【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「あの受精卵小僧……受精卵どころかまだ受精してない卵子に翻弄されおってからに、今の今まで強大な敵を相手にしておったから、ああいう素早くしぶとい奴との戦いの勘を忘れておるわ」
1人は、老齢の身長の低い男であった、自分の正統後継者の力を見極めてほしいと、電話で呼ばれて来てみれば、ここまで好きにされている託された生徒の無様に頭を押さえた。
「帽子で目線、スカーフで口元を隠し動きを悟られない様にする、基本中の基本だろう……ヒーローのコスチュームは着るだけではなく実用と意味を持っている……が……あの帽子が気に入らん、オールマイトを模すならちゃんと作って欲しいものだ」
片やメガネの男は、かつての相棒の衰えとコスチュームの意味を忘れていた事、その少年の帽子が気に食わないと苛立ちを混じらせてつらつらと語り、2人は同時に同じ言葉へ行き着いた。
「「衰えたな、オールマイト」」
やっとこさ気付いたオールマイトは、なんとーー。
「!?」
「下がったーー!?」
バックステップで緑谷との距離を離し。
「悪いな緑谷少年!大人気ない事するよ!」
着地と同時に、大ぶりのアッパーを空振りで放ち!剛風が緑谷を叩きつけた!
「うぅう!?」
台風の中を立たされたようだ、ふわりと足が浮き上がり、帽子とスカーフが剥がされて二階まで飛んでいく。出鱈目だ、正義の象徴!出鱈目だ!No.1ヒーロー!!腕を空振り一発でこれかと、緑谷は改めてその強さを実感した。
着地をして、目線と口元を隠して悟られない道具を吹き飛ばされた。しかしだ……それよりも、教師陣が驚いたのは……オールマイトが手加減込みとは言え下がらされた事だ。
「強いな!緑谷少年!誰に教えてもらった!!」
一体誰から教えてもらったんだ、オールマイトの言葉に緑谷はこう答えた。
「動画サイトの格闘技の基礎動画と、母さんと父さんが借りてくれたヒーロー番組のブルーレイ、あと……ゲームと、色々だ!!」
それは……師匠なんて居ない、独学と同じだと宣うようなもの。それを聞いたオールマイトは、心中にて呟いた。
『知ってるともさ……』
折寺地域の山中……打ち捨てられたアスレチック公園ーー整備も行き届いてない、忘れ去られた場所に、オールマイトと緑谷引子が2人で来ていた。
緑谷邸宅からだいぶ離れた、片道10km……山の中に建てられたが、最早誰も遊ばない公園に……打ち捨てられたトラックのタイヤ、ハンマー……タイヤを重ねて吊るしたお手製のサンドバッグ……幹の削れた自然木には、血の跡が染み込んでいる。
オールマイトは、彼の机に置いてあり、持って来た大学ノートを手に取り、目を走らせた。
『立木打ち……自然の木を叩いて、蹴って、硬い拳、脛を作り上げる……どんな硬い相手も打ち砕く為に』
『タイヤを叩くトレーニングを見た、打ち捨てられたのを使おう、ハンマーはホームセンターのでいいのだろうか』
『古武術の、投げ縄苦無の動画を見つけた、スコーピオンのようにうまくいかない、練習あるのみ』
『僕は、ヒーローになりたい……いつかなる為に、情報を集めて色々試そう……強くなって、母さんや父さんを守りたい』
『たとえ、個性が使えなくても、使わなくても強いヒーローになれば……皆は認めてくれるだろうか?』
『オールマイトみたいなヒーローじゃなくていい、最強なんていらない、いちばんじゃあなくていい、ただ……泣いてる人、困ってる人を助けられるヒーローになりたい』
『ヒーローになる』
『ヒーローになりたい』
「自分の個性が悪と言われ、ヒーローにはなれないと聞いたあの子は泣いてました。友達からもいじめられて、やり返せば恐怖される……なら、自分の力でと、ここを見つけたみたいです」
「お母さんとお父さんは、ご存知で……?」
「後を追って知りました、泣きながら木々を、拳と脛を血に染めて殴って、蹴って……この超人社会で廃れてしまった技術を掘り起こし、何もいない所に試す……そうしては動画を確認して1人練習を……」
彼の徒手空拳、ひいては好んで使う鎖のルーツがこれかと、彼のノートのタイトルをなぞる。
『個性を使わずにヒーローになる為の、研究ノート』