【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「爆豪先輩、流石に強いな」
「光くん大丈夫かしら……」
光活人の敗北は『妥当』な結果であったといえよう。有象無象が心配を呟く中で……斥野力弥は、雄英の救急ロボの担架に運ばれる光を見て歯を食いしばった。
この有象無象のクラスメイト達は分かっていないのだ、あの『敗北』は寧ろ『好印象』な事に!そもそも、いきなり空を飛ぶ方法を体得して、防御法、攻撃技まで見せて爆豪先輩を少しでもヒヤリとさせた場面があった!
『好印象な負け方』をしたのだ!努力や成長が垣間見える心象が良い見え方で負けるという着地点に!『負けて当たり前』な戦いに『よくやった』と言える内容を皆に見せたのが今の光活人であった。
対して斥野は『手玉にされた上引き分け』という、見るに耐えない引き分け方をした。だからこそ、腹が立った。
それが、自分の不甲斐なさに対してならばまだ意味があったのだが……。
「ちょっと何かできる様になったのを先輩にアピールか、狡いことやるなぁ……!」
斥野が怒りを向けたのは、運ばれる光であった。この交流試合での戦績も評価に組み込まれるが、先生や先輩にはよく映っただろうさと皆に聞こえぬ様に斥野は呟く。
こうして、遺恨を残して2回目の一二年合同訓練は終了したのだった。
「ちぅうううううぅーーー」
「あぁ……いつ見ても絵面が……」
というわけでこちら医務室、リカバリーガールが全身に爆破の火傷を負った光に唇を伸ばして『治癒』する場面を、緑谷は苦笑しながら見守った。
「はい、これでよし、まぁ火傷も軽いし骨も折れてないから病院に行く必要も無いね」
「かっちゃん、ちゃんと手加減したんだ……よかった」
授業後、緑谷はこの交流試合で医務室に運ばれた光の様子を見に来ていた。クラスターをまともに食らい、爆風に叩きつけられたから怪我は酷いものだろうと心配したらそうでも無くて、緑谷は安心した。
「爆豪パイセン容赦ないっすねー、てか俺も知らぬ間に医務室で寝てたんスかってくらいすよ、綺麗に蹴られて気付いたらここでしたもん」
「あんたはどうだい?眠気や吐き気はあるかい?」
「今んとこないっすけど……関係あるんっすか?」
「眠気は脳挫傷のサインなんだよ、場合によっちゃあ開頭手術もありえるさね」
「マジっすか……」
隣のベッドで寝ていた晴日も、緑谷のハイキックで失神KOされて搬送されていた。怪我は無いが、脳震盪もあり安静にしており、脳出血等がないか経過観察のようだ。
「しかし……爆豪くんもだけど、アンタも手加減できるくらい成長したんだねぇ、緑谷くん」
「まぁ、はい……」
リカバリーガールから、ペッツのケースが出されて当たり前の様に手を出して緑谷は一粒いただき、それを口に入れながら、しみじみ緑谷の成長を語るリカバリーガールに照れながら頷いた。
「え?緑谷パイセン、手加減的な事できなかったんスか?まぁそうぞー出来ちまうのマジさーせんって感じスけど……」
「まーこの子ったら一年生の時にそれはもうねぇ、襲撃に来たヴィラン達に良くて後遺症残るくらいまで痛めつけるから救急車が足りない騒ぎになったんだよ」
「救急車が足りない……!?」
「あー……」
手加減ができる成長とはいかに?と気になった晴日にリカバリーガールは、緑谷のやらかしを語り出し、まぁあの時はと過去を否定せず受け止めたのだった。懐かしきヴィラン連合襲撃事件……何人くらい"二度と悪さができないように"したかなと懐かしくなる。
「んっ……」
「お、起きた」
意識を取り戻したらしい、手を開いた光は、目を左右に動かして医務室だと場所を理解して上体を起こして緑谷が座っていることに気付き、自分が医務室に居る理由も思い出して頭を下げた。
「すいません、緑谷先輩……色々教えてもらっておいて結局負けて」
指導を賜りながらこの体たらくと詫びの謝罪をする光に、緑谷は笑った。
「見てたよ、見事だった、数日前に教えたばかりとは思えないくらいに……家でも練習した?」
寧ろたった数日でその成長ぶりだ、見事だと緑谷は褒めると、光は恥ずかしそうに笑った。
「は、はい、先輩が教えてくれた個性操作の練習を」
「よし、もう上出来も上出来、かっちゃんキミの事褒めてたよ、クソ生意気ってさ?」
「いやそれダイナマ先輩褒めてんスかぁ?緑谷パイセン?」
「かっちゃん基準だとめちゃくちゃ褒めてるよ」
爆豪も誉めていた事を光に伝える緑谷、それだけ凄まじい成長なのは緑谷の目に見てもそうだったのだ。この子は多分、一度教えたら一気に爆発した様に進むタイプだが、教えなければ停滞する……自分で何か掴むのは苦手だから救助訓練まで皆より一歩引いた様な動きだったんだと緑谷は理解した。
「ところで……そのパイセンというのは?」
「あ……いやその、サーセン、なんか弾みで……」
「いいよ、その呼び方で」
「いいんすか!?」
そして、光だけではない……。
戦闘訓練で見せた、晴日のガッツと、人懐っこい呼び方に緑谷は、最初こそ八百万に言い寄った事に苛立ちはしたが、慕ってくれる雰囲気に笑って応えた。
これが後輩……今まで存在しなかった、居なかった存在かと、緑谷は今まで感じた事が無い穏やかな感覚が胸に広がるのであった。