【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「ふざけんな……そんなの知らんぞ……クソアマがっ」
思わず内面が漏れ川柳(字余り)になってしまった斥野は、攻撃力皆無だった筈の先輩が凄まじいレーザーをぶっ放してきてペースを握られ苛立ちを隠せずに居た。
「いや、何を言うとんねん……当たり前やん、ヴィランが初見殺しなんてあり得るケース……それどうにかせず何がヒーローだよ」
だがそれでも、即座にメンタルを切り替えられたのは彼にも確かにヒーローとしての矜持と、強者としてのプライドがあるからか、建造物に隠れながら自らに言い聞かせる。
「オールマイトならこんなの、真正面から突破している、びっくりしただけ……仕切り直しだ」
憧れたあの男は、真正面からその力で打ち砕いた。それに習う!そうして憧れの再来となる為に名前までそう付けた斥野は、ふと何かが羽ばたく音がして辺りを見回す。
「何だ、何か飛んでるのか?」
そして、見つける!見上げた上空には、プロペラがついた正八面体のクリスタルが浮遊していたのだ。よく見なければ太陽光に反射して見えなくなりそうな、そんなクリスタルにプロペラが付いて浮遊している。
が!そこに葉隠のビームが照射されると!形状が変形して斥野向けて反射してビームが曲がり照射されたのである!
「サポートアイテムか!葉隠先輩の!!」
バックステップで回避した斥野に、ドローンがさらに動き反射角を変化させ斥野をレーザーが追尾する!また別の街路へ入りビームを建物で阻みながら、斥野は歯軋りしながらも……攻撃に転ずる為その場を離れた。
「うん、動作良好……凄いや発目さんお手製サポートアイテム!」
姿を現し、新たなヒーロースーツを纏う彼女の右耳には、ヘッドセットとアンテナが装着され、先程斥野にレーザーを屈折させた同じ正八面体のドローンがまだ三つ、彼女の周りで対空していた。
AFOとの戦いを超え、青山優雅のネビルレーザーで個性の上限を超えた光を体内に蓄積した葉隠は、ずっと透明だったその容姿が現れる事を知った。
自らも、光を集めて閃光を放てる事、レーザーを屈折できる体質に耐熱性。そこから編み出したこの太陽光によるレーザー照射という必殺技……。
その名は『集光必殺!アルキメデスレイ!』である。
このアルキメデスレイは、太陽が照る晴れの時にしか使えないという条件があるものの、彼女の貴重な遠距離攻撃かつ大火力の必殺技となった。
さらに、そのレーザーを一方向への照射ではなく、屈折して隠れたターゲットまで届ける、プリズム結晶体のドローンが、逃げようとも命中させに行く。
名付けて!『プリズムドローン:ラミエル』!
脳波コントロールにより動作するプリズムドローン『ラミエル』がレーザーの照射距離を延長、屈折させる!一度ターゲットを見つければ、ドローンの内蔵カメラを介してバイザーにターゲットの位置を送信し、自動的に必要な数のドローンが中継を作り!葉隠は最初のドローンにアルキメデスレイを発射するだけで、ターゲットにレーザーが届くというサポートアイテムだ!
「今回私たちヴィランだから、一年首席の才能を加味して容赦無くいくよ!」
バイザーからの映像で、斥野を追いかける様に、残りのドローンも飛び出していく!ある程度の距離ならば追尾攻撃可能な、晴天限定のレーザー砲台となった葉隠が、このまま押し切って勝ちを決めにいく!
と、思われていた。
「うん?地震……?」
ここで葉隠、ふと地面が揺れている事に気付いた。何か起こったかと辺りを見回す中で、ふと自らの立つ場所に影が薄らゆっくり広がっている事に気付き━━。
「へ!?きゃああああ!!ビルが倒れてきてるゥウウウ!!」
なんと、真横にあったビルが自らに倒れてきてる事に気付いて全速力でその場を退避!ギリギリでビルに押し潰される事はなかったが、その倒壊による風と振動に葉隠は巻き込まれたのだった。
そして……何が起こったのかは2年側モニターにて映されていた。
「あ、あいつなんてパワーだよ!?ビルをドミノ倒しにして葉隠を巻き込みに行ったのか!!」
「危うく押し潰されて死ぬかもじゃん!?葉隠は大丈夫!?」
斥野は葉隠から離れた、それもなかなかのスピードで飛んで離れた。先程の光線から葉隠の現在地は見えていたのだろう……。
その葉隠が居る街路のライン、そこに面する建造物、ビルの列に行くや……拳を振るってビルの根本を砕いて、更に上部へ飛んでビルを葉隠の方向に、ドミノの様に連鎖的に倒壊させたのだ!
「ビルを砕く程の力に、空まで飛ぶ……まるでオールマイトみたいだな」
「ネクストマイト……そう名乗る力も才能もあると言うことね……」
その力と、空まで飛ぶ機動力は、自分たちが見てきたオールマイトを思わせると、常闇が呟いた。そして、新時代のオールマイトは自分だと嘯く力を確かに持っていると、蛙吹も斥野のヒーローネームにおける意味、自負を汲み取った。
が……この男は怒声を上げた。
「バカヤロー!!まだ住人居るかも知れないだろうが!?ヒーローが被害増やす攻撃してどうするんだ!!ふざけた事するなよ!オールマイトが一度でもそんな事したのか!?何がネクストマイトだ!!名前変えてこい名前!!」
緑谷であった。
これは戦闘訓練、用意されたグラウンドβに人は居ない。しかし、これが本当に街中だったら?ヒーローでありながら助ける市民を巻き込む様な攻撃を斥野は行った事になる!
確かにガチバトルの交流試合、勝ちに行きたい気持ちはあろうが、そもそも役柄も『ヒーロー』と『ヴィラン』で分けられ、彼は『ヒーロー』の役を演じているならば、ヒーローとしての振る舞いと戦い方の上で勝利条件を満たすべきだろうと、緑谷は怒ったのだ。
「救助の時も思ったが……あの子はヒーローとしての意気込みが軽々しく思えるな……」
それは、救助訓練で緑谷と組み、斥野、光とチームアップした障子も同感であり、擁護も看過もできない行いであった。いつもなら複製腕の口から話す障子が、自らの口で非難するほどには、斥野の攻撃法はダメだと感じたのだ。
「……パチモンってのは、何でこう、名前しか真似ねぇんかなぁ」
「ダークマイトを思い出すな……申し訳ないが……」
爆豪ですらも、マジかよこいつと頭を押さえながら呟き、轟に至ってはかつて姿と名前だけを真似たヴィラン、ダークマイトを思い出す始末である。
兎も角このガチバトルで、一年首席である斥野力弥の評判は……2年A組内では一気に地に落ちたと言っても過言ではなかった。