷の背後を取ったが、そのまま石畳を駆け抜けて切島とジュウモンジの下へ向かう!
「行かせねぇぞ!!ホウガーー」
切島が、体を硬質化してジュウモンジと捕縛した黒丸の前に立ち塞がったが、その目の前にホウガンが球体を投げつけ、パァン!と破裂し何かが振りかかり目に痛みと痒みを与えた。
「いっつーーあう!?」
その間隙を突き、切島の足を払い体勢を崩し遂に辿り着くジュウモンジが、十字を切る為に腕を振りかぶった。
「交差(クロス)ーーかはぁ!?」
だが、その一撃より早く、ホウガンは腰の鞘を引き抜くやその先端でジュウモンジの胸板を押し突いて、ジュウモンジを後方に突き飛ばした!
そして、目の前には……跪く黒丸砲鉄だけが残る。
「へ、へへ、誰か知らねえが助かったぜ!おい、この手錠をーー」
黒丸は、知らない同業が運良く助けに来たのだと思って笑った。まだ俺は付いていると、そのまま立ち上がり手錠を外して貰おうと頼んだ瞬間。
「外しーー」
閃光が、黒丸の正中線を通過した。
鴉の仮面の乱入者は、黒丸の言葉を待たずーーその刀を唐竹に振り下ろしており、そのまま振り返って、柄を叩いて血を刃から落とす。
「な、何故ーーなへ……」
ジュウモンジは起き上がり様に見て驚愕した。跪いた黒丸の肉体が、頭頂部から線が入りゆっくり左右に引き離され、別れていく様を。
「に、人間を開きにしやがった!!」
なんて芸当!!かつてのヨロイムシャでも不可能な人体を縦に両断する一振りを魅せた鴉の仮面の辻斬りヴィランは、鞘に刀を納め言い放つ。
「祖父の血筋を騙った罪、命で償え偽物よ」