※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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411話 交流戦闘訓練 緑谷編②

 かつては雄英推薦枠だった生徒……確かにそれは興味深いと緑谷は、誠刃二輪花との組み手を邪魔されたが、これはこれでと笑みが浮かんだ。

 

「いいよ、やろう、個性使用は?」

「勿論ありで、開けた場所に行きましょう」

 

 早速組み手が決まる。すると━━その様子に周囲の生徒も幾人かやはり反応示した。

 

「緑谷出久と誠刃の生徒が組み手するみたいだぞ!?」

「死柄木を倒した大戦の英雄……ヴィランが最も恐るヒーローの戦いが見れるのか!」

 

 あの戦いで、やはり名前は知られているようで、いざ組み手をするだけで見たい人が居るくらいに自分は有名になってしまったらしい。

 

「人気ですな緑谷殿」

「あくまで最後に一撃入れただけだ、大戦の英雄だなんて……」

「謙遜なされるな、緑谷殿はヒーローで間違いございません」

 

 さて、開けた場所に2人来たが、見るのもまた訓練と観衆までできてしまった。片や、ヒーローらしからぬヴィランじみたヒーロースーツの緑谷出久。片や、まだヒーローに非ずと、忍者装束を纏う湧水介佐。

 

 互いに離れ向かい合うと、まず湧水から声が上がった。

 

「一つよろしいか?」

「どうぞ」

「私の個性を使う際、こちらが必要なのだが……使っても?」

 

 湧水は、そう言って懐から500mlペットボトルを取り出し見せた。満タンに水が入った、ラベルが取り除かれたペットボトル……彼の個性の為に必要なら、緑谷も個性が気になるので断る事はしなかった。

 

「どうぞ、構いませんよ」

「感謝いたします……では……」

 

 湧水はペットボトルのキャップを外し、地面に立てて……わざとらしい忍者の印を結ぶ所作を見せながら声を上げた。

 

「忍法!水衣!!」

 

 まさかの忍術、その声に応えるようにペットボトルの中の水が一気に噴き出すや、一滴残らず集まり、湧水の前で球体となり……その球体が伸びながら、湧水の首元へ羽衣のように巻き付いた。

 

「成る程、水を操る個性!!強い個性を持ってますね湧水さん!」

「お褒めに預かり光栄にございます」

 

 湧水介佐、個性『水操り』!!

 

 その名の通り『水』を意のままに操る!!彼にかかれば海はモーセのように割ることも!台風の濁流に荒れる河川すらも堰き止めれる、水の支配者となる!!

 

 ただし、自ら水を生成したりできるわけではなく、水を操るだけ!操作範囲内に水がなければ何もできず!『化学薬品』や『炭酸飲料』など『水』からかけ離れた『液体』は操作できない!!ギリギリ『炭酸水』ならいけるらしい!

 

「では、始めますかな」

「はい、始めましょう」

 

 そうして、互いに準備もできたところで、合図もなく、2人は構えた。

 

「!?」

 

 構えに入った刹那、湧水は身体全体が何かを叩いたような錯覚を覚えた。

 

 だが……それは見ていた観衆となった他校、雄英生徒達も同じだった。

 

『ただ構えを見せた』

 

 それだけで、他を圧倒するような威圧感を醸し出す様に、瀬呂が呟いた。

 

「おいおい大将……まだ構えただけだぞ……」

「オールマイトや、エンデヴァーみたいな威圧感を感じるぜぇ……」

 

 B組の鎌切尖もまた、その威圧感に冷や汗を流して思わずそう言葉が漏れた。さっきまで、組み手が始まる、見よう見ようと騒いでいたのが嘘の様に静まり返るくらいに……。

 

「緑谷……また強くなってるなこれは……」

「ただ構えてこれとは……」

 

 それは、教師陣達も一緒であった。相澤も、菅も……聖愛の黒薬も、そして誠刃の姫鷹も注視する程の、圧力と佇まい……。

 

「恐ろしいな、もうこの歳でトップヒーロー並みのぉプレッシャーとぉ、佇まいを持つとはぁ……やはり渦中を生き抜いた経験かぁ……」

 

 顎に手を当てながら姫鷹は、教え子が対峙する緑谷の姿に目を細めた。

 

 トップヒーローは……その『姿』だけで、敵を圧倒し、民衆に安堵を与える。かつてのオールマイトの背中に、人々は安堵と期待を抱き、エンデヴァーの姿に畏怖を感じた。

 

『そこに居る』だけで、圧倒する存在感は、幾百のヒーローには出せない、トップヒーローが持つものであり、至る境地であり……『カリスマ』とも呼べよう。

 

 その姿、圧力を、緑谷出久はすでに手にしていた。

 

 オールマイトの安堵とも違う。

 

 エンデヴァーの畏怖とも違う。

 

『殺意』

 

 ただ構えただけで、ヴィランが身体を凍り付かせ震えるしかない純然たる殺意に、湧水は冷や汗を垂らすも笑った。

 

「いきますよ!!」

 

 先手を仕掛けたのは湧水だった、羽衣のような水の幕が、緑谷に猛スピードで向かう。それを斜め前に、踏み込みながら避けて回避する緑谷だったが━━。

 

「まだ!」

「!!」

 

 操作性も凄まじい、水は緑谷を追尾するや顔面に覆い被さる!鼻から入り込んで来た水に、緑谷は驚いたが……成る程これはと理解する。

 

「人間はコップ一杯の水で溺れる、なんて話を聞いた事ありませんか緑谷くん?水を飲んで、むせて気管に入った苦しさで分かるでしょう?それだけ水は危険なのでございます……」

 

 この時点で普通のヴィランや相手なら『負け』となっていた。ペットボトル一本500mlの水を操作し、鼻や口から叩き込み窒息状態に至らしめれば、戦闘する間もなく相手を無力化できる。

 

 全てを焼き尽くす地獄の業火も、何もかも打ち砕く剛力も必要無い。ただ生物に必要な『呼吸』を奪いさえすれば、無力化できる……効率的な戦い方ができる個性だと、息が止められた緑谷は、湧水の個性の恐ろしさと強さに感嘆した。

 

 したが、修羅場を潜り抜けた緑谷は平静だった。集中した緑谷は気管や鼻腔内、口内満たす水に意識を向けて、自らも個性を使う。

 

「っぷぁは!!」

「む!?」

 

 口から、鼻から、水がまるで引き摺り出されるように出てきて、緑谷はようやく息を吸えたと声が上がる。

 

 引き摺り出された水が、まるで様々な方向から力を受け、宙でうねり、形を変え続ける様に、観衆は何が起こっているのかと不思議でならなかった。

 

「まさか、私の操作に対抗するとは……」

「繊細な個性のコントロールは、エンデヴァーに叩き込まれたし毎日欠かさず練習してるんだ」

 

 緑谷出久の個性『脊髄ぶっこ抜き』の、その根幹にある個性『引き寄せ』!

 

 あらゆる物質を引き寄せ、操れる個性であり、エンデヴァー事務所のインターンの指導と自主練の果てに、あらゆる物を、自由な方向へ自在に引き寄せ動かせるまでになった緑谷は、湧水が操作する水すらも操作に割り込み、引っ張り出して呼吸を確保したのである!

 

 構えながら、それぞれ右に、右に回り出す2人。その2人の間で水の塊が変形を繰り返している……水の操作の奪い合い、個性の鍔迫り合いとでも言うべき状況がしばらく続いた。

 

 互いが止まった瞬間、水は形を失い地面に落下して土に吸われるや、緑谷が先に踏み込んだ!

 

 左のパンチフェイントから右ストレートに、湧水はそれを左腕で弾いて右のボディアッパーを返す!

 

 これを自らの体であえて受け、緑谷は湧水の前足を右足でひっかけながら、忍び装束の肩を右手で掴み引っ張り、尚且つ引き寄せで湧水のもう片方も引っ張れば、湧水の身体が宙を舞う!

 

「しゃあっ!」

 

 個性併用!『フルイドスタイル』の空気投げ!!二転、三転、横に回転する湧水だったが━━。

 

「とぁあ!!」

 

 そのまま片手を地面について側転にて着地!叩きつけを回避して再び緑谷に構えを向けた。

 

「「………………」」

 

 それから、しばらく構えを解かない2人だったが……ゆっくりしめし合わせたかのように構えを互いに解いて頷き近寄ると、両手で2人は握手をしたのであった。

 

「ありがとうございました」

「あざっした」

 

 これはあくまで交流の組み手かつ、軽くと言われていた。緑谷と湧水はお互いに、これ以上やれば収拾がつかないと感じて、ここで止まったのであった。

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