【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
轟焦凍は、目の前の桜吹雪と、分身しては消える誠刃の生徒、花霞桜の個性に焦っていた。分身から放たれた攻撃も、実態があり自らに衝撃が来る、しかしいざ弾いたり受け流せば実態が無いという、どれが実体か幻影か触覚で判断しての対応が出来ないほどに、その全ての分身が精巧であった!
花霞桜!
ヒーロー名『クノイチヒーロー』イチヨウ!
個性は……『花分身』!!
実体を持った分身を生み出す……のではない!
その実態はミッドナイトと同じ『相手の視覚情報を惑わす幻惑作用の粉』を身体から振り撒いており、それを吸うと幻覚に惑わされる!その幻惑作用により、轟焦凍は彼女が分身し、多重攻撃を受けていると錯覚しているのだ!
厄介なのは、その精巧さ!
幻惑された視覚情報により、実際に『攻撃を受けた』と脳が誤認してしまい、幻覚痛を引き起こす!轟から幻影に触れれば手は空を切り、惑わされる!
一度吸ってしまえば逃れぬ幻惑の芳香を、轟は既に吸い込み、術中に落とされていた!
「幻覚系の個性……この匂いが正体か!」
だがしかし!雄英の推薦枠を勝ち取り、エンデヴァーの血と修行を叩き込まれ、死地を掻い潜った轟焦凍!追い詰められながらも冷静に、桜の個性の正体に辿り着いていた!
「ならば!」
あくまで組み手、他にも周りに生徒達が居る以上はそこまで強くは個性を使えない。しかし!轟は、即座に左半身の炎を一気に燃え上がらせ、熱風を吹かせた!
「あっつ!?」
「おう!?」
熱が、芳香の正体である桜が放つ幻惑作用の粉を、焼き飛ばす!そのまま轟は数度、深呼吸で新鮮な空気を吸えば、桜吹雪も幻覚も消え去った!
しかし!
「貰った!」
「!?」
背後から聞こえた声に振り返る轟、既に幻惑が消えようと関係無しに、桜は勝負を決めに来ていた!ヒーローキックじみた蹴りが轟に向かう!
「くっ!?」
だが、その背後を取っていた桜を、意地か、はたまた父に叩き込まれた修行による反応か、上回る轟の炎を纏った拳が振り向き様に放たれようとして━━。
「!!?」
轟焦凍は突如『硬直』した。
「それまでぃ!!」
「えっ!?きゃあああ!!」
「うおぁあ!?」
ここで、発破の如く声が掛かり、花霞桜も驚き蹴りが轟ね顔面を掠めて、そのまま2人して地面に共倒れするのだった。
「いたたたた……」
「おっと……これは……」
「あ、あーーーーー!?」
声をかけたのは、姫鷹先生だった。恐らく互いに本気になりかけストップさせるためだろうが、タイミングがよろしくなかった。
呻く桜と、目の前の光景に緑谷は苦笑を、そして、さっきまでシリアスに応援していた峰田は、絶叫を上げて指差した。
「え?あ、ああ!!ごめんなさい!!」
峰田が絶叫した理由……それは、花霞桜と轟焦凍の体勢だった。
何しろ……轟焦凍の顔面に、花霞桜が跨る体勢となってしまっていたのだ。所謂……顔面騎乗位、ラッキースケベというやつであった。
「い、いや悪い、こっちこそ……」
桜は驚いて立ち上がり、即座に轟から離れた。轟も目をパチクリさせながら、むくりと状態を起こして立ち上がる。
「てんめぇぇえ轟ぃ!?いくらイケメンでも許されない事があんぞ!?生パンか!?レオタードか!?どっち━━」
「はいそこまで、どーどーどー」
お前いくらなんでも美味しすぎだろふざけんなと暴れ出す峰田を、緑谷は抱き上げて落ち着かせた。
「互いに本気になりかけていた故、止めさせて貰ったぁ、すまんな……」
「姫鷹校長……」
「学生故、互いに頭に血が昇るのも分かるがぁ、怪我はぁさせてならんぞ、あくまで交流を忘れるな」
「ウス……」
悪いって申し訳ないが、あのまま止めなければ2人して本気になり、どちらか倒れるまでやっていた、故に止めたと2人の前に行き、姫鷹先生は忠告した。
轟も、あそこまで追い詰められ取り返したい意地があって本気になりかけていた自覚があった。だが……それよりも、何かを轟は感じて左手を眺めていた。
「…………」
あの背後への最後の一撃、放てば当たり、間に合い、勝てていた……だが、いきなり自分の身体が固まったのだ。こんな事は今まで無かった、雄英でもインターンでも……蛇腔、そして神野における、兄の燈矢との戦いでも……。
どうして……考える轟を他所に、峰田が鼻息を荒くさせながら横切った。
「次はおいらだぜ!仇取ってやるからな轟ぃ!」
「あら、自信満々ね?」
轟があそこまでいいようにやられて本気で勝ちに行く気持ち……と、邪な気持ちもない混ぜな血走った目に、サディスティックな雰囲気で笑う芙蓉が、轟と桜の横を抜け対面する。
「程々にね、芙蓉」
「倫理的にアウトな事はダメだよー、峰田くん」
桜と緑谷が、それぞれ本気になりすぎないように釘を刺すが、果たして聞いていたのか分からない。しかし、対面した2人はやる気に満ち足りていた。
「そちらから、好きなようにかかって来なさい?」
「言ったなぁ!?おいらも雄英生であの戦場を切り抜けたんだ!実力を見せてやる!」
人差し指をくいくい動かして、かかってらっしゃいと挑発に峰田が乗って、早速頭のもぎもぎを引っこ抜いては投げまくった!
「グレープラァアッシュ!」
降り注ぐ!もぎもぎの雨霰!!単純ながら峰田の個性『もぎもぎ』は当たれば峰田以外にはくっついて、体調の良し悪しあれど最長1日は外れなくなる粘着性を持つ!当たりさえすれば敵を拘束し無力化できる粘着ボールの波状攻撃!
「……芸が無いわね」
見上げるもぎもぎの雨霰を見上げ……芙蓉は両手のひらをもぎもぎの雨に向ける、ヒーロースーツのくノ一装束が揺らぎ、なにやら吸気音が響き渡ると、両手から凄まじい勢いの空気が放出され、もぎもぎを四方八方に吹き飛ばした!
「へぇ……空気砲か、彼女の個性は」
「はい、妹は身体のあらゆる場所に吸気と噴出口が両立した穴が空いてるんです」
花霞芙蓉!
ヒーロー名『クノイチヒーロー』アオイ!
個性は『空気弾』!
彼女の身体には、様々な場所に噴射口と吸気口を両立する穴が空いており!そこから空気を吸い込み、高圧の空気弾を発射する!
最大チャージかつ至近距離で放った場合は、常人なら骨も内臓も大変な事になる威力となる!!
その空気弾にもぎもぎ全てを弾き飛ばした芙蓉だったが!
「うぉおお!いってやらぁああ!!」
「なにっ!?」
そのもぎもぎは囮!二の矢とばかりに峰田はそのまま走り出してまさかの近接戦闘を挑みにかかる!芙蓉はまさか、その体格と身長差で来るのかと両手を向けて空気弾を掃射した!
「忍法空烈連弾!!」
誠刃の生徒は、必殺技を『忍法』と呼称するらしい、見えない空気のマシンガンは、さながら爆豪の『APマシンガン』みたいだなと見ていた緑谷は戦いを観戦する。
「蜂の巣になりなさいな!」
このまま押し付けて勝つ!その気の芙蓉だったが━━仮にも峰田も、あの激戦を生き抜いた仮免ヒーローだ、決して弱いはずがない!
「峰田閃空!!」
ブゥウウン!そんな音を立てて、峰田は残像を作り上げて、芙蓉の空気のマシンガンを回避してみせた!
『峰田閃空』
峰田実が、緑谷出久から頭を触られまいと避ける動きが、いつの間にか独自の回避術にまで研ぎ澄まされた移動法!残像すら作り出すその動きは決して『個性』ではない何かよく分からない技である。
「はぁ!?な、何よその動き気持ち悪っ!?」
芙蓉の感想に、それはそうと頷きたくなった。本当、どうやってるんだろあの動き……。と、この回避の最中に、緑谷は峰田が自らのもぎもぎを、足の下に仕込んだのを見て……やはり峰田くんも修羅場を抜けて強くなっていると胸が高鳴った。
「必殺……グレープロケットアタァアアアック!」
峰田の個性『もぎもぎ』は、他にはくっつく性質を、自分に対してはトランポリンのような弾む力が作用する性質がある!それを自らの足で踏みつけてトランポリンの様に勢いつけた、体当たりを慣行!
━━向かう先は!
「きゃあああ!!」
「うっひょおお!天国ぅう!!」
芙蓉の胸に、顔からダイブ!見事に顔を埋めた峰田は、いい笑顔で緑谷に親指を立てて見せた。
「こ、の!変態がァアアアアアアアア!!」
「ぎぃぇああああああああああ!?」
そして、峰田実は……そこから蹴り上げで浮かされて、パンチとキックでさらに浮かされ、裏拳で対空時間を伸ばされ、サマーソルトキックでまた対空時間を伸ばされてから、両足揃えて思い切り踏み潰されて、KOされたのだった。
「峰田くん……キミの馬鹿な所業は、僕が永遠と語り継ぐよ」
「何というかぁ……お盛んよなぁ、若いでは済まされんがぁ」
痙攣して血みどろになっている峰田に、緑谷は敬礼し、姫鷹は流石に芙蓉を注意できず、苦笑せざるを得なかった。
峰田実、花霞芙蓉にボコボコにされ、敗北……しかし、その顔は悔いなしと笑顔に染まっていた。