【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「絆定寺さん、勝ったのね!」
「相性もあるかと思うが、ようやく一勝だ、先輩たちから!」
一年側待機場、モニターに映るクラスメイトの勝利に紙式と道走が歓喜し、一年団は湧き上がった。ようやくの一勝!決して試合で勝敗を比べている訳ではないが、それでもやはり嬉しくはなるようだ。
「……そら負けんだろ、仮にも推薦組なんだから」
引き分けで沈んでいた斥野も、含みはあれど彼女の勝利は喜んだ。同じ推薦組という仲間意識からではある、他のクラスメイトの有象無象ならまだしもキミは負けないだろうと思っていた。
対抗戦は、さらに続いていく。
そして次に勝利を挙げた一年生はというと……。
「……いやいやいや!?ガン逃げされたら勝つのは無理っしょ!?」
「申し訳ありません……しかし、勝ったとは思ってもいませんよ上鳴先輩」
12試合目の上鳴電気と対峙した、道走郎堂だった。しかも最速タイムで勝利!開始と同時に出口へ駆け込むという速攻ガン逃げ戦法!
ヒーロー的にはどうなんだ?となる内容だが『対応不可能と見て仲間を呼びに走った』とも取れ、勝利条件は提示通り満たしているので勝ちは勝ち、というやつである。
かくして、交流戦は最後の試合を残し、一年A組の戦績は。
2勝ち16敗1引き分けとなり、最後のマッチメイクとなった。
その対戦カードは……!
『これがラストバトル!1年A組からは光活人!ヒーロー名は……ヒカリ!安直だがまだ考えてないのかぁ?決まったら教えてくれよぉ!』
オオトリに、まさかの光活人が緊張な面持ちでグラウンドβに入場!その相手を務める二年生は!
『二年A組からは……爆豪勝己!手加減してやれよ爆裂ヒーロー、大・爆・殺・神ダイナマイトォ!……いやほんと、1回戦のイズク同様手加減してやんなよ?』
爆豪勝己!未だ右手はリハビリ中ながら、それでも!体力も戻りつつあり片手でも戦闘は滞りなくこなしているNo.1を目指す男!
「出久が色々入れ込んでるんだってなぁ、逃げるなんてつまらねぇ事すんなよ?」
脱出ゲート側より入場した爆豪は、遥か先入場ゲートに居るだろう、緑谷が気にかける一年生にしかと照準を定め、ブザーを待つ!
『最終試合、二年A組爆豪勝己VS一年A組光活人、試合開始』
ブザーと同時であった、爆豪の『爆破』は足から発生して一気に光が居るだろう入り口ゲートへ向かう!
「ああ?」
が、爆豪は早速異様な光景を見た!
対面から!足と手から光を放ち同じようにまっすぐ向かってくる光の姿を!以前の交流救助訓練では足で走っていただけの、劣等生の雰囲気満々だった一年生が、自身の個性を使った飛行と移動を身につけていた事に!
「人様の移動方法パクってんじゃあねぇよ!一年坊主!!」
権利料払えやと凄む爆豪だったが、その表情は怒りでは無く笑みを浮かべていた。
「はぁ……?」
一年待機所は、不測の事態に響めきが起こっていた。何しろ救助訓練まで移動が走るだけしかなかった光活人が、自らの光線を手足からバーニアの様に放ち空を飛んだのだから。
それを見て呆けた声を上げたのは、斥野力弥であった。最後の試合が光で、相手は爆豪勝己先輩……今は片手がリハビリ中とは言え、二年屈指の実力者だ。
光じゃ秒殺で終わりと見ずにいたら、クラスメイトが騒がしくなりモニターに目を向けたらその光景だったのだ。
「……飛んだくらいで騒がしい、やっと捕まり立ちできたようなものだろ、すぐ負けるさ」
少しは何か思いついたらしいが、些細な事。結局あと数秒で爆破されて気絶して終わりだと画面から目線を外して身もせずに結果を待つ。分かりきっている事だと……格も才能も違う……光に無様を望んだ斥野だったが。
「防いだ!!ちゃんと攻撃見えてる!?」
「光線を盾の形にして爆破を凌いだのか!」
その望みは、どうやら叶わないらしい。
「救助訓練じゃあ手ぇ抜いてたんかぁ?それともこっちのが得意ですってかぁ!!無害そうな顔して狡猾じゃねぇか!!」
「いえ!その!やっとこさ様になっただけです!!」
「だったら尚更ムカつくなぁ!!」
値踏みする様に、爆豪は光に空中を不規則に移動しながらAPショットを左手で叩き込み攻撃する。対して光は、両手から光線を長方形の板状に展開して防壁として防ぎ続ける!
緑谷出久との放課後訓練、そして自主練が早速、光の個性の扱い方に現れたのだ!足から放つ光線で飛行、背中からも時折放ち姿勢制御!そして爆を防ぐビームシールドの展開!
まだ少ししか日数は経っていないが、初日の訓練から『できる事』が幾つも見つかった事から、自ら光線のバリエーションを考えてみたりして今に至る!
しかし、防御できても攻撃ができない!今の自分では、爆豪先輩とまともに空中戦はできないなと、爆破を防ぎながら光は考えた。
そもそもの話、今の自分のパラメータと爆豪先輩のパラメータは天と地の差で、こうして『空を飛びながら』『姿勢制御して』『光線を応用した防壁を張る』という、三つ以上のタスクをこなして精一杯であった。
光は攻撃に転じたいができない、しかしこのままだとジリ貧だと考え、どうしたらいいかと悩む。
「あぁ?」
光は、自ら飛行を辞めて地面に軟着陸した。降り立った光は、右手を腰に当てながら、西部劇のガンマンの様な早撃ちの構えと共に声を上げた!
「リボルブビーム!!」
声と共に、右手から放たれるは細かいビームの弾丸!それを素早く放つ光に、爆豪は嗚呼なるほどと理解した。
この一年生は、自分との空中戦を捨てて、地上からの対空砲火に切り替えたのだと。さっきまで防戦一方なのは、おそらく個性の同時操作がまだそこまでできず、攻撃できる余裕が無かったのだ。
だから『飛行』を捨てて、不利ながらも対空砲火で反撃にタスクを割いたのだ。そして細かいビームで連射の弾幕を張って牽制しているのかと!
「それもイズクの指導かぁ!?一年坊主!!物量差からちげぇんだよ!!」
生意気な、本当に生意気だ!左手を迫り来るビーム弾に対して構えた爆豪の手のひらから光弾が!光のビーム以上の威力!速度!物量で放たれた!
「APショットオートカノン!!」
「くぅうう!?」
放たれる徹甲弾の雨霰に光のリボルブビームは消し飛び、着弾点から爆破が次々起こり、光はそれに晒されコンクリートの道路投げ出された!
「もう終わりかぁ!!歯ごたえねぇなぁ、ああ!勢いは最初だけかよ!!」
仰向けに倒れ、視界の外ながら爆豪先輩の煽る言葉に光は息を切らしながら思った。
『無理、勝てるわけ無い』と。
一年先輩だぞ、相手は。しかもこの先輩達は、AFOとの戦いの渦中に巻き込まれて、息抜き、生存した『英雄』だ。他のヒーロー勝の『一年の差』じゃあないんだから。
地力も、経験も……才能も違う。
そんな先輩に、一学期は劣等生の唯一補講を受けた人間が……ちょっとだけ緑谷先輩から教わって少しできる事が増えただけの人間が、勝てるはずがないではないかと、光の心が澱む。
諦めたら……試合終了で楽になれる。
そう、なれるのだ。これはあくまで交流訓練。参りました、敵いませんと言えばブザーが鳴る。光は照りつける太陽の光を浴びながら、考えた。
訓練は訓練だけど……現実だったら……僕が諦めたらどうなる?と。
ヴィラン役だが、爆豪先輩みたいなヴィランならまず自分は殺されるなと答えが出た、街は酷い有様になるし、それでたくさん人は死ぬ……子どもも泣き叫び、亡骸の両親を前に無力に、涙を流すしかない。
……そんな景色、見たくあるものか。
「ふぅー……ふぅー……プッ!!」
息を整え、先程爆風で飛ばされ転んで切った口内に溜まった血を、コンクリートに唾と共に吐き、未だ宙に浮く爆豪勝己を見上げた。
「寝ときゃあ楽になんのによぉ、ならこれで死んどけ一年!!」
左手から火花を散らし始めた爆豪に、大技が来ると見た光は、目を見開き右手に意識を集中させイメージを練り上げた!
円形、動き続ける輪……そして!輪に切れ味をイメージする鋸刃!!
「シャイニングバズソーー!!」
「なにっ!?」
必殺技への移行スピードが早かったのは、光!先に作り上げたビームの鋸刃が、空中の爆豪に向かって飛んでいき、まさかの反撃に爆豪は技を中断して回避!
装備品である手榴弾を模した籠手にかすると、それを見事に切り裂いた!
今だ!!
光は、緑谷が教えてくれた、光線技のルーティーンに入る!腰に手を当て、前で腕を交差し、左右に開きながら水平に伸ばし━━。
「なんてな、もう勝負ついとんぞ一年」
「えっ」
避けて体制を崩した爆豪からの宣告。そして、光は見た。
周囲にキラキラと輝く光の粒、その連鎖反応と共に、光はその中に包まれて……。
BOOOOOM!!!!
爆炎と共に、光活人は吹き飛ばされて意識を失い、どさりとコンクリートの地面に落下した。
爆豪勝己の新境地であり、必殺技。
『クラスター』
先程のAPショットの中に、既に織り交ぜ仕掛けていたのだ。自らの汗に包み込み、光が反撃したのと同時に起爆させたのである。
『勝者、二年A組、爆豪勝己』
着地した爆豪は、左手を天に掲げスタンディングを決め、気を失った光に言い放った。
「鍛えて出直してこい、コンパチビームマン」
少なくとも『一年坊主』という纏まりから、あだ名で覚えられるくらいには、光活人は爆豪勝己の印象に残ったのであった。