【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
緑谷と麗日と八百万の蜜月は、完成次第投稿させていただきます。
433話 出来なかった授業
短い夏休みは終わり、9月。
まだまだ夏の日差し強い中で、雄英高校は二学期を迎えた。
2年の一学期はそれこそ、AFOと戦いによる進級止め置きから、復興支援による全国派遣。夏休みの3分の2を使った遅れを取り戻す勉強合宿と、全速力で駆け抜けた2年A組は、10日間の夏休みを終え、教室に登校した。
「いやー……長期の休みって久々じゃんね?中3以来じゃね?」
「たった10日とはいえ、しっかり休めたって感じするなぁ……」
机に突っ伏してリラックスしている上鳴電気の語りに、峰田実もまた賛同する。去年から色々とありすぎて、10日間も休めたのは中学以来でなかろうかと。
「ぐったりしてんじゃん、長い休みでなまってんじゃない?」
その溶けたような、力が抜けた上鳴に耳郎が苦笑するのは10日間の休みで身体が鈍ってないかと、それ程にまで上鳴はだらけていた。
だが、そりゃだらけもするよと上鳴は耳郎に語り始めた。
「10日も休みもらったらこうもなるってぇ、思い返してみな?入学してヴィラン連合襲撃に体育祭だろ?そっから職場体験に期末試験から合宿でまた襲撃あって仮免試験……」
その後に繋がるように、峰田も話し始める。
「文化祭後には那歩島でヴィラン襲撃、戻ったらヒーローインターンからヒューマライズ事件で世界へ派遣……んで超常解放戦線とやりあって……」
「ダークマイト襲撃に、死柄木とAFOと戦って……」
そして、最後に耳郎が締めると……三人は同じ事が頭に浮かんだ。
『『『俺(あたし)(オイラ)達……よく誰1人欠けずに帰って来れたな』』』
と、本当に自分たちはこの詰め込みハードレベリングアクシデントスケジュールを超えて今ここに居るのか、ちょっと信じ難くなる。
「それで10日も休み貰ったら、だらけたくもなるっしょ?休み中どうしてたよ峰田ぁ?」
「ずーっと家に居た……外に出る気もないくらい疲れてたなぁ」
「うちも……近くで祭りやってたらしいけど、ちょっといく気力湧かなかったよ」
夏休みながら、レジャーに費やす体力がないほど疲れてたんだなと自覚する三人。上鳴は首をヒーロースーツ保管棚側に向けて、そこで頬杖をつき座っている緑谷を見つけ、声をかけた。
「総大将はどうだったよ?10日間の夏休み、どこか行った?」
「え?」
尋ねられた緑谷は呆けていたらしい、少し驚き目を見開きながら話していた上鳴達に向いて、アー……と唸りを上げながら答えた。
「夏祭りに一回だけ行ったかな、それ以外寝てたり部屋で特撮見てたりだった」
「夏祭りって、雄英の近くの花火大会?」
「多分それ……と思う」
「じゃあ何人か行ってたんかぁ、俺も行っときゃよかったかなぁ」
体力あるなぁとぼやく上鳴を他所に、A組生徒は次々登校してくる。途中……麗日、そして八百万が登校すると、緑谷と目が合えば少し気恥ずかしくも微笑みを見せてきたので、緑谷も照れながら笑った。
全員二学期初日は遅刻無く揃い、予鈴がなるや相澤先生は教室に入ってきて皆を一瞥する。
「席には……着いてるな、よし……本鈴はまだだが丁度いい、効率的にこのままお前らに今年の二学期の流れを話そうと思う」
本鈴はまだだが説明の時間ができたならさっさとしておこうと、2年A組の二学期は始まりを告げた。
「さて、二年生の二学期だが……雄英の本来のカリキュラムであればヒーローインターンはこの時期からほぼ全員始まる、6月の仮免試験に受からなかった者はここで再挑戦、駄目ならば三年6月のラストチャンスまで鍛え直しの期間だ」
相澤先生が語る雄英高校ヒーロー科本来のカリキュラムは、6月と9月の仮免試験で合格した2年生がここで初めて『ヒーローインターン』を始める時期と説明した。
現在、ヒーロー科で仮免許を持っていないのは普通科から編入した心操人使のみである。
「心操、お前は今年6月に復興支援で受けられなかった三年団と仮免試験を受けてもらう」
「はい」
心操は、そのラストチャンスすら潰された三年団の仮免未取得組に混ざり、仮免試験に挑む事になる。夏の勉強合宿中も欠かさず毎週個性伸ばしトレーニングをしていた彼なら、受からないなんて有り得ないと、緑谷は返事をした心操へ心中でエールを送った。
「あの、じゃあ俺らこれからどうするんですか?仮免取ってるからヒーローインターン?」
「に、なるな、一年の冬休みから三学期と変わらない」
切島に、ではこの二学期は何をするのか尋ねられた相澤先生。ここから始まるインターンは、既に仮免持ちとなったA組はそのままヒーローインターンを続ける事なかなると語る。
「で、だ……実はな、一年のこの時期に本来やるはずだった雄英高校の恒例行事があってな?去年はヴィラン連合への対策を急いで仮免取得の為に圧縮訓練や合宿もあってやらなかったんだが……それを今年はやろうと思う」
相澤は語る、この二学期始まりからやるはずだった『恒例行事』があったが、去年は仮免試験の為にやらなかったので、それを今年はやる事になったと。
「恒例行事?」
「何々!?何か特別な行事があるの!!」
一体何だと尾白は身構え、芦戸はその響きからワクワクして歓喜の声色で相澤先生に尋ねた。
相澤先生はそのまま黒板ディスプレイを操作し、映し出される文字をA組は全員で追った。
「「「「一二年生合同交流訓練??」」」」
ディスプレイを軽くコツコツと叩いて、相澤先生はA組生徒に言った。
「そうだ、雄英は二学期から一年生と二年生は合同で訓練を行うのが本来の雄英高校のヒーロー科の通例だ」
ディスプレイを消して教壇に立つ相澤先生は、説明を始めた。
「一年生は一学期でヒーローとしての基礎を学び、二学期からは応用の時期に入る、その際に二年生は一年生を指導し、サイドキックとの連携を実習する……いわば、擬似的なヒーローとサイドキックとなり訓練にあたるんだ」
成る程と、緑谷は頷く。
プロヒーローは事務所を設立し、その相棒としてまた違うプロヒーローを雇う。それが相棒、即ち『サイドキック』である。
一年生は一学期でヒーローの基礎を学んできたので、応用を二学期から学ぶ。その際に学ぶ相手というのが二年生であり、彼らを『ヒーロー』と見たて、1年間学んだ先達の在り方や強さ、経験を近くで見て学ぶ。
対して二年生は、一年で学び終え、現場に出て活動可能となった実力を後輩に示すと同時に、自分がプロヒーローとなり、独立してサイドキックを雇った際の連携を実習で経験して学ぶという事かと。
擬似的なヒーローとサイドキックの関係を、先輩と後輩で組んでプロヒーローとしての鍛錬を積むのが、雄英一年と二年生の本来の二学期カリキュラムらしい。
「早速だが今日のヒーロー実習から開始する、各自ヒーロースーツに着替えグラウンドβに集合、遅れるなよ」
「「「はい!!」」」
早速今日から始めると、相澤先生の号令と共にヒーロースーツケースの棚が開き、全員が返事をあげてヒーロースーツケースを取り、更衣室へ向かった。
「そうだよ、俺たち二年で後輩居るんだよ!すっかり忘れてた!!」
「復興支援の時と、一度轟ちゃんと爆豪ちゃんの追っかけで顔を合わせたくらいだから、まだしっかり顔合わせしてないのよね」
着替え終えた二年A組はグラウンドβに移動する傍ら、瀬呂がマジで頭から飛んでいた事を叫ぶ。蛙吹も、しっかり顔を合わせてないし、その機会が無いほど復興支援の派遣で忙しかった事実を反芻する。
「ま、ここは?一年を乗り越えてあの戦いを生き抜いたオイラ達先輩の実力をしっかり後輩達に見せてやろうぜ」
「だな!可愛い一年ガールズにしっかりかっこいいとこ見せねぇと!」
早速先輩風を吹かしながら自信満々に歩く峰田に、上鳴も賛同する。何人か苦笑を漏らす中、この男もまた病み上がりながら久々にいつもの笑みが浮かんでいた。
「調子乗ってる野郎がいたらキッチリシメねぇとなぁ……」
「いやいやシメるとか、ヤンキー校じゃねぇんだぞ爆豪」
爆豪勝己……心臓は完治し、右手はリハビリ中ながら相変わらずの……いや、久々に見た元気な姿に切島はどの時代のヤンキー漫画だよと苦笑いを浮かべながら諭す。
「そうだよかっちゃん、後輩には優しくしないと……」
緑谷も爆豪にそれはだめだよと笑いながら指摘した。
が……爆豪、ここぞとばかりに緑谷へ向いて真顔となりながら言い放つ。
「どの口が言ってんだ?折寺中学校の裏番長、テメェそもそも中学一年生の時から入学して三日で二、三年シメあげて、新入生も毎年漏れなくシメて折寺周辺に恐怖政権敷いてただろうが、言葉を借りるなら……過去は消えねぇぞ」
「ぐはあ!!?」
「え!?」
急所を貫かれたように、緑谷は崩れ落ちた。その爆豪の話に切島は驚き、先を歩いていた上鳴や瀬呂も何事かと達泊まり、四つん這いに倒れた緑谷を見た。
「え、え!?み、緑谷って元ヤンだったん!?」
「爆豪のが元ヤンじゃなくて!?」
「えー!緑谷が!?髪染めてたりしたの!?」
緑谷は中学時代元ヤンだった!?まさかの事実に野次馬で上鳴と瀬呂が爆豪の元に駆け寄り、芦戸も詳しくと近寄ってきた。
「いや、その……ヤンキーじゃなくて、中学時代は、荒れに荒れていたというか……折寺中がそもそもヤンキーとヴィラン候補の巣窟というか……」
「入学一日目で俺含めた一年全員の脊髄ぶっこ抜いて心折って、二日目に二年の9割を病院送りにし、残り一割はICUへ……三日目には三年全員の脊髄付き生首を学校の窓に吊るして晒していたのがこの大戦の英雄様だ」
弁明を、弁明をさせてくれと緑谷が手を伸ばすのを他所に、緑谷の前科全てを嬉々として暴露する爆豪。それらを聞いた切島、上鳴、瀬呂は……。
『『『あー……ブチ切れた緑谷(総大将)ならまぁ……やりかねない』』』
と、閉口して信じるのだった。
「……荒れに荒れてたんだ、オールマイトに出会うまではね、何回か皆にも言ったけど……オールマイトが留置所に来てなかったら僕は、皆の敵になっていたと確信できるくらいには」
「留置所って……総大将なにやった……いややってるわ!入学三日で三つ事件起こしてるわ!」
「あ、違う違う、オールマイトが留置所に来たのは、僕がヘドロのヴィラン危うく殺しかけた時で……」
「その三日間で死人は出んかったん……?」
「……うん」
「緑谷!?せめて即答してくれ!!」
言い訳にしかならないが、荒れてたのは認めると、緑谷は立ち上がって上鳴達に語る。それこそ憧れである、オールマイトが留置所に来てくれなかったらヴィランになっていた位に不安定な時期だったと。
「後、そもそも折寺中学校自体がヤンキーとヴィラン候補の巣窟だからね、個性使った喧嘩当たり前、先生は内部の荒廃を秘匿するわ、夏休み明けたら女子が数人登校しないどころか、妊娠して子供産んでたりとか……」
「「「子供産んでたりとか!?」」」
「毎年一回は女子トイレから赤子の鳴き声聞こえてたよ……」
「そんな中学からよく雄英受かったね、2人とも」
「鈴◯とか鳳◯とか鬼邪高◯じゃん、中学なのに……」
雄英もそんな学校からの入学願書を良くもまあ受け取って緑谷と爆豪に入試受けさせたなと、話を聞いていた瀬呂達は驚くのであった。
「お!もう後輩たち先に着いてんじゃん!」
そんな語らいをしながら、歩いていればA組はグラウンドβ入り口に到着。上鳴がそう言い放つと、その前で待つヒーロースーツに身を包んだ一年生を引率するのは……。
「来たかイレイザーヘッド、今日はよろしくたのむ」
「こちらこそ、エクトプラズム、お待たせして申し訳ない」
雄英高校ヒーロー科教師の1人、エクトプラズム!そして━━。
「一年A組整列!今日から訓練を共にする二年A組だ、しっかりと挨拶するように」
彼が担任として率いる、雄英高校新一年A組が、号令を聞いて整列し集まった!