【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
脳無らしき異形の化け物は、目すらないイソギンチャクの顔面を緑谷達に向けて、見えているらしく距離を詰めて鋏を振り回す!
振るうだけで、挟み圧し切る事なく木々を伐採する切れ味は『個性』じみた切れ味で、間合に入る事を躊躇わせる!
「見えてるのか分からねぇが視界を潰す!息止めてくれ2人とも!」
「承知した!」
「了解!」
この脳無じみた化け物に『目』は無いが、今自分にできる事はこれくらいしかないと、藤見は両手の袖の射出機構よりゾンビウイルスガスを噴射した!
吸えばゾンビとなるため、緑谷と湧水は離れ呼吸を止めつつ離れ、脳無らしき化け物がウイルスガスに包まれる。姿が見えなくなるほど、煙幕代わりに放たれたそのガスの中……脳無らしき化け物は、そのまま緩慢ながら真っ直ぐとガスの中から出てきた。
ゾンビウイルスガスが効いた様子は無い、足取りからして、そもそも『目で見ていない』タイプかと、緑谷はこの脳無らしき化け物を理解していく。
「ならば直接攻撃を!」
次いで攻撃を仕掛けたのは湧水だった、個性により操る水が意思持つように蠢くや、地面の砂利を巻き込み脳無らしき化け物に向かい━━円刃の形となり放たれる。
「忍法!水撃円刃!!」
巻き込んだ砂利を刃とし、ウォーターカッターの如く相手を削り切る水の『丸鋸』が、脳無らしき化け物に命中!しかし!高音域な接触音に、さらに火花まで散るピンクの甲殻は水と砂利の刃を徹さない!
「湧水くん!関節!!」
「承知!!」
普通に当ててはダメだ!関節なら切り落とせると緑谷の言葉を聞き湧水は、操る即席ウォーターカッターを、片方の鋏の手首に当たる関節へ向かわせた!
火花が散るも、水の丸鋸はそのまま鋏を切り落として宙を舞い地面に落下した。
「もう片方も貰い受ける!!」
さらにもう片方!丸鋸は残った鋏を同じように切り落とせば、その間隙を見て緑谷が思い切り踏み込んだ。
脳無か知らないが、野放しにはできない!このままその脊髄をぶっこ抜いて活動停止させてやると、踏み込んだ緑谷は跳躍し、脳無らしき怪物の頭部に手を伸ばす!
だが!!
「なにっ!?」
化け物の切り落とされた両手の鋏が!断面から赤い結晶を生やして形を作り一気に再生!!向かってきた緑谷をそのまま掴もうとした!
「しまった!再生の個性!?」
「緑谷殿!!」
相手は脳無らしき化け物!様々な個性を有していておかしく無い!まさかの光景に叫ぶ藤見と湧水、しかし鋏は緑谷の首と腰に触れる寸前━━。
「おぁああ!!」
緑谷の身体が、さらに"浮いた"!
緑谷は自らの肉体を個性にて空へと引き上げて、鋏の範囲から抜けだしたのだ!
そして!脳無らしき化け物の頭上に捻りを加えながら通過し、脳ともイソギンチャクとも分からない頭部を鷲掴む!!
ボォオオン!!
容赦無い、無慈悲ながら軽快な音を立てて、化け物の頭部と脊髄をぶっこ抜き、緑谷は化け物の背後に着地。
血も吹き出さず、硬直痙攣した化け物はそのまま前のめりに倒れ、余程重さがあったらしい揺れと砂利を巻き上げた。
「は、初めて拝見しましたが……末恐ろしいですな……」
「あぁ、規格外な個性だ本当に」
触れてしまえば一撃必殺、話に聞く『脊髄ぶっこ抜き』を生で見た2人が、それぞれの感想を漏らす。対して緑谷は、ぶっこ抜いた化け物の脊髄つき頭部を傍に落としながら、倒れた化け物の亡骸を見下ろした。
「……これ、脳無?今まで見た事ないタイプだ、血も吹き出さないし意思も感じなかった……」
改めて見たら……倒した脳無らしき化け物は、そもそも『脳無』なのかと観察してそう溢した。
今まで戦って来た、倒した脳無は多少の差異はあるが……ヒーローに対して敵意と殺意を向けてきた。脳無の素体ら元々人間で、そこへ単純な命令を遂行する意思や知能を有していた。
何より、動きがあまりに『緩慢』だったと緑谷は思い返す。振りかざす触腕と鋏も、切れ味はあれど見て避けれた、藤見のガスからの目眩しから離れた際、こちらに追いつく速さもあまりに遅く……『戦わず逃げれた』くらいに、脳無にらしい脅威がいくつか欠けていた。
「お、おい!?こいつ変色してないか!?」
「えっ?!」
と、ここで藤見がある異変に気づいた。化け物が変色しだしたのだ、ピンクの甲殻がひび割れながら、赤く染まり始めたのだ。
「まずいですぞ爆発するやつでは!?」
「退避ぃいい!!」
まさかの自爆機構持ちかと、湧水の言葉に緑谷が叫びながら一気に離れ、湧水も藤見も走りながら回避行動とダイブしてうずくまった。
だが……化け物は爆発する事無く、全体が赤い結晶へと変わり、そして先程の湧水の水刃を徹さない硬さが無くなったたかのように、脆く崩壊していった。
「く、砕け散りましたな……」
「何だよ本当にこいつ……脳無じゃあねぇのか?」
湧水と藤見は、ここまで奇妙な現象を起こした化け物の、結晶となった姿に警戒しながらゆっくり近づく。脳無に関しては、第二次決戦に参加していた以上開示されていたため2人も知っていたが、こうも見たことない現象には息を呑んだ、
だが……この男だけは、違う反応をした。
「これって……」
緑谷である。
脳無らしき化け物が変わり果てた結晶に、緑谷はゆっくり近づいた2人の間から出て、近場に片膝をついて屈んだ。
「緑谷殿、何かご存知なのですか?」
砕け散って散乱した結晶の一つを取り上げて、緑谷はそれを見つめる。
似ていた……かつての決戦の前、一人雄英を出奔した際に、オールマイトから『抜き取った物』に。形こそ破片でしかない、しかしその色合いがまさに酷似していて、しばらくそれを手にした緑谷は、突如襲われた感覚に目を見開いた。
目まぐるしく変わる景色、岩肌に幾度と叩きつけられる身体……"滑落"の感覚に緑谷は、一瞬地面を確認したが自分は膝を突いているのを再確認する。
湧水の質問に黙ったままの緑谷は、懐から円筒のケースを取り出して答えた。
「……回収して、先生に見せよう、写真も撮って」
「り、了解にござる」
「まぁ、それしかできねぇよな」
結晶の一つを、証拠品を保管するケースに保管した緑谷は、さらにスマホを取り出し結晶の破片を撮影した。
今のフラッシュバックといい、化け物といい、嫌な予感がしてならないと緑谷はそれら二つを懐にしまうと、湧水と藤見に言う。
「じゃあ戻ろう、一旦合流してそれから……」
やれる事はもう無い、一度戻ろうと言った矢先であった。3人は信じられない程に冷たい突風を叩きつけられた。
「うぉお!?つ、冷てぇ!!」
「な、何ですか!?痛い程に寒い!!」
予兆も無い、突然の突風に、ヒーロースーツが翻る。そして……脳無のような化け物の出現は、まだ序の口とばかりの事態が、すでに起こっていた!
「お、おい!後ろ!」
藤見がちょうど、その光景を1番に目撃して指差せば、緑谷と湧水が振り返った。山嶺の方角の雑木林が、見る見る内に白く染まっていた!
凍結し始めているのだ!雑木林が!!何より、その光景を見た瞬間に気付く!ただならぬ冷気が、その白く染まる雑木林と共に自分たちへ向かっている事に!
「二人とも掴まって!!」
即座に藤見と、湧水へ緑谷は叫べば、二人は何故と問う間もなく言われたままに緑谷に掴まり、緑谷は自らを空に引き寄せ飛翔した!
引き寄せを利用した飛翔!眼下に雑木林を見て、まるで波のように凍結が広がる様を見てからまさかと、目の前の富士山に目を映す。
「な、何という……これは!」
「こんな事、あんのかよ……」
掴まって事なきを得た湧水も、富士山の変わり果てた姿に唖然とし、藤見も普段無表情な顔が驚愕に染まっていた。
「……一体、何があったんだ!?」
冬の富士山には、白き冠の雪が掛かり美しい、写真や絵画にも度々見る。
しかし……三人の目の前にある夏富士は……さながら氷河期にタイムスリップしたかのように、白き雪と氷に覆われていたのだった。
「み、皆は……他の生徒や先生方は無事なのでしょうか?」
緑谷に掴まりながら、この異常事態に晒された他の生徒や先生方々は無事なのかと心配する湧水、緑谷は自分たちがバスから降りて捜索隊として出発した方角を見たが……そこも既に氷と雪の範囲に晒されていた。
「分からない、とりあえず範囲から離れよう、公道が見えたら着地する」
皆は無事なのか、今は確認のしようがない。とりあえずこの氷結した富士山の範囲から離れようと緑谷は二人に言って、富士山から離れるように飛んだ。