【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
光活人は生きた心地がしなかった。
かのAFOと死柄木弔を打ち倒したヒーローであり、今や世界中のヴィランが恐怖するヒーロー『イーヴルヒーロー・イズク』こと、緑谷出久が、自身を放課後に呼び出したのだから。
理由はわかる、今日の合同訓練の無様なやらかしだと。そのお叱り……で済むわけがないと、光は下駄箱に足を動かしながらこの後の自身に起こる事を想像する。
『選べ、雄英を辞めて他校に編入するか……僕に殺されて終わるか!!』
下駄箱の先で、必殺技の構えを見せて待つ緑谷先輩を想像した光……いよいよ下駄箱に辿り着く。
このまま逃げたいな、そうだ逃げてしまえばと考えが彼によぎったが━━。
「お、来た来た、光くんおつかれさま」
「あ━━」
どうやら……死は免れないらしい。緑谷は既に彼を迎えるため、待ち伏せていた……。
明日にはクラスメイトに会えなくなる……そう理解した光は、覚悟とは程遠い諦観の眼差しを緑谷に向けるのであった。
そんな覚悟や諦観に包まれていたのが、数分前の事である━━。
「はいどうぞ」
「あ、ありがとう……ございます?」
「あ、甘いの苦手だった?」
「いえ、大丈夫です」
光活人は、校舎裏に連れられる事も、下駄箱前で必殺技にて処刑される事も無く、自販機から取り出した缶コーヒーを緑谷が投げ渡すのを受け取って、苦手だったかと尋ねられた。
すぐにプルタブを開けて飲んで見せ、そのまま歩き出した緑谷に、光はついていく事になった。
「あ、キミの下校路こっち?」
「あ、はい、駅で電車通学なんで」
下校路と違う道について来させてないかと、緑谷は確認した。同じ電車通学と聞いて、そうかと緑谷は頷き、しばらく缶コーヒーを飲みながら歩いて、しばらく静寂が続いて耐えられず、何用で呼んだのかと光は先に尋ねる事に決めた。
「あの……」
「今日の訓練だけど」
「あ、はい」
が、タイミングが被った。しかし、呼んだ理由は光や、クラスメイトの予想通りだった。訓練のやらかしだ、そのお叱りと分かっただけで光は気が軽くなった。説教が始まるのは仕方ない、何しろ全く何もできなかったのは事実だから。
「キミの個性……もしかして"救助に向いてない個性"なの?」
「え?」
「結局一度も使わずに終わったからさ……余程救助活動に向いてない個性なのかって、ちょっと気になってさ」
緑谷は、彼の今日の訓練内容を責めるために呼んだわけでは無かった。むしろあの短い時間の中、光は"一切個性を使わなかった"為、彼の個性は救助活動には向かない個性だから、自力で走って活動していたのかなと思って気になったのだ。
「まぁ、そうかなと……というか、僕の個性はヒーローに向いてないのかなって、最近思ったりして……」
光は、自身の内情を吐露した。雄英に合格したはいいが、自身の個性はヒーローに向かず、今日も訓練で無様を晒してしまい、より強く感じてしまったと彼は言った。
「僕の個性……ありきたりで、道走くんや晴日くん、紙式さんみたいに独自性があったり、斥野くんみたいに強力というわけでも無くて……かといって今日みたいな救助訓練では使えないからいつも皆より数歩遅れるし……戦闘でも単純だから……」
「そう……」
光の話を緑谷は最後まで聞いた、個性は何かしらないが、他のクラスメイトのような『独創的』ではなく、さらに『ありきたり』であり、戦闘に関しても『単純』で強くない個性だから、雄英に入れはしたがヒーローに向いてないと周りから置いてかれ感じ始めていると。
だが……そもそも彼らは入学止めおきもあってまだ彼らは3ヶ月満たないくらいしか雄英に通ってないヒヨッコどころか、オールマイトから言葉を借りたら『有精卵』だ。
そんな短期間でも、目を見張る活躍や力を見せた後輩も居たが、緑谷は笑って光に言った。
「そう落ち込まないで、これからまだ授業や訓練で先生方々が厳しく優しく教えてくれるからさ、ゆっくり確実に積み上げて強くなればいいんだ」
「は、はい、ありがとうございます」
そうだ、まだ数ヶ月で、彼らは自分達みたいな修羅場を潜って、立ち向かうために『強くならざるを得なかった』わけではないんだ。
まだ焦る時間じゃない、地道に積み重ねていけばやがて追いつくと、緑谷は後輩を諭した。
あー……今僕しっかり先輩やれてるかもと、ちょっと先輩風吹かせた事に悦を感じた緑谷は、もう一つ気になった事を尋ねる事にした。
「ところで、結局光くんの個性って何さ?」
そう、彼の個性だ。
独創性も無く、単純、よくある個性……となれば『筋力向上』とか『火炎』とか?そのあたりかなーと、彼からの自白を緑谷はまった。
「あ、僕の個性は"光線"ですぅううう!?」
その答えを聞いた瞬間、緑谷は右手で即座に光の顔面を鷲掴みにして軽々片手で持ち上げ吊り上げたのだった!!
「ええっ!?ちょっ!!緑谷先輩!!ぼっ、僕何か!気に触る事言いましたかぁああ!?」
顔面や頭蓋が軋みを上げる!痛みよりも、突如先程優しかった緑谷が180度手のひら返しと共に行った凶行に、何故と光は尋ねるしかできなかった!!
「ああ、ふざけた事抜かしやがったなお前ぇえ?なぁにが"ヒーローに向いてない"?舐めてんの!?ねぇ!?そんなヒーロー向きの個性だったら僕が欲しかったよちくしょーー!!こちとら人殺すしかできないしグロテスクだし!!挙句AFOと同じになりかけたんだぞこのやろーー!!うーらーやーまーしーいーなーー!!」
緑谷はそれはもう大激怒だった。
当たり前である!個性"光線"だなんてそれは神様から『キミはヒーローになりたまえ!』と授かったも同然の祝福である!!何故か!!
理由は単純!
『光線が撃てるヒーローは、かっこいいから』だ!!
片や緑谷出久!個性『脊髄ぶっこ抜き』!!ヴィランも真っ青なヴィランお似合い残虐個性!!その個性に生まれ荒れた時期もあったが、AFO因子が射たれなければ『引き寄せ』であったものの……地味!!光線と比べたら地味極まり無し!!
それを貴様『独自性が無い』だの『ヒーローに向かない』だの『単純』だのと抜かしやがったので一気にボルテージがメーターを振り切ったのであった!!
「あだだだだギブギブギブ!!で、でも緑谷先輩!!ぷ、プロヒーローでも、光線系個性を持っているヒーローは、数千人は居て!!このヒーロー社会崩壊後も1000人割ってないありきたりなんですよ!?ありきたりって言われるのは事実じゃあないですかぬぁああああ!!」
光の反論を聞いて、緑谷は彼の顔から手を離した。ドサリと地面に落ちた光は、呻きながら頭蓋が軋んだ痛みに左右に転がるのを放って置き、緑谷は彼の反論に頷かざるを得なかった。
その通りであり、この子よく知っているなと。
『光線を放つ』個性は、プロヒーローでもそれはたくさん居た。発射できる部位や威力は違えど、はっきり言えばそれだけ『ありきたり』であり『飽和状態』な個性なのは間違いなく……仮に今でも、崩壊前の社会でも……プロヒーロー事務所を調べたら、そのヒーローないしサイドキック達に『一人は居る』くらいには居ると、緑谷の脳内ヒーロー名鑑(現在本年度版更新作業中)にも名前がいくつも上がるくらいだ。
というか……類似した個性で『レーザー』なら緑谷の知るヒーローに二人もいる。
『キラキラが止められないよ!!』
青山優雅(彼)と……。
『あぁん!!最近だらしねぇな!?』
ビリー・H(彼)だ。
二人とも強力なビームを武器とするが……この二人程の威力か独創性は彼にあるのだろうかと、緑谷は気になった。
「……ちょっと付き合ってくれる?
「ぬぁああ……は、はい?」
「キミの光線がどんな物か見たい、今から雄英戻って体育館γを使わせてもらう!行くよ!!」
「ああ!?ちょっと緑谷先輩!?僕今日見たい番組が━━」
「ヒーローが番組一つ我慢できないでなれるか!!両親に録画頼んどきなさい!!」
緑谷はこうなれば取らない、無理矢理に光を個性にて引っ張り、来た道を戻り雄英高校に緑谷は帰還するのであった。