【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「いや〜……今年の一年生……濃いかったよねぇ」
「ほんと、個性的だったよねぇ」
訓練終えて二年A組教室。芦戸三奈は後輩達のキャラの濃さや、その個性に感想を漏らして葉隠透も頷いたように制服が動いている。
「個性の世代的には俺たちと同じだよな?下手したら、第六世代に片足入ってる奴も居たよな」
「一年違うって感じしねぇよ、結構実力持ってる子居たから気を抜いたら追い越されかねねぇよ」
切島も話に加わっており、彼らの個性の強力さは同世代と思えないと、上鳴も頷く。
『個性』には世代があり、その始まりの『光る赤子』と同じ時代に確認された世代を『第一世代』としたならば、この時代の少年少女は『第五世代』の個性持ちと呼ばれ、まだ小学生や幼児は『第六世代』に区分された。
世代を超える事に、個性は強く、複雑化していっており……やがて個性が人に制御不能な事態や時代が来る事や、その個性自体を『個性特異点』と提唱したのが……AFOの側近であり、投獄中の研究者『殻木球大』である。
今回の後輩達の中には、中々強力な個性持ちも居て、修羅場を乗り越え一年雄英で学んだ彼らも、気を抜けば追い越されかねない実力を持った、個性を持った者が居た。うかうかしてられないと、A組の面々は気を引き締める事となった。
「そういえば……この一回だけじゃないんだよな、合同訓練って?」
「ああ、今後のヒーロー訓練全てが一年と合同で行われ、僕たちは彼らに指導しながら学んでいく事になる、同時にヒーローとサイドキックの連携を僕たちも学ぶことになるな」
彼らの話を聞いていた峰田が、そう呟けば同じく聞いていた飯田がそうだと、今後のヒーロー訓練は一年と合同になると語り、峰田は項垂れた。
「おいら達、しっかり先輩やれるかなぁ……」
「そこまで気負わなくても大丈夫だよ、峰田くん」
「飯田は道走って同じタイプの後輩居るからいいけどさぁ……」
自信が無いと嘆く峰田を飯田は元気つけたが、峰田は気落ちしていた。一年の強い個性や中々の実力に、少し自信が無いみたいだった。
「でもよ、サイドキックの練習だろ?仮にだけどさ!俺ら独立した時にサイドキックにしたい子とか考えねぇ?俺、紙式ちゃんとか勧誘してぇよ!」
だが、意気消沈する事ばかりでは無い。こヒーローとサイドキックの連携を覚えるカリキュラムで、卒業後のプロヒーローとなって、独立した暁には彼や彼女らを是非相棒に据えたいとも感じたはずだと、上鳴は妄想を語る。
そんな彼が選んだ『式紙』の個性、紙式折絵を是非勧誘したいという上鳴に、耳郎が呆れた。
「馬鹿丸出しの下心見え見え……そもそも選ぶなら相性考えなよ、まぁ独立以前の問題だろうけど」
「何だよ耳郎〜いいじゃん少しくらい希望語ってもよぉ……」
サイドキックとして選ぶのは容姿や自身の欲ではなかろうと耳郎に指摘された上鳴は、少しくらい夢見てもと容赦のなさに不満を漏らす。
「爆豪はどうよ!こいつと組みてぇとか、雇えるならって奴居た?」
切島は窓を見ていた爆豪に、お目にかかる後輩は居たか?と言われて、少しだけ切島の方に向いて答えた。
「……居ねえ、どいつもこいつも三下だわ」
「うわー辛辣……」
皆無だと切り捨てた爆豪に、心操は苦笑した。だが、この爆豪の返答に瀬呂がニヤつきながら語る
「居ない、かぁ爆豪……俺は俺の力だけでNo.1になるからサイドキックなんざいらねぇんだよ……とは言わないんですなぁ」
「ああ!!?」
一年前の爆豪ならこう言っていただろうな瀬呂の真似に、爆豪は安定の怒声を飛ばす。いや本当、言いそうだ、言ってたような気がすると上鳴や芦戸も笑う中……峰田がふと気付く。
「あれ?緑谷は?帰ってきてない?」
「本当だ、もう授業始まるけど……総大将どこ消えた?」
緑谷出久が教室に居なかったのだ、訓練終えて着替えてから、姿を見てない。一体どこにと上鳴も教室を見回したが、彼の姿は無かった……。
「あ、あの……何か御用でしょうか……緑谷先輩」
その緑谷出久は……先程訓練を共にした一年A組の教室の前に居た。突如ドアが開き、
一年A組は戦慄した。あの緑谷出久が尋ねてきたのだから……。
この時、一番恐怖を感じたのは、訓練中のナンパを指摘され『殺すぞ』と言われた、晴日軽二郎だろう……。いかにも、調子乗った後輩をヤキ入れに来た先輩のそれで、即座に自身の机から離れて教室の隅にて見えないように隠れる程だったのだ。
対応に出た紙式も、先輩からお叱りかと身構えてはいたが……緑谷は、その怯える彼女の気配にも悲しくなりながら……しかし授業中の自業自得でもあるので受け止めて、彼女に頼むのだった。
「光活人くん、居る?呼んでもらえるかな」
「え?は、はい!光くん!緑谷先輩が呼んでる!!」
「え!!」
まさかの指名に、光は即座に立ち上がった。これに安堵した晴日だったが……逆に呼ばれたクラスメイトの光の身を案じた。
「いや、これ、あれよな?今日の訓練よな……ぜってーー……」
光は、今日の合同訓練で緑谷とチームを組んだ。しかしその内容ははっきりいえば散々なもので、脚を引っ張った無様なものだった……そのお叱りとヤキ入れに指名が来たのかと、呼ばれた光も覚悟したような雰囲気で、緑谷の下に向かう。
「ま、そうなるか、墓くらい建ててやるか」
「斥野くん!お前なぁ!?」
妥当な呼び出しだわなと斥野は飄々と揶揄い、その言葉に道走は指摘した。
光はそのまま、緑谷と共に教室の外に消えて……しばらく静寂が一年A組を包んだ。誰か見に行けよ、嫌だよ怖い、殺されるぞと好き勝手言い合うA組面々。
そして、1分足らずで光は何事も無く、教室へ帰還した。
「ひ、光くん大丈夫だった?何か言われた?」
具来鳴明日が、大丈夫かとまず近づいて尋ねたが……具来ははっとした。
光の表情が固まり、放心しており……そのまま彼を見て光は、口を開いた。
「……僕、今日殺されるかもしれない……緑谷先輩が……放課後話があるって……」
それは最早……死刑宣告であった。
たとえそれが、緑谷出久にそんな意思も思惑が無いとしても……。
今の『緑谷出久先輩が後輩を呼び出す』という事態は、そう捉えられても仕方がない程に……緑谷出久ことイーヴルヒーロー・イズクの恐怖は日本……いや世界に伝わっていたのだから。