※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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幕間 劇しい光は時に人を狂わせる

「本日はお世話になった、イレイザーヘッド」

「いえ、こちらこそエクトプラズム……本来出来なかったカリキュラムがようやくできました」

 

 仮眠室にて、此度の合同訓練の反省会を一年A組担任エクトプラズム、そして二年A組担任イレイザーヘッドこと、相澤消太は行っていた。今回の訓練内容のチーム別成績、個人の傾向をそれぞれ確認しながら、今後の授業内容を二人は調整していたのだ。

 

「今年の一年生……第6世代に含まれそうな強力な個性持ちも見えますね」

 

 相澤が受け持つ二年生は『第5世代』個性として分類される世代だが、エクトプラズムが受け持つ一年生の中には、さらに強力で複雑な『第6世代』に近しい者も居る。世代間の個性の差は中々に強く、二世代も違えば手を焼くくらいには生まれ持った強さが違うのだ。

 

「ああ、特に特待生の斥野くん……今日はダミーの横着に厳重注意したが、中学から成績もトップ、期末も学年総合一位、実技もトップの評価を他の先生も下した……まぁ、性格が少々な」

「去年の爆豪がマシに見えるのはどうなんでしょうかね……変われないなら、いかに強く賢かろうがこの先通じないでしょうが」

 

 最初に話題に上がったのは噂の特待生『斥野力弥』であった。確かに筆記と実技を一学期トップで突破した、他の一年生より秀でた男だが、完璧な存在は居ないとでも言うように、その性格の悪さもしっかり先生達は知っていた。

 

 よく捉えるなら、自信に満ち溢れた自信家のリーダー気質。

 

 悪く言うなら、自信過剰で他人を見下す心無い輩。

 

 ヒーローとしてこれはよろしく無いが、矯正できるかは彼次第だなと二人は語った。そして教師である以上変わって欲しいとも願うし、その為に力を尽くすつもりだとエクトプラズムは意思を示す。

 

「対して、同じく緑谷と障子と組んだこの……光は」

「彼はいい個性を持ってはいるんだが、自信がないのと不器用でね?個性伸ばしを重点的にやれば良くなると思うんだ」

 

 名簿とその成績を相澤が眺め、ある意味ありがちな実力不足に陥っている少年かと、性格面に問題は無い分、技術指導を重点的にかかれるなと判断してすぐ名簿を戻した。

 

 合同訓練のいいところは、組んだクラスの担任とこうして一人一人、生徒達の傾向や合った訓練内容を相談できる事だろう。まぁ人数は二倍なのだが、相談できる相手の有る無しはやはり大きい。

 

 そして……自身のクラスの一年間の成長は凄まじく、即席チームでも見事に一年をフォローして動いていたなと、相澤は此度の訓練の備考欄を見直しながら思った。ヴィラン連合の侵攻による圧縮訓練と仮免許取得の前倒し、様々なアクシデントを乗り越えたが故の強さとでもいうべきかと思い返す中、仮眠室のドアが開いた。

 

「失礼するよ、お二人とも」

「オールマイト、お疲れ様です」

 

 現れたのはオールマイトだった、エクトプラズムが挨拶を返す。彼もこの合同訓練を見学していたなと、相澤は会釈して迎えた。

 

「新しい一年生、皆いい動きをしていたね?驚いたよ本当に、色々あったが……次世代のヒーロー達の未来は明るいと思いたいよ」

 

 掛け値無しに彼は褒めているのだろう、何人かは指導が必要ながら褒めて伸ばすのがオールマイトの指導方針なのか……相変わらずズボンの後ろポケットに『猿でも分かる指導方法』を未だに入れているのを、相澤は指摘しなかった。

 

「……貴方に憧れて、この雄英に入りプロヒーローに進んだ者達も多い、今年の一年生や受験生にも、オールマイトに憧れてと何人が面接で言ったやら」

「引退してなお人気は衰えてないですね、オールマイト」

「いやぁ……小恥ずかしいななんだか」

 

 大凡が貴方に憧れこの学校の門を叩いたと、未だに人気があるのは、やはり長い期間平和の象徴として積み上げてきた実績に伝説故だろう。改めて言われたらやはり恥ずかしいと頭を掻くオールマイトも、ソファに座り名簿を一つ拾い上げた。

 

「あ、この子は……今年の推薦枠の一人で、緑谷少年と障子少年が組んでた……」

 

 オールマイトも、彼には目を引かれたらしい。斥野の名簿を見ながら確かと思い出すと、エクトプラズムが説明した。

 

「斥野力弥です、今年一年でB組含め一年生の主席を維持しています、筆記に実技も……」

「へぇ!それは素晴らし━━」

「性格は少々酷いですが」

「えぇー……そ、そうなの?」

「何というか、貴方に狂信的な部分が見られます」

 

 素晴らしいなと褒める途中に、相澤から難点を語られて苦笑するオールマイト……なによりその理由が貴方にあると言われ、どう言う事かと相澤に目線を向ける。

 

「彼のヒーロー名、ネクストマイトと名乗っているんですよ、彼自身も"僕が新時代のオールマイトになる者だ"と豪語するくらいに……だからそう名乗ると」

 

 相澤の語る斥野のヒーロー名に、オールマイトは怪訝な表情を浮かべる。ほんの少し前ならば『私の名前から取ったのか、微笑ましいなぁ』となっていたかもしれない。

 

 実際……『〜マイト』と名乗るヒーローはかつて一時期居たのだ。自分に憧れ、続きたいと様々なヒーローが……。

 

 ある者は自分の道を見つけ改名し、ある者は至れずにヒーロースーツを脱ぎ、ある者は志半ばで散った。

 

 やがて……『マイト』を付けるヒーローは、自分以外聞く事は無くなったが……群訝、蛇腔の戦いで爆豪勝己が『大・爆・殺・神ダイナマイト』と名乗りを上げた。もしかしたらただのダイナマイト由来で自意識過剰かもしれないが……。

 

 だが……自身の名前が、暗雲に包まれる事件が起こった。

 

『私が貴方と言う象徴を引き継ぎましょう』

 

 AFOとの戦いの前、日本に侵攻して来たヨーロッパのヴィラン組織『ゴリーニ・ファミリー』と、その首領"バルド・ゴリーニ"である。

 

 彼は個性で自身の姿をオールマイトそのものに変えて、模倣し、自ら『新たなるオールマイト』になりかわろうとした。

 

 そして、オールマイトがバルドを『闇』と否定した事により、こう名乗ったのは記憶に新しい。

 

『ダークマイト』と。

 

 まるで、その時と同じ様な気持ちがオールマイトこと八木俊典の胸中に浮かんだのだ。不安、心配……まさか同じ事態がおこったりしないだろうかと。

 

「こんな事言うのもどうかと思いますが……オールマイト、貴方の活躍に脳みそ焼かれて、狂った人間は居る、あまりに激しい光は……耐えきれない人を狂わせる」

 

 エクトプラズムもまた、彼に懸念があった。ダークマイトだけではない……オールマイトの活躍に、在り方に憧れて狂った人間は居る。

 

 今は亡き、ヒーロー原理主義を掲げた『ヒーロー殺し』の"ステイン"に。

 

 オールマイトを超えんとしたが打ちひしがれて、子に託そうとした果て、荼毘を生み出した"エンデヴァー"もまたその一人に数えられよう。

 

「……私にできる事があれば、ぜひ相談に乗らせて欲しい……贔屓をするわけではないが、彼がバルドの様になってしまうのは、私も悲しくなる」

 

 彼が道を間違えない様に、雄英で立派なヒーローになれる様にと願い、オールマイトは二人にそう言うのだった。

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