【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
勉強漬けの毎日……ヒーロー科にとっては中々に新鮮な日々なのかもしれない。
すべての授業を終え、夕方から夜にかけてのヒーロー訓練実習が、未だに自習時間となっていて、訓練の報せが全く無いままに、合宿に参加した生徒たちは一週間目を終えようとしていた。
だが、この合宿自体があくまで『停止していた授業の遅れを取り戻す』のが目的となる為、ヒーロー訓練実習は少ないのは仕方ない。
土曜午後と、日曜全日を使った仮免対策や自主練にも対応してくれているし、職員団もまだ授業計画全てを決定しているわけではないのだろう。
「今日もハードだった……」
合宿第一週の金曜日、7時間目の授業が終わり、ガンガン範囲を進められて板書もギリギリだったと、緑谷は席を立つ。他の同クラスとなった、他校生徒も唸る中……突如此度の授業で教鞭を取った勇学園の教師から通達が降りた。
「えー、では本日!ヒーロー訓練実習が行われますので!各自ヒーロースーツに着替えてから昨夜の集いに出るように!」
唐突な宣言であった。合同合宿初となる、ヒーロー訓練実習が遂に行われる!今まで勉強漬けから一転して、一気に雰囲気が変わったのを緑谷は感じた。
この合同合宿だ、何が行われる?どんな訓練が待っているのか!?同じ授業を受けていた雄英生徒の表情も険しくなっていた。
━━そして、夕食を終えた生徒達は、集いの広場へ集まり、バスへと乗車し生徒達が向かった先は……。
「ひ、広ぇええーーーーー!?めちゃくちゃ広い!!」
「富士山があんなにくっきりと……」
バスから降りた切島が、ここまで広い敷地は見た事がないと思わず叫び、夕暮れの綺麗な富士山を目にして耳郎は見惚れて呟きが溢れた。
合宿に参加した生徒達がバスにて送られた場所は『東富士演習場』と呼ばれる、自衛隊の演習場だった。毎年行われる『富士総合火力演習』や映画のロケ地としても使用される場所である。
「全員到着したなぁ、ではぁこれより!合同合宿訓練を執行う!各校でぇ即時整列ぅ!!」
既に到着していたらしい、朗らかな優しい雰囲気の姫鷹先生が、凄まじい気迫で降りてざわつく生徒達に命じた!これには学校関係無しに、それぞれクラス毎出席番号構わず、即座に整列させられた。
「速いな、一年間ヒーロー科に居ただけはある……そして貴様らは!仮免のある無しに関わらず、死柄木及びAFOらヴィランとの戦いにぃ学徒として大小関わらず参戦しぃ、超えてきたぁ……これくらい戸惑い無しにやって、のけよう……」
スタスタ、左右に歩きながらこのくらい早く動けて当たり前だろう貴様らはと、神妙な語りと面持ちで話を始めた姫鷹先生。これは……いきなり初回から難度の高い訓練を課せられるのではなかろうかと、生徒達はピリついた。
「そんな諸兄らの、初回の合同訓練はぁ……こちらぁ!!」
皆に聞こえるよう声を張り上げた、姫鷹先生が巻物を取り出すや、それを『縦』に広げて皆に見せた!初めての他校と行われある合同訓練……その内容は━━。
「これは……」
「えっと……」
開いたが、皆読めなかった。そこで丁度最前列に居たらしい湧水くんが……姫鷹先生に小さな声で指摘する。
「校長、校長先生……向き、向き違います、横です横」
「なにぃ!?諸君!ちょっとやり直していいかなぁ!?」
全員漏れなく、肩から力が抜けたのだった。姫鷹先生は巻物を律儀に巻き直し字の向きを確認し━━。
「というわけでTAKE2ぅ!!こちるるぅああ!!」
改めて横に巻物開き、提示された訓練内容は……。
『軽めに他校生同士、交流戦闘訓練しーましょの巻』
と、達筆で書かれており、全員一気にずっこけた。
「ぜ、全員集めてやるのが軽い戦闘訓練って!だからってこんな雄大な場所を借りたのかよ!?」
勇学園の藤見が、こんな雄大な土地を借りてやるのが軽めの戦闘訓練とはどうなのだ!?肩透かしにも程があると愚痴を吐いたがーー。
「馬ぁ鹿野郎ぅ!お前ら揃いも揃って自分の個性軽んじてんじゃあねぇよなぁ?一つ間違えりゃあ人殺しかねねぇ個性持ってんのが大半って忘れてねぇかぁ!?」
その愚痴を、即座に叱責した。
そもそも世代重ねて教師陣より複雑化し、強力な個性持ってるのが散見される。お前らヒーローになる前にしっかり、基礎も基礎な個性使用のコントロールはできてんのかと姫鷹先生は語った。
「ヒーロー同士が切磋琢磨するなら、加減も必要ってやつよ、そしてぇ、訓練初日でいきなり変な事やらせて怪我なんてして勉強休むなんてなったらぁ本末転倒だろうがぁ勇学園の藤見くぅん?」
「!?」
藤見は、まさか他校の校長から名前まで呼ばれるとは思わず驚愕した。そこまで関わりはこの数日ではかなかった、だからせいぜい勇学園の1人程度にしか知られてないだろうと思っていたのだ。
足取り軽く、藤見の下に来た姫鷹は、彼の目をしっかりと見ながら語りだした。
「名前知らんと思ったかぁ?こっちはヒーロー引退して腰は危ういが、頭のボケはきとらんのよ、生徒の顔と名前はもうしっっかり全校全員、刺青のように脳へ刻んどるからなぁ?ヘラヘラと慢心してぇ、怪我したりさせたりなんて以ての外だからなぁ、肝に銘じておきんさい」
「う、うす」
「よろしい」
その慢心がやらかしを生む、軽い戦闘訓練だが慢心せず、節度と加減を考えしっかりやりなさいと指摘した姫鷹に、名前を呼ばれた事に驚きながらもしっかり返事はした藤見に、姫鷹はよろしいと、笑いながら離れた。
「個性の使用有無し、徒手空拳、互いに足りないものやぁ知らない個性を持つ生徒がぁここには居る、お互いがお互いを高めあい、理解し合う為、まずはウォーミングアップと交流を兼ねてぇ軽く組み手をやってみましょ、先生方はぁ監督してやり過ぎないように見つつ、アドバイスしてやってください……それじゃ早速やってみましょう!解散!!」
姫鷹先生の号令で、他校との交流戦闘訓練は始まった。つまり、気になる相手がいれば誘って軽くやってみよ、そして初日かつしばらく勉強漬けもあったから、身体を慣れさせましょうと言う事かと、緑谷はとりあえず準備運動をやるかと手首を回し始めた。
緑谷は、正直手合わせしたい相手がいくらか居た。同校ならB組にも居たが、今回はできれば他校生と交流も兼ねた、戦闘訓練……となれば、あの2人がまず気になる。
『誠刃二輪花』だ。
自分たちよりも早く仮免取得した化け物姉妹……誠刃2年ただ2人の仮免許持ち……。
「!?」
「はっ!殺気!?」
そんな2人に狙いを定めて、殺気を漏らしてしまったのを勘付かれたのか、2人がどこからだと見回す。よし、そのまま動くな2人まとめて戦ってみたいと、身体を伸ばしたりしながら近づいていくと。
「緑谷殿、お相手宜しいか」
「む━━」
進行方向を阻むように、風呂場にて峰田と意気投合していた誠刃の生徒、湧水介佐が現れて組み手を誘ってきたのだった。