【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
顔面を殴り抜かれ、自分が開けた穴から飛び出た緑谷は、二転、三転弾かれてからようやく地面に落下して止まった。見事な一撃だった、そう……ヒーローなんだからヴィランには容赦は無しでいかないと。
立ち上がりながら、瓦礫より這い出て来た晴日を見た緑谷。その表情は何とも痛々しい……アドレナリンが湧き出ながら、身体を震わせて、尚且つ理性は残り……僕を殴ってやってしまったとでも言いたげだった。
「今のがキミの一撃なんだね……」
鼻から流れる血を拭い、側に落ちた帽子を取り上げて被る。そして緑谷は……右手親指を立ててサムズアップした。
「いいね、並のチンピラヴィランなら、今のでKOだよ」
その威力に掛け値無く賞賛を送り、緑谷は土埃を払った。
「けど……並じゃないぞ?目の前のヴィランは……さぁどうするヒーロー!街が、人々が大変だ!」
瓦礫の一つを引き寄せ、ビルに叩きつけて倒壊させてやろうと動きを見せた瞬間、晴日はその場から飛び跳ねて緑谷に掴み掛かった!
「んな事ぉ!やらせるわけないっしょ!!ヴィラン!!」
「おおお!?」
両肩にかかる、晴日の個性を介した握力が、肩関節を砕きそうな力を感じさせ、コンクリートの地面を抉り緑谷を思い切り押して押して下がらせる!
凄まじい膂力!砂藤くんに匹敵するやもしれないと、緑谷は笑顔で自ら地面に倒れつつ、晴日の腹に右の足底を添えた。
「そりゃあ!!」
「おわぁあ!?」
緑谷の巴投げにより、自らの勢いを使われ宙に舞う晴日!しかし、身体を新体操の如く捻って体勢を変え見事に着地!即座に立ち上がる緑谷に追撃へかかる!!
「そうだ!隙を与えたら駄目だ!!キミだけが今、頼りにされてるヒーローなんだから!!」
「やったらぁああああ!!」
ラッシュ!ラッシュ!!兎も角拳を振り続ける晴日に対し、緑谷は全てを弾き、捌き!受け流して無力化していく!!
「リズムが一定だ!パンチだけか?足は何のためにあるんだ!」
「おうっ!?」
そのまま、軽やかに足払いにてバランスを緑谷は崩して、殴りかかって空を切った右手の手首を掴み、そのまま捻り上げて関節を固めながら晴日を地面に投げつけた!
「ごはぁ!あぅう……」
腕の筋が伸びた感覚を覚え、顔面から叩きつけられた晴日の背中を踏み付けながら、緑谷はわざとらしい言葉で晴日を煽った。
「お、見ている子どもがいるなぁ?こんな弱々ヒーローの相手もつまらないし、余興に殺してやろうかなぁ?」
「まだ……終わってねぇ!」
「ナイス根性っ」
背中を踏まれながらも転がって立ち上がり、足を掴んでまだ闘志が瞳に残っているのを緑谷は褒めながら、晴日が足首を掴む手を蹴り払う。
さっきまで土下座までした輩が、しっかりヒーローやってるなぁと、彼もまたヒーローの魂を持って立ち上がり、ファイティングポーズを取った。
「おぁあ!!」
振りかぶる右、単調ながら威圧感はある。だからこそ分かりやすいと、緑谷は少し斜め後ろに足を動かし、右足を抱え上げ━━。
「シィイッ!!」
スパァアン!と、綺麗に澄んだ音が鳴り響いた。緑谷の右足の甲から脛が、晴日の左側頭部に命中し、晴日の目はグリンと白目を剥きながら前のめりに倒れ……それを緑谷は支えて倒れないようにしてから、ゆっくりと回復体位に寝かせた。
『試合終了、勝者……緑谷出久』
試合終了のブザーが鳴り響き、無機質な勝者のコールが鳴り響く。緑谷はまだ流れる鼻血を拭いながら、気持ちよさそうに倒れた晴日に言った。
「その気持ち忘れないでね、ヒーローは希望なんだから、ナイスファイトだったよ」
聞こえてないだろうが、この戦いで理解はして欲しいなと緑谷は、医療ロボが早速現れ担架に担がれる晴日を見送り、出口へ向かった。
晴日軽二郎、下馬評覆せず敗北……しかし、その蹴り抜かれた顔は、安らかで憑物が落ちたかのように笑っていた。
「つ……よいっ……凄いな、緑谷先輩っ……!」
「個性使ったの、車投げたり瓦礫投げようとしたくらいだよな……?殆ど徒手空拳で晴日くんをあしらった!!」
光活人は、自分に教えをもたらしてくれた先輩の強さを目の当たりにして、思わず握り拳を作り絞り出すような声で言った。しかもだ、個性を使ったのは最初と、瓦礫を投げようとして止められたその時だけ!個性を使い肉体が強化されたクラスメイトを、個性不使用であしらったと、その内容に道走も戦慄した。
「これが二年生……凄まじい……」
「い、いやいや、緑谷先輩が抜きん出て徒手空拳強いらしいと聞いたけど?」
他の一年A組達も、二年生の実力に驚く者、あくまであれは、緑谷出久が恐怖の象徴としての力を見せたから基準点にするのは違うと思いたいとガヤガヤ騒ぎ出す。
「んじゃ、次は僕か……まぁ晴日くんみたいにはならんようにしないとね」
余計な一言を呟きながら、画面に表示された次の一年生の出場者として、斥野力弥がグラウンドβに向かった。
そんな斥野の内心は……野心に溢れていた。何しろいい機会であるのだ、このガチバトルは。
自身の実力を先生にアピール出来るチャンスであり、相手にもよるが……二年を倒したと"箔が付く"のだから。ここで勝てば、自身がNo.1ヒーローに駆け上る為のジャンプ台になり得ると考えていた。
実際……斥野力弥の『個性』ならば、その栄光を掴め、二年A組の面々と渡り合える実力を確かに持っていた。
だが……彼は知らない。
そんな野心を抱えて戦ったまさかの相手により、早速躓くなどとこの時思いもよらなかったのだった。