【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
『さぁ次は一年A組、いや!現在学年纏めての首席に立つこの男!斥野力弥ぁあーーー!!』
「……うるさ」
逐一実況しなきゃ死ぬのかな煩わしいと、プレゼント・マイクが声を拾わないように斥野は呟いた。まぁいい、さっさと勝って首席の実力を見せてやろうと、スタート地点に立つと、プレゼント・マイクがルーレットを作動させる。
『さぁ!一年首席という才能の塊と対峙する二年生はぁああ……こいつだぁ!!』
誰であろうと、勝って力を示してやる。まぁやるなら轟先輩か爆豪先輩、次点で上鳴先輩か常闇先輩あたりが示しやすいかと名前のルーレットを眺めながら待っていた斥野に、止まった名前は……。
「……あ?」
その名前を見て、斥野は一気にやる気を失った。
『葉隠透!!ステルスヒーロー、インビジブルガァァーール!!』
「……葉隠さん、これ個性が不利というか、どう戦うのかな」
一方その頃、二年側待機場のモニター前。一試合終えた緑谷は、コールされたクラスメイトの葉隠透を心配していた。
「ああ、救助訓練の時からだけど、彼の個性はまだ分からないし……そもそも葉隠さんは単独戦闘向きじゃない、サポート向けの個性のヒーローだからね」
並んで見ている尾白も、心配が隠せなかった。
葉隠透ことステルスヒーロー、インビジブルガール……その個性は『透明化』であり、常時透明となった身体を持つ。その為制服だけが浮き上がるというシュールな出立ちのクラスメイトだ。
が、避難生活の中、かつてA組クラスメイトだった、青山優雅の個性『ネビルレーザー』により、その個性がバグを引き起こし、過剰な光や光線を浴びると実体化するようになった。
……なお、めちゃくちゃ美人で、峰田が襲いかかって相澤先生にふんじばられたのは記憶に新しい。
そんな彼女は、透明化の肉体で何が出来るのかと問われたら、クラスメイト達が知る彼女の必殺技は、自らの身体に太陽光を集光、乱反射させ閃光弾の様に目潰しをする『集合屈折ハイチーズ!』と、青山とチームアップしてのネビルレーザーを屈折するサポートしか、攻撃手段が二人には思いつかなった。
「彼の個性、成績に緑谷との救助訓練からして中々に強いのが分かるけど、まだ露わになってないし……よくて時間切れに持ち込めるかになるよな」
「それかしっかりステルスして奇襲して締め落とすかしか浮かばない……」
葉隠が、未だ未知の個性の首席斥野に勝つには、奇襲か時間切れによる引き分けしかないと二人は語る。
「葉隠さん、ファイトですわ」
「心配やわ、無理せんでほしいな」
同じく、見ていた八百万と麗日も女子陣として心配する中。
試合開始のブザー数秒後、度肝を抜く事態が起こる事を二年A組は知らず、モニターを見ていた。
そして、グラウンドβに話は戻る。
試合開始のブザーは鳴り響き、頭髪を掻きながら、斥野はゆっくり歩き出した。
「ま、ささっと勝って終わらせようか、何なら戦わずに出口行って試合終了の秒殺で終わるな」
よりにもよって、戦闘には向かない、一人ではヴィランと戦えそうにない『透明化』の個性の葉隠先輩かと、斥野は舐め腐っていた。しかし、彼がそうなるくらいには彼の持つ『個性』は強力であったし、全力かつ真剣に戦えば葉隠透の勝ち筋は少ないのは事実であった。
だからこそ、最初のファーストコンタクト……斥野力弥は一気にペースを握られる羽目になった。
彼は、葉隠がどこかに姿を隠しステルスアタックで奇襲すると踏んでいたし、それしかないと思っていた。奇襲されようが、自分の『個性』ならば力押しで勝てると。
「あん?」
だから、自分が今から向かう出口の方角より、一瞬光が煌めいた事に呑気にそんな声をあげて……。
自らの右数十センチを通過する『レーザー』に立ち止まるしかなかった。
「……はぁっ!?何やぁ!!」
何があった?何が起こった!?何故レーザーが飛んで来た!!?数瞬遅れてさらにもう一撃レーザーが!今度は自らに向かってきて斥野はその街路から隣の街路に飛翔する!
「見つけたぁ!」
「なっ!?」
斥野は見た!本来、姿が見えないはずの葉隠透が、こちらを姿を現し見上げている姿を!その手から光が収束し、勢いよくレーザーが照射されるのを!
「おかしいだろ!?何がどうやったらレーザーなんて!!」
彼女の個性は『透明化』の筈!何故『レーザー』を放てるんだとビルに隠れた斥野だったが、そのレーザーがビルを途中まで溶断するのを見て戦慄したのであった。
「「「「えっ」」」」
二年A組一同も、斥野と同じ口が塞がらなかった。どうしたの葉隠ちゃん、キミそんな攻撃的な技使えたっけ?というか……あれ『ネビルレーザー』だったりする?
「み、緑谷……まさかお前、青山から個性を……」
「してないしてない!?まぁ疑われるの僕だけどさぁ!!全くそんな事しておりません!!」
尾白が早速、緑谷、お前やったか?と、疑惑の眼差しをむけた。戦いが終わった後AFO'使って青山の個性を『因子血晶』にして抜いて葉隠に渡して複数個性持ちにしたのかと。
そんな事しない!するわけない!というか時系列上その時にはAFO'失ってるからできない!と否定した緑谷だが、そんな彼も目から鱗で何事!?となっていた。
こんなの僕のデータに無いぞ!何がどうしたすごいな葉隠さん!となる中、この男だけは即座に答えにたどり着いていた。
「少し考えりゃ出来るに決まってんだろ、あの透明女の体質なら、それをあの戦いで理解したんだろうよ」
「知ってるのかかっちゃん!?」
「男塾みたいなノリで呼ぶんじゃあねぇよ」
爆豪勝己が、葉隠透が照射したレーザーの正体を看破していたのだ。
「しかしまぁ、原理上出来るとは言えそれを自分の体内でやるか、それが可能な個性なんだろうな今の光線は……」
「爆豪、勿体ぶらず教えてくれよ、まさかマジで緑谷が青山から━━」
「切島くん、ぶっこ抜かれたいのかな?」
「す、すんません」
勿体ぶるなとせがむ切島に、モニターで姿を現しレーザーを手からぶっ放す葉隠を見て、爆豪は正体を答えた。
「ありゃ、アルキメデスの熱光線だ、それより物騒な技になってっけどな」
「アルキメデスの熱光線?」
「名前的にギリシャの偉人か?」
名前は聞いた事あるが、ちょっとその単語と知識まで辿り着かない切島と、聞いていた上鳴に、飯田が説明しようと爆豪から変わった。
「アルキメデスは古代ギリシャの数学者であり、発明家、様々な分野で活躍した偉人だね!爆豪くんが言ったアルキメデスの熱光線は、伝説の兵器とされる太陽光を使った兵器の事さ」
『アルキメデスの熱光線』
紀元前214年〜212年のシュラクサイ包囲戦という戦争にて、アルキメデスが開発した兵器であり、何枚もの太陽光を反射したレンズの焦点を敵船に集中して引火させ、撃退させたという兵器で後世で実験され『理論上可能』『実際にできたが非効率』とされた兵器である。
要は、めちゃくちゃデカい虫眼鏡ないし集光レンズで太陽光を集めて船を焼くというもの。それを葉隠透は自身の個性で再現してしまったのだ。
「そもそも透明女の個性は、その身体がプリズムに似た性質で光を乱反射して透明化してんだ、フランスかぶれのレーザーを反射して無傷なら集めた太陽光を体内で乱反射して熱を蓄えて放つくらいできんだろ……チームアップでレーザー捻じ曲げた際に気付いたんだろうな」
葉隠自体、青山のネビルレーザーを無傷で捻じ曲げるコンビネーションが出来るレーザーの熱を耐えれる耐熱性の体を持っていた。そして、彼女自身も光を集めて一瞬の閃光にできる光を溜め込む性質を持っていたならば……できるのだ!
葉隠透は、太陽光を使った熱光線を放てるのだ!ここに来て彼女は、更なる飛躍を見せたのである!
モニターの葉隠は、してやったりといった表情で、今年の推薦枠で主席の一年生から先制し、主導権を握り自分のペースに乗せて交戦していた。