【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
エピローグ 新たなる胎動
突如発生した、大規模脳無襲撃事件は、全容が分からぬままに沈静化し幕を下ろした。
『脳無』と言う、AFOの作り出した兵器が現れたと言う事もあり、ヒーロー公安委員会は即時調査に乗り出した。
凍りついた筈の富士山も……まるで最初からそんな事がなかった様に元の姿を取り戻し、黒い山肌を晒している。
さて……突発的に起こったこの事件、解決までに掛かったのは数時間という、大規模ながら時間的には早く解決したという事もあり、合同合宿は再開する運びとなった。
合宿の生徒達は、再び勉強の日々を過ごす事となる。
その傍で……流石にすぐ戻れない者も中には居たのだった。
事件解決から2日後の事である……緑谷出久は、とある場所に呼び出されていた。理由も何となく察していたが、それでもやはり緊張すると、目の前に佇むビルの中に入った。
黒服にサングラス、いかにもな服装の人に案内をされてエレベーターに乗り、上昇していく。やがて辿り着いた階層で降りて、廊下を歩きその先の一室のドアを、黒服は頷いてから開いた。
大窓に広がるビル群、その部屋に一つ鎮座する執務机……窓から外を見ていた一人の青年が、緑谷が入ってくると同時に振り返って笑顔を見せる。
「やぁ、ごめんね緑谷くん?合宿中に呼び出してさ」
「いえ、まぁ……呼ばれる気はしてましたホークス」
彼の名前は『ホークス』
元プロヒーローであり、数ヶ月前までは日本No.2ヒーローとして活躍していた『ウィングヒーロー』と呼ばれていて、現在は『ヒーロー公安委員会会長』としてその席についていた。
AFOとの戦いで個性を失い、そして前公安委員長は殺され、その後釜として担ぎ上げられてその席に座っている。異例の人事ながら、彼はヒーロー公安委員会所属のヒーローだったという事もあり、妥当な人事なのかもしれない。
「どうぞ座って、早速だけど当事者のキミに話が聞きたくてね……AFOの因子を持ってるキミにね?」
用意された椅子に座る様ホークスに促され、緑谷はその椅子に座った。一対一で、かつてのNo.2であり、今や日本のヒーローを統括する男と話す事になり、いくら当時共闘した間柄でもやはり緊張した。
部屋が暗くなり、壁にスクリーンが天井から降りて来てプロジェクターが展開されて……そこに写真が映し出された。
どうやって撮ったかは知らない、2日前対峙したミ=ゴらしき脳無の写真が映された。
「あの脳無大規模出現の後、その地区に駐在するヒーローや、警察の科捜研にも協力をお願いして脳無の残骸を集めさせたよ、そして……」
プロジェクターを操作し、2枚目の写真へ切り替わる。姿こそ見えないが、輪郭をマーキングして、三つ目の巨人の写真が映し出された。
「シンリンカムイとMt.レディが接敵したこの不可視の巨人……あの後二人と残骸を調査したら……こんなものが出て来た」
あの後、すぐに合宿会場に戻ってしまったが、何か見つかったのかと、ホークスがさらに一枚写真を切り替えれば……血晶体の中から出て来たらしい、異形の白骨が写真で提示された。
明らかに異形型個性の骨格……大柄で2m程度はあったのがその白骨から見て取れた。
だがそれだけではない……その白骨には『服』が着せられていた。
いや違う。『着ていた』が正しいか、既にボロボロになって全容が分からないが、厚手の……見てくれから"雪山を登山するため"の服装だと緑谷は見て感じ取れた。
「……この白骨は?」
この仏さんは一体?尋ねる緑谷にホークスは、スクリーンにまた別の写真を映す。
「かつて富士山を登山中に滑落して亡くなった人らしい……で、身元を調べたら……50年前に閉山期の富士山に登山した動画投稿者と身元が分かった」
随分前の、迷惑な登山客の白骨死体が、結晶体から出て来たらしい。となれば……この遺体があの不可視の巨人の『核』とやらになっていたのかと、流れから緑谷は想像した。
「で、ここからが本番ね……この結晶をセントラル病院で調べたら何だけど……大戦時にAFOの現在地を特定する為に使っていた当時の生態データと、この結晶は合致したんだ」
そして……認めたくない事が事実として突きつけられて、緑谷は思わず両手に力が入り奥歯を噛み締めた。あの悪夢に、今もまだ覚えている『繋がり』を思い出す様な感覚……やはりAFOは死んでいなかったのだ。
「キミが当時呼んでいたこの結晶……"因子血晶"には、様々な個性因子が混ざり合っていたよ、はっきり言って元の個性がわからないくらい複雑だった……今回のだけでも、巨大化に……冷気、幻影に、実体化……AFOがどれだけの人間から個性を奪い、献上されて来たのかが分かる」
「つまり……あの大量発生した脳無……あー、ミ=ゴは?」
「この登山客の亡骸に宿った因子血晶が原因だろうね……この登山客、何やらオカルトに傾倒してたなんて調べたら出て来たよ」
俄かに信じがたいが、つまりはこうまとめられる。
あの大戦の中で、AFOの因子は各地に散って行った。
因子には『意思』や『記憶』が宿り、それらが依代を求め彷徨い……その一つが富士山で回収されていなかった滑落死した遺体に宿った。
因子と、遺体の本来が持っていた個性が反応して、媒介となりより強固な意志を持ち、自律できる様になり、暴れ出した……。その結果が、富士山の凍結に脳無大量発生、そして不可視の冷気操る巨人の顕現、というわけだったと。
「だけど、一体いつAFOの因子が散らばったんだ……あの時僕は死柄木と……完璧にAFOを砕いて倒した筈だったのに……」
だがしかしと緑谷は顎に手を当て悩む、最後の瞬間……全てのヒーローが協力して道を作ってくれたあの戦いでAFOは打ち砕いた筈だった。なのに何故まだ、こうして因子となり、残っているのかと。
「それなんだけどね、緑谷くん……よく思い出して欲しいんだ」
「はい?」
「そもそも、AFOはあの時どうなっていたか……」
AFOが生きて因子となって漂う理由、それは当時の戦況を思い出して欲しいと促される緑谷は、あの戦いの事をゆっくり思い出して頭の中で浮かぶ光景を巻き戻していった。
「あ……!」
そして、思いだした。
何という事だ。
あの瞬間、AFOは『二人』居たではないかと!!
緑谷出久と全てのヒーローで打ち倒した『死柄木弔』という『依代』を乗っ取ったAFOと!
エンデヴァーにホークス、そしてアーマードオールマイト、爆豪勝己が食らいついて倒した『元の肉体』のAFOが!
「あの日、"元のAFO"は、巻き戻しの個性で有精卵まで戻って消滅したと、爆豪くんからの証言が記録されている……けど、爆豪くんは同時に、空に散っていく光を見たとも言っていた……」
より強い怖気が、緑谷の背中を震わせて心臓が締め付けられた。
「考えたくもないが、あの日AFOは死んで……奪い蓄えた因子を世界へ解き放ったんだ、それは最後の手段として隠していたか……はたまた偶然そうなったのかは分からない……けどこうして、また僕たちの前に姿を変えて現れたとしか言えない……」
「そんな……」
嘘だと思いたいが、これが事実。
AFOは『生きている』
個性因子の光となり、無意識か、はたまた消える間際の死に体の意識を宿して、世界へ散って行ったのだとホークスの推論を聞いて、緑谷の顔は苦渋に歪んだ。
あの日、戦いは終わったのではない。
戦いは、新たに始まったのであった。
次回予告!
そういえば僕たち、二年生で後輩ができたんだった!!今年入ってきた一年A組ヒーロー科と、僕たち二年A組ヒーロー科でこれから合同訓練をするのが、雄英高校二学期習わしなんだって!?
飯田くんの背を追うスポーツマンに、実家が伝統芸の家元の跡継ぎに、チャラついたパリピな子と様々な子がヒーロー目指して雄英に来た!!
僕が一番気に入った後輩?目立たないけど彼かな、ヒーロー魂を持ってるし個性もヒーローそのもの!僕が決してなれない王道正統派ヒーローとして数年後にはルミリオン先輩やかっちゃん、轟くんとチャート順位を争ってると思うんだ!
そして、特待生の彼は……オールマイト至上主義で自らを『新時代のオールマイト』なんて豪語するものだから……一年前のかっちゃんみたいで何というか生意気さが可愛い━━。
おい、お前今……轟くんに何て言った?世の中には触れちゃいけない事がいくつもあるんだ、それに触れたらヒーローだろうがヴィランだろうが、関係ないぞ?
そうか……そこまでキミが言うのなら、先輩として後輩であるキミに、ヒーローが何なのか叩き込んでやる……上がってこい、一対一のガチバトルだ!!
次回、僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア二年生編第三章!!
『一二年生合同交流訓練編』
さらに向こうへ!プルス・ウルトラ!!