【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「貴方が……ホウガンの孫!?本物の!?」
まさかの告白だった、自らをホウガンの血を引く孫だと宣っていたHO-GUN G•Cこと黒丸砲鉄が違う事は分かっていた……だけどまさか、ここに来て本当の、ホウガンの血を引く人間が存在し、現れたという事実に緑谷は驚いた。
ならば……ヨロイムシャに打ち倒された、かつての同門でありヴィラン堕ちしたホウガンの血を継いだ、この男の目的は……何なのだと緑谷は余計に頭が混乱した。
「……分からない、一般人は殺してヒーローは生かす!かと思ったらヨロイムシャのサイドキックを狙って……ヨロイムシャには手を貸して……偽物のホウガンの孫や鴉天狗衆をヒーロー達に捕まえさせて……一体貴方の目的は何なんだ!?支離滅裂だ!何がしたいんだ!!」
今までの行動全てが支離滅裂で目的が分からない!何がしたくて、こんな事をしている!答えろと緑谷の叫びに、鞍馬天翔は……答えた。
「決まっている、これは……天誅だ」
「は?」
天誅……それは、天に代わって罰を加えること。その二文字を鞍馬は宣うや、ゆっくり語り出した。
「街の人間を殺したのも……弱きヒーローを殺さず生かしたのも……ヨロイムシャに手を貸したのも……そして、僕の祖父の名を騙ったあの男を殺した理由も……全ては天に変わり、誅伐下すため……」
全ては、誅伐下す為……つまりは、単純に、この男はと緑谷は睨み言い放つ!
「今更、祖父の敵討ちの為か!!」
ホウガンの敵討ちでしかない、それを正当化しようとしているのか、思いつくのはそこだった。
だが、鞍馬は歯を噛み締めて大きく言い返した!
「違う!!」
「えっ……?」
笑わせるな巫山戯るな、決して間違うなと、その怒髪にはそんな様々な意志が込められていて、緑谷の睨む形相が解ける程だった。
「僕は……ヨロイムシャを捨てた京都に天誅を下すためにここに居る!!祖父の仇など知るか!!」
「は!?」
「いや……ヨロイムシャに討たれたヴィランの血を引くからこそ、ここに居る!!この京都に……再び!ヨロイムシャを立たせるために!!」
鞍馬天翔……二代目ホウガンの目的は……敵討ちや復讐では決して無いと語る。その支離滅裂な行動の全ては!『ヨロイムシャ復活』の為に行っていたのだと彼は語った。
「ヨロイムシャは僕を知らない、だけど……僕はヨロイムシャがかつて体得した剣術の道場に通う一人だった!ヨロイムシャも時折、かつての学舎として教えに来ていた師範の一人……僕がホウガンの孫と知らずとも、稽古をつけてくださった!」
鞍馬は語る、彼はかつて……ヨロイムシャが習っていた剣術、その道場の門下生であったと。練習に励む中、ヒーロー活動の延長でヨロイムシャは、過去自分が鍛え学んだ道場に指導に来ていたと。
鞍馬天翔も、その門下生として剣を習い、ヨロイムシャに指導を受けていた。ヨロイムシャは知らずに、ホウガンの孫に剣を教えていた事になる。
「祖父を討った事も父から教えられた、しかし……父もヴィランの血に悩みながら真人間として生きた、恨みもないと吐いていた……僕もそうだ、ただヒーローとして……ヨロイムシャの活躍に憧れていた」
恨みの連鎖は既に父が断ち切っていた、ただ一人の少年として、ヴィランの血筋も関係なく鞍馬はヨロイムシャに憧れたのだという。
「しかし、僕自身はヒーローになる事は許されない……血筋もあるが、けじめでもあった……僕はただの社会人として、普通に生活していた……だが!あの日!ヨロイムシャが引退を表明した日!!僕は怒りに塗れた!!」
ホウガンの孫である血筋、それもあるがヒーローを目指す事なく、只人として働きた、生活していたのだと。そして、その日が来たのだと怒り孕んだ声が、清水の舞台に響き渡った!
「許せなかった!今まで京都を守って来たヨロイムシャに浴びせられた罵倒が!誹謗中傷が!!今の今まで守って来てもらったお前らが!!何故!?タイミングは悪かったのは分かるにしても、せめてこの地の人々は迎えてやるべきではなかったのか!?」
憧れたからこそ、守ってもらったはずの人々が、誰一人として労うすらせずにひたすら誹謗中傷に回った事態に、鞍馬は怒った……それは多分『かつてヨロイムシャに討たれたヴィランの血を引くからこそ』そう怒りを抱えたのだと、緑谷は感じた。
「これでは浮かばれない……ヨロイムシャも!何より、あの人に討たれたヴィランの血を引く者として!憧れ同じ剣を習い、授けられた者として!!だから、僕は祖父の仮面を被った!」
「そして、無差別に一般人を殺し、ヒーローを生かしたのか?」
ここに来て、緑谷は……ようやく鞍馬天翔の支離滅裂な行動の全てに理解ができた。
「ああそうだ、わざと一般人だけを殺し、ヒーローを生かした理由は、ヨロイムシャ無き今の京都のヒーローの不甲斐なさを広める為……まさか最初に斬ったやつがヨロイムシャのサイドキック、ヨロイムシャ四剣士と知ったのは……操る鴉達から知った事だが……それならそちらから狙おうかと切り替えたのさ!」
鞍馬天翔は歩きながら、羽を広げ、腰元の鞘より刀を抜き放ち、緑谷に向けて言い放つ!
「京都のヒーローが守れぬ体たらく、その果てに奴らはこう言うだろうさ!ヨロイムシャが居てくれたら……ヨロイムシャさえ居れば……!助けて、ヨロイムシャと!!そうすれば……ヨロイムシャは!!あの人は……立ってくれると……思っていた!!」
その双眸から、涙を流し……鞍馬天翔は歯を食いしばった。
かつて、ヨロイムシャがヒーローとして身を立てたその伝説、その時に討たれたヴィランの血を引きながら……同じ剣を学び、修め、憧れた。
それを汚された事が許せないと、彼は再び……祖父の仮面を被り、祖父の所業をなぞり、来てくれると、立ち上がってくれると信じて血に染まった。
だがそれは果たされない……ヨロイムシャは老いた。戦いから退いた故に、もはや昔の動きもできないほどになっていた……それを知ったからこそ、全てが無意味だからこそ、鞍馬天翔こと"二代目ホウガン"は泣いているのだろう。
「最早、約束は、果たされぬ……ヨロイムシャは、この舞台に決して現れない、ならば!」
涙を隠すように、鞍馬天翔が仮面を被り……緑谷出久の方に向いて言い放つ!
「この京都の民衆全て!俺の剣にて首を斬り落とし晒してやるまで!!ヨロイムシャを捨てた京都の民に!!天に変わって俺が誅罰を下す!!即ち是こそが!!!」
"ヨロイムシャ天誅剣也!!"
憧れを汚された怒りが、ただ一人の普通に暮らした青年の、悪党の血を目覚めさせ狂気に駆り立てる!!
「貴方の気持ちもわかるよ……痛いほどに……」
緑谷出久も、鞍馬天翔の気持ちが痛いほど分かった。
エンデヴァーの息子、荼毘から放たれたヒーロー達の信頼失墜となる告発。
それに耐えかねたヨロイムシャの引退……。
長年頑張って来た、ヒーローとして人々を守って来た者に向けられた罵声は、そこまで言うのかと、彼自身も思っていた。
「だからって……もっとやりようがあっただろ……血なんて関係ないと知っているなら!貴方もこっちに来て一緒に!戦えばよかったじゃないか!!」
けど、だからこそ!!緑谷は吠える!!
悪の血筋を抱えて生きていながら、真っ当に生きて来たのに!どうしてあくをなぞってしまったのかと!憧れながらなぜ、ヨロイムシャの下に来てたたかわなかったのだと!
「この舞台に、立つべき人は、本当は違うだろう……けど!今貴方を止めれるのは僕しかいない!!」
懐より取り出した面頬を、口元に近づけて装着した緑谷。そして袖の生地を破り飛び出したアームブレード、更にはブーツの両踵に仕込んだ仕込み刃を展開して二代目ホウガンへ言い放つ!
「鞍馬天翔、いや!二代目ホウガン!!分布相応ながら!ヨロイムシャの代わりとして!!このイーヴル・ヒーローイズクが!!貴様をここで終わらせる!!」
その名乗りを聞くや、鴉天狗の羽広げ、受け継いだ刃を、羽を煌めかせ、二代目ホウガンもまた名乗り返す!!
「吐かせ!!この舞台に貴様が立つ資格無し!!二代目ホウガン、鞍馬天翔の名において!!貴様の首を清水の舞台に飾ってやろう!!」
満月が照らす、清水の舞台!!
空舞うは、京都を揺るがした大悪党の血を引く狂奔の血族!!
迎え討つは……悪の悪戯から生まれた、正義の心宿した大戦の英雄!
待ったなしの大勝負!!
いざ、尋常に……勝負!!