※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

589 / 697
429話 空を歩む者

 富士山に起きた凍結現象、それと同時に静岡、山梨、神奈川にまで、名称不明の『脳無』らしき化け物達が出現していた。

 

「痛っ!なんなのよもうこいつら!地味にチクチクする!!」

 

 各地区で、ヒーロー達が避難と交戦する中……合同合宿会場を擁する静岡のエリアでは、あるヒーローが奮戦しミ=ゴを蹴散らしていた。

 

 峰山ヒーロー『Mt.レディ』である。

 

 数ヶ月前の群訝山荘の決戦、そしてAFO決戦でも活躍した、まだデビュー3年のルーキーながら、その実力は最早ベテランの彼女は、個性『巨大化』によって、現れたミ=ゴ達を一網打尽に蹴散らしていた!意思があるかも分からない、脳無に似た化け物となればAFOの事もあり、まだ回収されていなかった脳無として保護ではなく、討伐の為に容赦なくその巨大な手のひらで叩き、殴り潰していく。

 

「あの脳無じみた奴ら、ハサミがよほど切れ味がいいらしい……俺のウルシ鎖牢を悉く切り刻んで来るとは……それで痛むんじゃないか?」

「みたいです、うっわグローブに幾つも……というかこの脳無?か分からないこいつらは何なの?」

 

 巨大化した彼女の肩に着地した、シンリンカムイが、自身の必殺技で捕縛しようとしたミ=ゴ達に樹木の牢屋を断ち切られた事から、そのハサミが潰した際に刺さっているのではと指摘された。

 

 見ればその通りと、千切れたハサミがグローブに棘の様に刺さっていると、Mt.レディは気色悪いと顔を歪めちまちま外していけば、また細かい結晶に代わり落ちていく、まだ情報が無い脳無らしき化け物、ミ=ゴを見て呟く。

 

「分からん、ヒーローネットワークにもまだ情報更新が無い……兎に角避難の為にこの脳無もどきを食い止めるぞ」

「分かってますよ先輩!」

 

 情報が無いにせよ、住民の避難の為にこの現れた脳無もどきを駆除しなければならないと、肩から降りて樹木を手から伸ばし飛び立つシンリンカムイに、Mt.レディも言葉を返す!

 

「はい次!はいそこ!ああもう、結晶がうっとうしい!何これもう!」

 

 ミ=ゴの大きさは、差があるが1.5〜2m程度。Mt.レディの巨大化時は20mとなりその差は10倍……巨躯はそれだけで力となり、Mt.レディは意思があるかも分からぬ、羽ばたき、時に地面で暴れるミ=ゴを叩き落とし、潰していく。

 

 そして倒した物から、次々その肉体を結晶にして砕けて鬱陶しいと口にする。この手の個性は、恐らく『大元』というか、発生源が居るな?とMt.レディは辺りを見回す。

 

 何か居ないか……そうして注意を方々に向けると、ふと視界にとらえた物に目を見開いた。

 

「何、あれ……雲?」

 

 それは富士山の方角から、ゆっくりとこちらに接近していた。通報とヒーローネットワークから『富士山が凍結した』という異常があったが、その凍結富士の方角よりゆっくり、たしかにこちらへ向かってきた"雲"に、Mt.レディは警戒する。

 

 その雲は……通過する真下の建物を凍結させていく、その真下だけがまるで氷河期にでもなったかの様に……。

 

 何だ、あれは?私は今、何を見ている?個性で氷を扱うヴィランならば、解放戦線にも確か居たが、それ以上の範囲を凍結させながらこちらに向かって来ている!

 

「!?ふんぬぉああああ!!」

「岳山!?」

 

 雲が、突如スピードを上げてMt.レディに襲いかかる!唐突な襲撃にシンリンカムイと驚くも、包み込まれながらMt.レディは、その雲から不可視の腕がこちらを押し込んできて、ビルや家屋を破壊してしまいながらも押し返した!

 

 居る!姿は見えないが……かつて超常解放戦線で戦った『ギガントマキア』や、自分と同じ巨大な何かが自分に襲いかかって来たのだ。

 

「もしかしなくても!あんたが元凶かしらぁ!!」

 

 力比べで押されかけたMt.レディだが、そうはさせないと、その雲の中に入り込む!潜り込めば確かに身体は、その巨大な元凶らしきヴィランの肉体を感じ取り、両足に力を込めて持ち上げた!

 

「タイタンフォォオルゥウ!」

 

 そのまま前方に叩き落とす様に、不可視の巨大ヴィランらしき雲を投げ落とすMt.レディ!避難は済んでいるが、こうも巨大な相手なら仕方がない、後の弁償額なんて考えるなと!確かにそこに居る巨大ヴィランを睨みつけ━━。

 

「岳山!!大丈夫か!?」

「え━━!?」

 

 投げ返してやったこちらを、心配するシンリンカムイの声が聞こえたが、尋常じゃない様子と、ふと肉体が感じた不意な悪寒に、Mt.レディこと岳山優は、身体を見た。そこでようやく気づく!!

 

 自身の腕や肩、感覚からして背中にまで!氷柱が生えて冷え込み、痺れ始めていた!しかも、その面積は徐々に広がって来ているのだ!

 

「な、これ……!?」

 

 迂闊だった!!この巨大な不可視のヴィラン……まさか『触れたらアウト』な個性持ちだったかと、その倒れ伏した不可視の巨体がゆっくり雲から姿を変えて現れ、さらに吊り上げたように起き上がり、赤い三つの目を妖しく輝かせる!

 

 雲ではなくそれは冷気!触れたら身も凍る冷気が染め上げる巨体は、アンバランスな細足と細腕をダラリと垂らして浮き上がり、Mt.レディを見た。

 

 

 

 その数十分前……『富士の里』敷地内━━。

 

 

「シュガァアアラッシュアアアア!!」

 

 襲撃にあった合宿会場では、参加生徒総出で、ミ=ゴの掃討に当たっていた!待機組として宿舎にいた生徒達もアラートに飛び出し、現れた脳無もどきこと、ミ=ゴと戦闘に突入。

 

 砂藤の拳に打ちのめされたミ=ゴは、そのまま地面に叩きつけられ結晶となり砕け散った。

 

「危ねえ砂藤!」

「うおぉお!?」

 

 が、その背後から来たまた別の個体のハサミが振り下ろされると、そのハサミを切島が防いだ。しかし!その硬化した肉体が削られ破片が散る!

 

「安無嶺過武瑠でこれか!マジで気を付けろ皆!ハサミはマジに身体真っ二つになんぞ!!」

 

 決して倒れず砕けない、切島の必殺技『安無嶺過武瑠』で固めた肉体も、気を抜けばやられかねないと皆にこの襲撃者の危険性を伝え、共有する!

 

「エレクトリカルゥウウウ……フィストォオオ!!」

 

 それを聞いて、なおも果敢に近接戦で一気に目の前の1体から、さらに後方の2体の計上3体を感電させて、結晶となり崩壊させる加礼燈は、ふんと鼻息を荒げ呟く。

 

「他愛ないですわ、次は誰で━━」

 

 そう呟き終わる前に、風切音と金属音が背後より聞こえて振り返れば、また違うミ=ゴのハサミが振り下ろされ、それを防ぐ者が居た。

 

「気を抜いてはなりませんわ加礼燈さん!」

 

 両方にミサイルパックやガトリング、更にミ=ゴのハサミを防いだシールドは前腕から生えた様に現れている。八百万が間一髪、加礼燈の首が飛ぶのを防いだのであった。

 

「ご、ごめんなさい、悪い癖ですわ……どうも興奮すると周りが見えなく……ここからは気を付けます」

 

 悪い癖だったと自省と共に、意識を入れ替える加礼燈は、まだ敷地内に降り立ち向かってくるミ=ゴを前に、八百万と背中合わせに構えた。

 

 

 

「よいっしょあああ!!」

 

 これで、何体目か?いや、多分12体目だろうか。ミ=ゴの頭部を脊髄ごとぶっこ抜きながら、緑谷は周囲でまだ戦う他の生徒達と、降り立つミ=ゴを見て舌打ちする。

 

「これ……大元やらないと終わらないやつだな……」

 

 このミ=ゴという化け物、所謂『無限湧き』というやつかもしれないと頭によぎる。元凶である発生源を倒さねばずっと現れ続けるタイプの個性かつ、ヴィランが居るのだろうと。

 

 じゃあその"元凶"はどこだという事なのだが……それも一から探さなければならないらしい。

 

 と、ここで緑谷はふと思い出す。

 

 爆豪は、かっちゃんは大丈夫なのかと。招集組の中に居て、このミ=ゴの襲撃に晒されて、今の片手満身創痍な彼は無事で済まないのではと焦りから周囲を見回し、そして見つけた。

 

 その先では、既にミ=ゴの鋏が振り下ろされそうになっている爆豪の姿があった。

 

「かっちゃ━━」

 

 危ない!避けろ!と叫ぶ間もなく、爆豪はミ=ゴの前から光を放ち消えて、その頭上に現れた。そして閃光と爆音と共に、ミ=ゴの頭部を爆破して結晶が散乱した。

 

「ん━━」

「おい!」

「!!?」

 

 さらに、緑谷が視界に入った瞬間、左手のひらを眉間に皺寄せ緑谷に向ける!

 

 その所作の意味を理解して即座にしゃがめば、放たれたAPショットが緑谷の頭上を擦り、背後のミ=ゴを爆破し、緑谷は振り返りながらその頭部を鷲掴み頭部を脊髄ごとぶっこ抜いた。

 

「人様の心配するたぁ余裕だなぁ!?気ぃ抜いてんじゃねぇぞ!出久!!」

「ごめんかっちゃん!!」

 

 まだリハビリ中、右手は封じられたまま……。

 

 それでも!爆豪勝己は……大・爆・殺・神ダイナマイトは強い!!

 

 むしろ、片手と軽運動しかできなかったブランクとハンデの中で……無駄が削ぎ落とされて洗練すらされていた!

 

「それで……てめぇどうなんだ?」

「え?どう……とは?」

 

 そんな爆豪より、質問が投げかけられキョトンとした緑谷に、それ以上言わなければ分からんのかと呆れと苛立ちの舌打ちが響く。

 

「ここまであの顔金玉関連の奴が出て来てんだ、テメェ繋がりがあんだろ?大戦の時みてぇに気配やら感じねぇのか!」

「!!」

 

 悪夢の件といい、ここまで色々出て来てまだ気付かんのかと爆豪に言われて、緑谷ははっとした。

 

 AFOがOFAを所有していた自分を把握していた時の様に……"個性の記憶"には"繋がり"が生じる。

 

 ならば……探知できる筈だ。自分もと、緑谷は皆が戦う喧騒の中、目を閉じた。

 

 探知方法などわからない、しかしできる筈だ、できると信じろと自らに言い聞かせる。瞼を閉じた暗闇の中、小さな数えきれない"揺らぎ"を感じ取り……そして━━。

 

「街中か!?」

 

 ついに手繰り寄せた!!御殿場方面から、一際強い『AFOに似た気配』を感じとるや、緑谷は即座に自らを空に引き寄せ、かっ飛んだ。

 

「遅いわアホ、さっさと原因止めて来い」

 

 即座に飛んで行った緑谷を見上げ、爆豪は舌打ちしながらまた背後から近づいて来たミ=ゴに振り返りつつ、左の回し蹴りと共に脛から爆破を発生させて薙ぎ払った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。