【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「ここまでだ、二代目ホウガン……大人しく降参しろ……」
背中から流れる血を滴らせ、歯を食いしばる様を緑谷は見下ろしながら言う。最早個性の羽を引きちぎり、無個性と変わらんだろう、お前の負けだと。
「翼も、今の再生医療技術ならまだ再生する……降参して、もう終わりにしよう……これ以上はーー」
「黙れぇ!!」
しかし、鞍馬は足を震わせながらも、痛みに呻きながらも立ち上がった。
「終わるものか!終わってなるものかぁ!羽もがれようとも、俺にはまだ……刀(これ)がある!」
突きつける刀身が、月夜に輝く。まだ終わらない、羽根をちぎられ飛べなくなろうとも、この刀を折らない限り、己が決めた事を決して辞めはせぬと、鞍馬は……いや、二代目ホウガンは叫ぶ。
「お前では止まらん!俺を止めたくば、ヨロイムシャを連れてこい!ホウガンは、ヨロイムシャにより討たれなければ、ならないんだぁ!」
虹彩が小さく、極度の興奮と狂気に支離滅裂の言葉を吐く鞍馬……緑谷は、目を閉じてそして彼に言い放つ。
「分かったよ、じゃあ……選手交代だ」
「なにっ!?」
緑谷は、背を向けてそう言うと……また一つ、月夜の影に照らされた者が1人……緑谷を横切り、鞍馬の前に立った。
「あの時切り殺しておくべきだったなホウガン……2戦目といこうか」
「き、貴様ーー!?」
そこに立つは……かつてのヨロイムシャ筆頭サイドキック、ジュウモンジ!!止血で巻いた包帯が赤くまだ傷の線に染まりながらも、しかと歩み鞍馬の前に立つ!
腰元に携えるは……ヨロイムシャがかつてヒーロー活動にて使っていた刀そのものであった!
「ヨロイムシャが積み重ねた怨恨……因縁のヴィラン、ホウガン……ヨロイムシャのかつてのサイドキックとして……その怨嗟!俺が断つ!!」
ゆっくりと抜き放つ刀身を、八相にジュウモンジが構えた。それを見やるホウガンは……そうかと歯を食いしばり、下段に構えた。
翼をもがれた者、そして袈裟に斬られた者、差し引けば五分五分……本来立つべき役者が揃った。
月が雲に隠れーー清水の舞台が闇に染まった。
瞬間、互いの床を蹴る足音が鳴り響き、暗闇で火花が散った。ぶつかり合う刃と刃、その音が清水の舞台に響き渡る。
吐息と、風を切る音……また雲より現れた月が舞台を照らす時、ジュウモンジも、二代目ホウガンも、互いに新たな傷を身体にいくつも付けて、舞台に血を滴らせていた。
「うぁあああああああーーーー!」
下段から霞に構えを変えて踏み込む二代目ホウガン!迎え撃つジュウモンジは、自ら鞘に納刀した。
「おぉおぉおお!!」
気合い一閃、振り抜かれた抜刀の一撃が、ホウガンの刀身とぶつかり合いーーそして……2人の刀は、その刀身がぶつかった場所より折れて空を舞い、舞台に突き刺さった。
交差する様に、元から一対であったかの様に舞台へ突き刺さった2人の刀の折れた刀身、振り抜いたジュウモンジはそのまま自然体に立ちながら、二代目ホウガンに告げた。
「悪いな、生憎こっちはヒーロー……殺しは法度だ二代目」
砕けた刀を投げ捨てるジュウモンジ、そして……折れた刀を震えて見やり、膝から崩れ落ちる二代目ホウガンこと、鞍馬天翔。
「あう……うあ、あぁああ……ああ……」
狂気に駆られた因縁はここに砕かれた、ただ若者の搾り出す様な泣き声に、ジュウモンジは何も言えないと目を閉じて月を見やる。
今は男が1人、泣いているのだ、せめて今だけは隠れてくれまいか……ジュウモンジの願いも虚しく、月は無常に舞台を照らしたのだった。
まるで、次代の英雄誕生を祝福するかのようにーー。
こうして、京都における二代目ホウガン、鴉天狗衆の事変は、解決したのであった。