【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
四校合同勉強合宿における、初めての訓練……それを終えて青少年交流の家に帰還した、生徒達が入浴にて汗流す中、各学校の引率である先生達は集まっていた。
「えーではぁ、本日も皆様ぁお疲れ様でしたっ……今回はぁ初めての訓練とありましてぇ、軽い自由な戦闘訓練で交流を重きに置きましたがぁ……意見交換会という事で、諸先生方々の気付いたことやぁ、訓練方針を決めたいと思います」
今回の交流訓練、1回目とありまず軽く自由にさせてみたがどうかと、司会進行を務めるは誠刃の姫鷹が皆に尋ねた。
まず、手を挙げたのが━━。
「では、そちらの……勇学園さんの」
「はい、勇学園の科内召手司(とがうちめでし)です……えー、やはり見たところ雄英が頭一つ抜けておりますね?全員仮免許持ちのインターン経験ありとなれば、それに他校生徒の大半が一つ後ろに居るなと」
勇学園のヒーロー科の引率、科内は語る。やはり、雄英高校が他校生徒より実力は高いと、その理由に関して触れず、しかし認めねばならない事であると語った。
「今回の目的は、その雄英高校仮免持ちや、他仮免持ちないし、他校生との実力を肌で感じてもらいながら、今の自分を省みて目標を立てる……とテーマがありまして、大半はやる気を出したように見えます」
そもそも今回の訓練の目的は……『先を行く者達の力を知る』という者だった。激戦区に動員された仮免許持ちの雄英高校生徒達は、明らかに他校2年より先に力をつけているのは明白。また、同じように一年時点で仮免許取得した生徒達の実力を見たり、肌で感じてやる気を出させ、自らの足りない物を探すという目的だ。
科内の目からは『大半は』いい傾向にある様子が伺えたと語られ、それを聞いた姫鷹は頷いた。
「科内先生、ありがとうございます、では次はぁ……」
「では私が」
「黒薬先生、どうぞ」
科内が話し終えて座ったのを見て、聖愛引率教師の1人、黒薬が手を挙げたので姫鷹は指名し、それに応え立ち上がった。
「科内先生の話の続き、になりますが……同時に打ちひしがれた生徒も居ますね、実力差を見せつけられた、弱さを実感した、そんな生徒達も見受けられましたので、その生徒達へのケアや指導、アドバイスをすべきかと……」
皆が皆、向上心や成長意欲を見せているわけではないと、科内も見ていただろう『陰』の部分を黒薬は隠さず語った。その実力に気圧され、萎縮し、やる気をなくしたり挫折を味わった者も見受けられたと。そんな子達にも立ち上がれるようにケアとアドバイスをしていかねばならないと、黒薬は語った。
「その通りですな黒薬先生、うちからも何人かその手の生徒がぁ出ていた……社会に出ればぁ、チャート順位を競うとはなるもお互い平和のために戦うヒーローとなる、1人でも新たなヒーローとして活躍をして貰うため、我々で背中を押してやらねばぁ……」
「ありがとうございます」
黒薬が着席したのを見て、姫鷹は雄英の引率の2人に視線を移した。
「雄英の相澤先生、管先生はぁ、何かありますかな?」
というわけで、他生徒のカンフル剤役となる雄英高校生徒を束ねる2人からは意見があるかと語られて、相澤から立ち上がった。
「私からすれば……ここで膝を折るようでは教えても意味が無いと思えます」
「お、おい相澤……」
穏やかに包まれた雰囲気を、消し飛ばすような一言に、他校引率の先生方々も空気が締まったように思えた。ここは雄英のお前のクラスでは無いんだぞと、B組担任ブラドキングこと管も流石に慌てた。
「ヒーロー活動は死と隣り合わせ、理不尽の波を前にして、それらを覆すのがヒーローです……ここで折れた人間を、無理矢理に立たせたところで、卒業一年未満で殉職リストに入るくらいなら、別の道を示してやるのも優しさと思います」
それは、AFOや死柄木弔、ヴィラン連合との渦中に居たヒーローの言葉。隠して巨悪、AFOと死柄木弔が討ち倒された、だがそれで日本が、世界が平和になったか?
否、これからなのだ、ヒーロー達は。
混沌の渦中を生き抜き、立ち上がれるヒーローにならなければならない。ここで差を知り、膝を折るようならばやがて迎えるのは殉職リスト入り……そうなるくらいなら諦めさせるのもまた優しさであると相澤の信念は変わらない。
「厳しいながら……有意義な意見をありがとう、相澤先生」
姫鷹は彼を糾弾したり宥めたりはせず、厳しくも確かにその意見もまた正しいと頭を下げた。
「どの学校であれぇ、ここに集まった生徒たちはヒーローに憧れ、ヒーローを目指す者達だぁ、何より……群訝以降のヒーローの権威失墜からぁ、我が子の安全をとヒーロー科を中退させた、諦めて別の科へ転科を踏み切った者すらいる中で、彼ら彼女らは"それでも"と残った子達……覚悟はできておろうよ、イレイザーヘッド」
だが、あのヒーローの権威失墜から、未だに転科や中退もせずにヒーロー科に踏みとどまった子達は、その覚悟はすでにあろうとくしゃりと皺顔の笑顔を浮かべた。
「何より私はぁ信じている……一度膝を挫かれようと、やがて立ち上がるヒーローは居る、あの大戦後……またスーツを纏い人々を助けに戻ってきてくれた者も居た……ここで挫けた子も立ち上がれるとぉ、私は信じたい」
理想論でしかなかろうが、姫鷹は語る。この突きつけられた差を受け止め、また立ち上がり邁進してくれるだろうと。
その為に我々教師が居るのだと……姫鷹の話に相澤は片目を一度閉じてから頭を下げた。
「出過ぎた事を言いました」
「そんな事ぁ無い、キミの優しさもまた……必要な事だろうさ」
相澤の意見もまた、違う形の優しさであり理解できる。決して否定はできないと頷けば、相澤は席についた。
「が……そうさな、相澤先生……」
「はい?」
ここで、姫鷹は相澤に話があるらしい、言葉が続いた。座ってしまったが、立つべきかとなる中、そのままでと手で遮った姫鷹は、相澤に言い放った。
「キミの意見に照らすのであれば……轟くんか……彼、いつか死にかねないぞ?」
「えっ」
「才能豊かながら、彼には……重大な弱点がある、キミはそれを気付いたか?それを克服しなければ……それに直面した時はインターンですら死にかねないと、俺は思う」
相澤は残った片目を見開いた。他校の校長より、自らが受け持った生徒が、重大なる弱点を抱えていると。
大戦で、家族の咎を背負い、兄を倒して超えた轟焦凍……その彼の『弱点』を相澤は察知できなかった事に、愕然とするしかなかった。