※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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461話 本心

「うん、うん、話を聞く限り緑谷くんを頭ごなしに悪いとは言えないよ?まぁけど……やりすぎたよね、流石に」

「校長先生、先に言っておきますが、僕は斥野に謝る気は一切ありませんし、何よりこの件で退学を告げられて構わないと思って今回の事に及びました」

 

 雄英高校校長室にて、根津校長は頷きながらも、ソファに座り未だに腹の虫が治らぬと興奮と怒りに言葉を吐き散らす緑谷を諌めた。

 

 今回の緑谷と斥野の衝突……怒られるべきは斥野だった。斥野は昼休みに轟焦凍にしつこくエンデヴァー事務所への職場体験を頼んだが、断られたのを逆上して罵倒した。さらに、居残り訓練を行う光を訓練から逸脱するレベルで痛めつけ、それを目撃した緑谷により叩きのめされたのが、この話の全容である。

 

「というか、雄英の推薦採用基準どうなってるんですか?あんなクソみたいな性格、個性の強さや才能を差し引いても推薦を弾くべきでしょうに」

 

 さらに文句を緑谷は吐き散らす、あんな奴が推薦入試組とか目が腐ったかと。普段からの緑谷を知る根津校長も、彼がここまで人を嫌い、罵詈雑言吐き散らすまでなるとはと驚愕すれど、律儀に緑谷の疑問に答えた。

 

「僕も入試担当や提出された斥野くんの資料を見たんだけどね、彼は確かに品行方正かつ模範的な生徒って、中学の内申表にも書かれていたし、面接時もそうだったのさ」

「……猫被りか」

 

 ああそれなら納得だと、そっぽを向いて推薦合格した理由を緑谷は理解した。むしろ中学三年ボロすら出さずここまで来たのかと、それくらいできれば合格できようなと頷くしかなかった。

 

「それで?覚悟はできてますよ根津校長、生徒手帳も仮免許も返納する覚悟はできてますし、僕はあの行いを"間違っていました"なんて捻じ曲げる気はございません……轟くんへの罵倒、光くんへの暴力……それを見て何もしないで耐えろなんてクソ喰らえですから」

「まぁまぁ、そうヤケにならないで緑谷くん……」

 

 ここまで言わせるか、この子に。根津は苦笑を隠して、怒り自暴自棄になっている緑谷を宥めながらどうするかと悩んだ。

 

 緑谷出久が今回の凶行に踏み入るほどに、斥野力弥の行いは悪辣だった。しかし、彼もまた未来ある雄英の生徒である。猫を被り推薦枠を勝ち取り、この学舎でヒーローになる為学ぶ一人だ。

 

 緑谷が仮に凶行に及ばず、耐えて報告なりしていれば、斥野を"次は無いぞ"と叱り、長期の停学で反省を促す形で終わらせていただろう。

 

 しかし、緑谷は斥野を制裁した。手加減(但し緑谷出久準拠であり、リカバリーガールの報告では私無しなら全治半年)したとは言え、この行いは"校内暴力"であり"私刑"として断ずる他ないのだ。

 

 如何なる理由があり、緑谷出久の気持ちを理解できても。

 

 これで仮に、緑谷に肩入れした時、斥野の保護者からすれば『事実隠匿』を行った事に変わりはないのだから。

 

「この件は斥野くんの保護者に連絡するし、緑谷くんのお母さんにも連絡させていただきます、キミには保護者間の話し合いが済むまで自宅謹慎処分とするからね」

「……分かりました」

「今日はもう帰りなさい、緑谷くん」

「……大変お騒がせしました」

 

 落とし所はここだろう、それから保護者の反応次第で量刑を決めるしかない、根津は緑谷にそう告げて此度は帰らせる事に決めた。

 

 緑谷はソファから立ち上がり、最敬礼の一礼で頭を下げて、校長室から退出した。

 

 

 

 とりあえずは自宅謹慎、追って処分は決める。どうなるやらと校長室のドアを丁寧かつゆっくり閉じた緑谷は、そのまま帰ろうと鞄を背負った。

 

「あ、緑谷パイセ……先輩」

 

 そこに、どうやら待っていたらしい晴日が、らしく無くTPOを弁えた呼び方で、緑谷に近寄った。

 

「大丈夫……なんすか?事情は光から聞いたっすけど、斥野ボコにしたって、まさか退学とか……」

「いや、一応自宅謹慎、斥野の保護者にも話をしてから本処分下すってさ……ところで、光くんは?」

 

 とりあえず沙汰は保護者に話をして下されると聞いて、安心できないと顔を晴日は歪めた。まぁそれよりも問題はと、緑谷は光の容態を尋ねた。

 

「無事っすよ、打撲と打ち身でピンピンっす……つーか、マジなんすか?斥野が光をリンチしたって」

 

 光は無事、それを聞いて緑谷は安堵すると、晴日はマジに斥野が光をリンチしたのかと尋ねてきたので、緑谷は溜息を混ぜながら頷いた。

 

「まぁね……」

「正味、ちょい信じれねーっすわ、まぁ性格悪いのは見えてたっすけど、それは流石にやるような奴とまで思わず」

 

 どうやら、性格の悪さは既に見えてはいたらしい。しかし、クラスメイトを私刑で嬲るまでするとは思いもよらなかったと晴日は語った。

 

「兎も角、退学するのかどうかまだ決まってない、ごめんね?練習初日にこんなになってさ」

「いやいやそんな……てか、俺も証言しますから!俺がせんせー呼んだんで!こーぎとかしますよ!」

「ありがとう、気持ちだけ受け取っておくよ」

 

 晴日の肩を叩いて、緑谷は横を通り抜ける。

 

 しかし即座に立ち止まった、その先には一年A 組の担任であるエクトプラズム先生が立っていたのだから。相変わらず歯を剥き出しにして凶悪な笑みのままだから、感情が読めない。緑谷は何を言うべきかと考えたが、思いつきもしないので頭を下げた。

 

「失礼します」

 

 そうして、エクトプラズム先生の横を通り過ぎようとした緑谷に、彼は語り始めた。

 

「キミの行った事は、正しいことではない、しかし気持ちも理解できる……教師としては諌めるのが立場として当たり前の事だ」

「……」

「だが……個人的な話をするならば、斥野にはいい薬になったと思っている」

 

 緑谷は、エクトプラズムの言葉に首を向けて彼の横顔を見上げた。個人の見解とは言え、まさか斥野がぶちのめされる事を許容するとは、それを生徒に吐露するとは思わなかったのだから。

 

「あの子は敗北を知らなかった、ずっと誰よりも強く賢かったのだろう、一学期も主席で、授業で失敗も無かった……この手痛い敗北で立ち直って、心を入れ替える機会であって欲しいと私は願っている」

 

 彼は何もかも上手くいっていた、誰よりも賢く強く、言われた事はすぐできた。だから、負ける事……挫折を知らずここまで来たのだ。だから性格もあの様になっていたのだと、エクトプラズムは見解を述べ、緑谷がもたらした敗北で変わって欲しいと願ったのだった。

 

「…………できれば僕も、そうであって欲しいですよ、嫌悪感は抜けませんが、彼も雄英高校にヒーローを目指し入学してきた、後輩の1人ですから」

 

 緑谷も、あの場で『ヒーロー人生終わらせてやる』と吐きはした、そして嫌悪感は消えないがそれはそれ。

 

 怒りのピークを超えた本心は、性根を直して立ち直って、1人のヒーローになって欲しいと思っている。せっかくこの、雄英高校に推薦で入学した才能を持っているのだから。

 

「では……」

 

 エクトプラズムに改めて一礼し、緑谷はその場を立ち去った。

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