【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
姿を消した原理は、鴉仮面のヴィランが背中より生やす個性の『鴉羽』であった。その綺麗な黒光りする羽根が!月光を反射し闇夜に紛れ込む光学迷彩のように作用していた!
このヴィランが背中より生やす鴉羽は……かつてのNo.2ヒーローホークスの如く意思で操る事ができ、空を駆け、鋭い針となり、あまつさえ迷彩にすらなりうるという、天狗の仙術とすら錯覚してしまう恐ろしい個性だった。
「亡霊……その面を見せろ!!」
突きつけた槍を振り上げ、鴉の仮面をジュウモンジが割りにかかる瞬間ーー!鴉仮面のヴィランが、刀を防ぐように構えーー。
「!?」
「えっーー」
一瞬だった、ほんの一瞬、何もされてはいない筈だったジュウモンジが、ビクリと刹那の間硬直した。その間隙、鴉仮面のヴィランが袈裟に切り上げた刃が、ジュウモンジの身体に振り抜かれて、鮮血を散らした。
「ジュウモンジさん!!」
何があった、何をされた!刹那の隙を作り出す何かをしたのかと驚愕し名を叫ぶ緑谷、そして……ジュウモンジは言い放つ!
「き、さま……月光を目潰しに……!」
今宵の月光は輝いている!その光を、刀身にて反射してジュウモンジの目を一瞬潰したのだ!この鴉仮面のヴィランは!その間隙が、この光景を作り出したのだ!
「ヨロイムシャもやっていた、知らないのか?教え子なのにな?」
煽る!ヴィランが、ヨロイムシャの怨敵らしき怨霊が煽る!これはヨロイムシャも使っていた技だ、弟子のお前は知っていた筈だろうになと!
「っっあらぁあああ!!」
斬られてなお、ジュウモンジは槍を振り下ろしたがその間合いから鴉仮面のヴィランは抜けて、空に羽ばたき逃れた!
羽を散らしながらも対空するヴィランは、息を切らし膝を付かず見上げるジュウモンジへ言い放った!
「機は熟した!ヨロイムシャを呼んで来い!かつての舞台にて待つと!!」
「待てぇ……がっ……!」
「ジュウモンジさん駄目だ!止血しねぇと!!」
空に消えゆく鴉の仮面のヴィランに、手を伸ばすジュウモンジはうつ伏せに倒れ、切島が即座に駆け寄った。
「逃すかぁ!切島くん!僕が追いかける!ジュウモンジさんの治療を頼む!!」
「分かったぁ!!」
機は熟しただと、ふざけるな、いきなり現れて人を殺しておいて、この京都の動乱の主役を気取るか貴様は!緑谷は、夜空を引き寄せ京都の街を飛翔し、鴉仮面のヴィランを追走した!
鴉仮面のヴィランが向かう先、そして、降り立った場所……それは、ヨロイムシャの始まりの地とされている『清水寺』であった。
今や昔は観光地の一つであったこの寺も、超常黎明期により被害があった一つであり、今やその様相は無く、かつては仁王門や三重の塔といった建物は再建がまだされていない……唯一、この『本堂』即ち『清水の舞台』だけが残されていた。
鴉仮面のヴィランが降り立つや、自らも着地し、緑谷は……ヨロイムシャがかつて、この舞台で倒したヴィラン、ホウガンの亡霊と対峙する。
「ヨロイムシャを待つだけなのだがな、追って来たか部外者が……」
「ヴィランとは言え人を真っ二つにして殺したやつを逃すわけないでしょ……しかも、一般人の首を斬り落としているのもあんただな……何が目的だ、何のためにこんな事してるんだ」
舞台の床を歩みながら、緑谷は何が目的でこんな馬鹿げた事をしているのか尋ねた。
「一般人だけを斬り殺し、ヒーローだけは生かす……ジュウモンジさんも殺せたのに生かした……何がしたいんだ!お前は何なんだ!」
「……まぁいい、ヨロイムシャが来るまでだ、一人くらいは俺が何者か、明かすも一興よ……」
余興にはいい、鴉仮面のヴィランが……その仮面に手をかけ、外した……その顔を緑谷が見た瞬間、誰だと最初なったが……一気に思い出す。
「貴方は……!」
「その節はどうも、ヒーローさん」
その顔は、緑谷がパトロールの時に避難所へ移送した……黒髪の青年であった。それだけ、一時助けたあの時の青年が、鴉仮面のヴィランであった事に緑谷は驚くしかなかった。
「い、一体何故……いや、そもそも……」
「困惑しますよね、ただの市井の人間が、どうしてこんな事をと……ダツゴクか名のあるヴィランかと思いましたか?」
仮面をつけた時と話し方まで違う、黒髪の青年は笑うが、その笑みは諦めに染まっていた。
「そうですね……私がだれか、語っておきましょうか……そうしたら何故このような事を行なったか、取っ掛かりにはなりましょう」
青年は、その鴉の羽を広げ……舞い散らしながら、緑谷へ自らの名前を、宿業と共に名乗るのであった。
「私の名前は、鞍馬天翔(くらまてんき)かつて……この清水の舞台で、ヨロイムシャに倒されたヴィラン、ホウガンの孫にして……その名を引き継いだ……二代目ホウガンと、名乗っておきましょうか」