【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「峰田くん……けじめつけようか?」
緑谷はそれなりにやられ、正座する峰田の前に、三方台に載せた白鞘の短刀(八百万製)を彼の前に置いてにこやかに、しかし殺気を醸し出して言った。
「み、緑谷、これは一体……」
「切腹用の刀、大丈夫……介錯は僕が脊髄ぶっこ抜くから」
「ごめんなさい、勘弁してくれませんか」
斯様な狼藉を決して許してはならぬ、雄英の看板に泥を塗った責任を取って、腹を切り芙蓉さんに詫びを入れろという緑谷の進言に、峰田は土下座で赦しをこうた。
「何もそこまでしなくていいわよ、こっちは十分やり返したから……」
「いやしかし……」
「いいから、もう終わり、誰も腹切りなんて見たかないわ……」
この狼藉を芙蓉は、そこまでしなくていいと許した。流石にこのコンプライアンス過多な時代に、腹切りショーなんて見たくないと。やられた本人が許すならば、緑谷は三方台と短刀を避けて峰田に促した。
「峰田くん、一度謝っとこうか」
「申し訳ありませんでしたぁ……」
「ん、よろしい」
「いや本当、大変ご迷惑をおかけしました」
セクハラへの謝罪に、峰田が頭を下げて緑谷も雄英の人間として深々頭を下げて、これで手打ちと芙蓉はよろしいと、この一件は終わった。
だが、緑谷はセクハラは抜きにして峰田くんもやはり強くなっているんだなと驚いた。基本的にモギモギを投げつけて拘束を狙うのが、捨て身の攻撃の体当たりもやってたのは意外な事だったのだ。
そして、やはり仮免を受かった2人、実力も個性も、自分たちに決して引けを取らない実力に、やはり緑谷は食指が疼いた。
「お二人とも、次は僕と……」
というわけで次は僕と是非手合わせをと声をかけようとした瞬間━━。
緑谷達から少し離れた場所で、凄まじい放電音が響き渡った!
「きゃああ!?」
「な、なに!?」
「上鳴のやつかぁ!!」
花霞姉妹がびっくりし、この放電は上鳴が個性を使ったかと峰田が驚く!しかし、緑谷はその放電の音に光を放った先に顔を向けて見たのは……これまた信じられない光景だった!
「か、上鳴大丈夫か!?」
尻餅をついた瀬呂と、それを守るように立っている上鳴……そして、その2人に対峙するはまたも女性!
「お、女の子なのにバイオレンスすぎじゃね!?キミ本当に聖愛の生徒ぉ!?」
「徒手空拳は淑女の嗜みですわ!チャージズマ!」
「ひぃいい!?うちの総大将なみに怖ぇえよ!!」
ブゥン!と風を切るような、大振りの、しかし強さと勢いある右のロシアンフックを必死に下がって避ける上鳴に、嬉々として踏み込む黄色の髪の少女は聖愛の生徒らしい。
「上鳴くん真っ直ぐ後ろはダメだ!右が左に避けないと、追撃が来る!」
その光景を見た緑谷は、あれはいかんと声を張り上げた。打撃戦でただ後ろに下がり続けては、ただ追撃にさらされるだけ、避けるなら左右どちらかに動いて相手の打撃の範囲から抜けなければならない?
それが聞こえたのか、右へとステップを踏んで離れようとした上鳴だったが━━。
「貰いましたわ!」
ギラン!と目を光らせて、その回避にも追いついた彼女が振るった右の拳から、黄色い電流が放たれた!
「エレクトリックフィストォ!!」
「あばぁあ!!」
右の拳は当たらなかった!当たらなかったが、その右拳を中心にし放たれた電流に上鳴が晒されて、思わず悲鳴を上げた事に緑谷も、そして轟、峰田も驚愕した。
「上鳴が電気でダメージを負っている!?」
「おいおい!?何が起こってんだ!!」
自身の個性『帯電』があるはずなのに、電気により悲鳴を上げながら間合いを遠ざけて目を見開き、痛みに唖然としているのは上鳴本人もであった。
「嘘だろ……たった一瞬だけでも、電気で痛みを感じるなんて!?何が起こってんのぉ!?」
頬に走った痛みに焦る上鳴は、それこそ今まで個性伸ばし、果ては戦いの中で放電量、そして吸収する許容量を伸ばして来た。だが……那歩島では、供給過多の『落雷』すらも受け止めたが『痛み』は感じず頭が呆けただけで済んだ、それがまさか……自身の個性でもある『電気』に、痛みを感じる日が来るとは思わなかった。
「か、上鳴!?頬、おまえそれ大丈夫か!!」
「え?」
尻餅ついた瀬呂が、さらにある事に気付く!上鳴が今、相手の電気の拳により弾かれた頬に、さながら木の枝のような紋様が浮かび上がっているのを指摘した。
「リヒテンベルク図形……上鳴くんの肌にそれができるって、彼女の電気はそんなに強いのか?誰、あの人は……」
『リヒテンベルク図形』
それは落雷を受けたり感電した人間の体表の毛細血管が、電流の衝撃波によって内出血を起こしできるシダの葉や木の枝のような模様であり、高電圧機器の放電実験で作られる模様である。
まさか、電気の個性を持つ人間に、その現象が起きようとは……つまり、彼女の……今対峙する聖愛学院の女子生徒は『上鳴電気が耐えれる以上の、電気を放てる個性』を持っている事が分かる。一体彼女は何者かと呟く緑谷に、見ていた尾白が答えた。
「彼女は加礼燈魅里安(かれとうみりあ)……聖愛学院の二年委員長で……仮免持ちの1人、聞けば俺たちと同じ多古場の会場で合格した1人なんだと」
あの会場に居た、合格者の1人だったのかと緑谷は驚くが、尾白はそれよりもと指差した。
「上鳴超えの電気の個性もだけど……彼女戦い方に迷いが無い、形ができてる……見なよ緑谷、彼女のズボンのマーク……見たことないか?」
「ズボン……あっ」
尾白が評する加礼燈の個性の強さ、しかし上鳴と瀬呂を追い詰めて見せた立ち回りの根本、その謎といい戦い方は、そのズボンに刻まれたマークが理由だと、緑谷は遠巻きに見て……気付いた。
「それは、強いな……彼女、修斗やってるのか……」
さっきの上鳴を打撃戦で追い詰め方といい、彼女は所謂、尾白くんと同じ『格闘技経験者』だったかと、緑谷は加礼燈の強さに頷くのであった。