【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
とりあえず青山くんの光り輝くおちん◯ブレードの話は止めて、緑谷は改めて光に語りだした。
「個性操作に重要な事なんだけど……"なんだってできる"って気持ちが重要なんだ」
「えー?精神論ですか、ここに来て?」
今時の子、と言うやつなのかな、精神論を軽んじると言うか、非現実的だと思うのは……しかし緑谷、ここで『うるさい、やれ』とは言わなかった。この手の場合は納得させないと怠惰に走る……だから事実を語り理解させればいいだけの事だ。
「個性も肉体の一部で、精神と密接な関係にあるんだよ、キミだってやる気がなければ光線の威力が落ちたりするだろ?」
「……言われてみれば、そのような……」
「と言うか、キミのクラスメイトの晴日くんがいい証拠じゃないか、精神の高揚がパワーアップに繋がる個性だし」
「あ!!」
身近に良い実例がいる事が幸いした、光のクラスメイト晴日軽二郎である。彼の個性『テンション』は、それこそ精神の高揚が自らを強くする個性だ、まだ緑谷も見た事無いが……精神的にまいった晴日は目も当てられ無いのだろう、光の反応から理解した。
「なんだってできる……これを常に念頭に置く、そうすれば"余程個性から外れた事"では無い限り、個性は応えてくれる……と言うわけで光線を棒に固定して右手に出してみな?」
「り、了解です……」
精神と個性の関係を説かれ、納得した光は右手を開きかざしてイメージした。光線を放ちながら……棒状に……。光の手のひらから光は漏れ出し、左右にゆっくりとだが伸びていく。
「熱い!」
しかし、そう声を上げて棒状の光線は霧散した。出来かけてはいたが、光線を滞留させたのがそもそも初めてで、熱に負けたようだ。
「大丈夫?ちょっと手を見せて」
「あ、はい」
熱でやられたが、さて彼の皮膚はどうかと手のひらを緑谷は見せてもらった。しかし、全身から光線を放てる個性ならば『耐えうる肌』も有していたらしい、火傷は見当たらなかった。
となれば『慣れ』の問題かと、彼の応用の幅に支障無く出来るなと緑谷の口端が釣り上がった。
「出来はしたけど……そもそも肌が慣れてないか……これこそ個性伸ばしで耐えられるようにする課題だね」
「わ、わかりました」
熱さに慣れるのは個性伸ばしで、日々の積み重ねが必要だと緑谷は語る。
「よーし、じゃあ今日は飛行に時間を割こう、とりあえず上昇と下降が出来るようになる、を目標にしようか!」
「はい!」
色々と進み、出来る事が増えた、その実感をしっかり理解して光は緑谷と共に居残り訓練に励むのだった。
━━時間は進む、誰しも平等に。
かくして、二学期が始まり、一二年合同訓練が行われて9月の半ば……二年生達は久々に、ある行事の話が浮かび上がってきた。
「えー、と言うわけでヒーローインターンなんだがな……お前達も知っての通り、復興作業はまだ続き、ヒーロー大量離職に引退、事務所の閉鎖もあり、引受先が無い状況だ」
「「「「ああ〜……うん……」」」」
朝礼で、相澤先生からの連絡として語られた『ヒーローインターン』の現状に、A組は納得をせざるを得なかった。
AFOとの戦いから、辞めたヒーローが再び戻って来ている話はあるが。それでも現状は、ヒーロー飽和社会だった数ヶ月前から激減し、ヒーローが不足しているのが今の日本なのだ。
さらに、雄英だけがヒーロー科を擁しているわけでは無い。全国のヒーロー科の仮免持ちに、ヒーローインターンを行える程、今の日本にヒーローも、ヒーロー事務所も無いのである。
数ヶ月前、方針転換してインターンを積極的にとなった三学期の時には雄英がいくらでも紹介していたが、それすら厳しい状況だ。
「本来なら仮免を取り終えたこの時期からインターンに順次参加する流れだが、幸いお前達は一年次にインターン経験もあるので、状況が軟化したら改めて告知する……その代わりにだが、合同訓練の時間を増やしていくつもりだ」
インターンが改めて始められるようになった際にまた告知するので、その埋め合わせに合同訓練、学内でのヒーロー実習で実力を底上げしていく方針だと、相澤は言った。
「本日は午後に、合同戦闘訓練を行う、各自遅れないように」
そして、早速訓練は告知された。初日は救助訓練だったが、今回は戦闘訓練らしい、A組一同が相澤先生が退室したのを見送り、それから1時間目の授業前の休憩に入ると、今日の訓練の事でそれぞれの話が始まった。
「一年と戦闘か……実際どうなんだろう、個性からして強い一年結構居たし、油断できないな」
「だよなぁ、しっかり気を引き締めねぇと足元掬われかねないよな」
尾白と砂藤が早速、油断ならない訓練になりそうだと語り合う様子を爆豪は見ていたが……この男からすれば『軽くあしらって力量差見せつけて当たり前』と考えていた。
右手はまだ不自由ながら、それでもスプーンを握って食事ができるくらいにはなれた。あと何ヶ月か、まともに、前のように動かせるかは分からないが、諦める気は無い。必ず治し殺してやると右手をゆっくり握っていると……。
「糞してぇならトイレ行ってこいや、さっきから煩わしいだろうが出久」
背後で唸る緑谷出久に、爆豪は苛立ち振り返り言い放った。
「ああごめん、かっちゃん……ちょっと考えこんでて」
と、ノートを開きシャーペンを走らせていた緑谷は謝った。爆豪は、緑谷が何やら記しては消して、また記してと繰り返した形跡のノートが目に入り、少し内容を覗いた。
「……誰のデータノートだ?」
「あ、エッチ変態」
「うぜぇ……光線の個性なんて一年に居たのか?」
データをまとめ上げている、久々に見たなと爆豪は身体を乗り出して誰だと目で文章を追うと、からかって来たのであしらえば、ある一年生の個性だと文章から爆豪は理解した。
しかし一年A組にそんな奴は居なかった、となればB組のかと尋ねると、緑谷は笑って答えた。
「僕と組んだもう一人がね、そうだった……彼凄いよ?No.1になれる素質がある」
「はぁ?テメェと障子ともう一人の一年の荷物だったこいつが?」
「伸び代も個性も凄いんだから、気をつけなよかっちゃん……数年後には彼もNo.1ヒーロー戦線に加わってるから」
「吐かせ、ねぇわボケ、俺が不動のNo.1になっとるわ」
緑谷の語りに、鼻で笑って爆豪は会話を終えて前に向き直り、左手で頬杖を付いた。
だが……この話を聞いて、爆豪は緑谷が何やら入れ込み始めた、ノートに書かれた『光活人』の名前に興味が湧いた。
緑谷出久は、ヒーローオタクのナードである。だからこそ、そのデータは恐ろしい程正しく、そして『冷酷な程に正確』だ。腹が立つほどに、そのヒーローを丸裸にする。
そんな男が『No.1になれる逸材』とまで、語る一年生……初回の救助訓練の後に接触して、そう思ったなら事実そうなんだろう……戦闘訓練でその片鱗が見れるなら……と、爆豪は笑みを浮かべたのであった。