【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
話だけを聞いて、初めて目にした辻斬りヴィランが、同じヴィランである黒丸を両断し『開き』にして殺害した様に緑谷は絶句した。
あの腰元の刀が、人智を超えた妖刀だからできたのか?はたまた、ヴィランの剣の腕前が可能にしたかわからない。分かる事は一つ……良くこの相手に切島達は生きて帰って来れたなと肝を冷やした。
全てを崩壊させる力を持った死柄木とは、また別の方向に危険な相手を前に、緑谷はアームブレードを煌めかせ構え、決して目を離しはしなかった。
「何者だ、お前は!何が目的で現れた!」
そう言われて、名乗る悪役が果たしているのかと。鴉の仮面のヴィランは、刀の塚を叩いて血を払いながら、翼を広げて言い放つ。
「貴様らに名乗る名など、持ち合わせてーー」
そう台詞を言い終わる前に、納めようとした刀身を、ヴィランは背後に振るった。鳴り響く金属音、散る火花。背後から襲いかかったのはジュウモンジであった。
「かつてのジジイが戦ったヴィランだってなぁ!コウシロウとヨイチを、斬ったんだってなぁ!!」
「くっ!?」
重々しい音の残響と共に、仮面のヴィランが一気に押し込まれて後ずさる。
ジュウモンジは、片手に金属の棒、もう片手に同じ金属棒ながら、その先に十字の刃が取り付けられたそれを、二つに組み合わせて頭上で回し構えた!
それはジュウモンジのサポートアイテムにして武器!組み立て式の槍『ミカヅキ』であった!
「ジジイにも会わせねぇ、同じ釜の飯を食った2人の仇討ちだ、悪いが地獄へ帰ってもらおうか!ホウガン!!」
「槍使いか、貴様……」
「生憎、刀は苦手でなぁ!!」
豪!!石畳を揺らす踏み込みと共に、十文字槍の穂先がうなりをあげて、仮面のヴィランに突きが叩き込まれる!
「切島くん離れて!警察の方々も!!」
「あ、ああ!」
構えていた緑谷だったが、ここはジュウモンジに任せたほうがいいと、即座に戦闘範囲からの退避を、切島と警官達に伝えた。
伏見稲荷大社の本殿敷地で始まる、刀と槍の一騎打ち。その戦いは、ジュウモンジがその間合いと、得物である槍により有利に立ち回っていた!
「マインハートの長巻みてぇには踏み込めねぇだろ!悪いがこんなでも、ジジイの次にゃ強かったんだぜ!俺はよぉ!!」
「ちぃいい!!」
槍の間合いによる広範囲の振り回しだけではない!穂先に左右の刃がつけられた十文字槍と呼ばれるその武器は、相手を突く際にその刃が『点』でなく『線』で襲いかかる!故に、避ける範囲が自ずと広くなり揺さぶられるのだ!それだけではない!
「交差滅衝(クロスロード!)」
「くぅあ!?」
逃げた先には、ジュウモンジの個性による十時の衝撃波!波状攻撃により仮面のヴィランを徹底的に追い詰める!
「ならば……!」
だがそれで負けるなら、とうに捕まっていると、鴉仮面のヴィランは地をを蹴り空に舞った!羽ばたく翼を振るい、風を起こし、その風に黒き羽が紛れてジュウモンジに襲いかかる!
「鴉仙術!!羽霰(はねあられ)!!」
襲いかかる鴉羽の霰!その羽を避けるように、一気に後ろへ跳ぶジュウモンジ、先程居た場所には羽軸が突き刺さっていた!
「ちぃい!!ホークスの豪翼もどきか!!」
その頑丈さに鋭さ、硬さはさながらホークスが失った個性『豪翼』のようだと舌打ちして羽の霰を槍と、十字の衝撃波で打ち払うジュウモンジ!
打払い、空に浮かんだ鴉仮面のヴィランに視線を戻した瞬間、ジュウモンジは目を見開いた。
「ーー消えた!?」
「うそっ!?」
「お、おい!?どこ行っちまったんだ!?」
鴉仮面のヴィランは姿を消していた。
まさか、今ので逃げたのか?緑谷も切島も、見ていた警官達も、姿を消したヴィランを探し辺りを見回す。
こんな時に『死の気配』があったらかんじれていた!今は無きOFAの力を失った緑谷は、頼っていた事実に歯噛みして月夜に目を凝らす。
対して、戦っていたジュウモンジは周囲を見回し……考えた。
もしかして……コウシロウとヨイチは、ここから負けたのか?と。今の数度の斬り合いで、実力は確かに高いのはジュウモンジ自身が肌で感じた。
だが……それだけならば、あの2人が遅れを取るとは思えないと、辺りを見回す。
月夜が照らす伏見稲荷大社、その影を、目に入れたジュウモンジは、目を見開き背後へ振り返った!
「そこだぁあああああああ!!」
ジュウモンジが槍を振るったのは斜め上の上空!その穂先は、『空』を切り裂いた!!
「何だと!?」
鴉の羽が舞い散る、それと同時に現れた鴉仮面のヴィランは、飛びかかろうとした勢いのまま石畳を転がったのであった。
「色々持ってんだな、その羽!まさか、月光を反射して姿を眩ますなんてなぁ!!」
槍の先をヴィランの眼前に突きつけて、ジュウモンジは動くなとばかりに叫んだ。