【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
いい経験が積めた、雄英だけが全てにあらず……他校にもここまで強い学生が居て、ヒーロー社会崩壊を経ても辞めず、ヒーローを目指している事、切磋琢磨できた事に緑谷は感無量と目を閉じ震えた。
これだけで終わりでは無い、せっかくの機会だから色々な他校生と組み手をして、刺激を得ようと緑谷は東富士演習場を歩く、方々で学生たちが個性を使い、簡単ながら戦いを始めているのが見え、緑谷はやはり次は他校の代表格と戦いたいと、誘い損ねた誠刃二輪花に手合わせ挑むため探した。
「何やってんだよ轟ぃ!?防戦一方じゃねぇかどうしたんだぁ!!」
ここで緑谷の耳が、峰田の叫びを捉えた。
しかも、内容に驚かされる。効き間違えじゃあないのかと、緑谷は峰田の叫びを聞くや、そこにも人だかりができており、何事かと割って入り最前列に出た。
「轟くんが防戦一方って、何があったの!?」
「おお、緑谷ぁ!見てくれあれぇ!!」
峰田が出てきた緑谷に、指差した先には、信じられない光景が浮かんでいた。
「えぇい!」
「くぅう!?」
両手の双掌打を防御して地面に線引き押し込まれる轟、さらに間髪入れず踏み込むは、誠刃高校『誠刃二輪花』花霞姉妹の姉、花霞桜!
桜の放つ、軽くも素早い掌底、その忍び装束のスリットから覗くしなやかに太い足から繰り出される蹴りも織り交ぜたコンビネーションに、轟は下がり防御に徹していた。
早い、そして鋭い!何より緑谷が驚くのはそのトリッキーな身のこなしとスピードから叩き込まれるコンビネーションは、まるで格闘ゲームのコンボでも見ているようだ。この手の戦い方を緑谷は、あまりにも異質で見た事無いと呆然とするのだった。
「これは…….相性が悪いにしても、轟くんがここまで追い詰められるなんて!」
確かに、轟焦凍は基本的に自らの個性『半冷半撚』による、広範囲高威力を叩き込み押し付けて戦うスタイルではある。故に、近接戦闘が苦手な節はあった。雄英体育祭でも緑谷の徒手空拳に、一年次のA組B組合同訓練でも、鉄哲徹鐵に炎を耐えられ、近接戦闘で追い込まれていた。
「緑谷もそこまで言うのかよぉ……頑張れ轟!盛り返せぇ!」
それでも、ここまで一方的に嬲られる姿を緑谷も、峰田も見た事は無かった。戦いの最中、桜の忍び装束から時折晒されるレオタードや、揺れる胸すらに興奮を向けず峰田が轟の応援に集中する程の事態が目の前で起こっていた!
「これがあの大戦の渦中で戦っていた、エンデヴァーの息子?拍子抜けだわ……」
そのあまりの一方的な展開を、そう評してため息を吐く者が1人。桜の妹、芙蓉の言葉に峰田は流石に苛立ちを覚えた。
「まだだ!轟がこんなになるわけねぇ!まだ本気出してないんだ!個性も使ってねぇ!こう、範囲指定がうまくいってねぇんだ!」
苦し紛れの反論だった。が、それでもこうまで一方的に彼が追い込まれているのは、何故だ?何かあるのかとなった最中━━。
「おぉお!!」
轟が右手を振るい、冷気の氷柱をいよいよ放った!
「は!?え!!こっち来たぁああ!!」
その地を這う氷柱は、目の前の桜ではなく!峰田や緑谷、芙蓉達観衆側に向かって来て、峰田は絶叫し━━。
「でりゃああ!!」
「はぁあ!!」
向かってきた氷柱を、緑谷は拳で砕き、芙蓉は両手を翳し粉砕して、その侵攻を防いだ。
「あら、やるじゃない?流石大戦の英雄様」
「やめて、嫌いなんだそう呼ばれるの……」
軽口を叩く芙蓉に、辞めてくれと願う緑谷。明らかに狙いを外した轟の氷の個性に、轟が本当に何かがあって、何かをされているのだろうと緑谷は理解する。
「おかしいって、轟がこんなミス……一体何されてんだ!?なぁあんた妹なら知ってるよな教えろよ!!」
こんな無様な轟あってたまるか、余程の事を何かされてああなってるのだろうと、峰田は芙蓉に、桜が何をしたのか教えろと叫んだ。芙蓉は加虐心が見える冷たい笑みで、峰田に語った。
「敵に教えを乞うの?ヴィランとの戦いは時に初見殺しもありえるのに、雄英の訓練は優しいのね?」
教えるわけなかろう、仮に相手がヴィランだったら教えるやつがいるのか?初見の相手の個性に対応するなりできないのは、そのヒーローの力量でしかないと語る芙蓉に、緑谷はそう頷くしかなかった。
だが、何をした、どんな個性なんだ彼女はと?緑谷は観察する中……ふと、芳しい匂いが鼻を横切った。
そして……信じられない物が、目の前に漂い、思わず手を差し出して、それを手のひらに乗せた。
「桜の……花弁?」
季節は夏、その季節に似つかわしくない、桜の花びら一枚が、緑谷の手のひらに乗っかったのだ。
「はぁ?」
「いや、峰田くんこれ、桜の花びらがなんでか……」
唐突にそんな物見つけたと、緑谷の呟きに、峰田は何を言っているのかと疑問を浮かべ、緑谷は片膝ついて手のひらの花弁を見せた。
しかし、峰田の顔は驚愕に染まり、緑谷に言い放つ。
「何言ってんだ?緑谷……何も乗ってねぇぞ?今夏だぞ?」
「いや、でもほら、手のひらに……」
その通りだ、あり得るはずがない、夏の桜なんて。
そこでようやく緑谷も気付いた。
「こっちまで漂ってきたわね、他の子も少し下がりなさい?姉さんの個性の範囲に入りつつあるわ」
そういう事か!?緑谷は確かに、その桜の花びらが見えて、手に触れた感触と感じた!だが!その花びらは消え、もう一度組み手の最中の花霞桜と轟焦凍を見て、ようやく彼女の個性を理解した。
「轟くん……キミが見ていた景色は、戦場はこれか!?」
桜吹雪が舞い上がり、生えてないはずの桜の木々が生い茂る目の前の、あり得ない景色!その中で、轟焦凍は『分身し、そして花びらとなり消える』花霞桜の攻撃を必死にいなしていた!