【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
『緑谷、自宅謹慎解除だ、明日から課題持って登校して来い』
「えっ」
『斥野の保護者から、謝るのはこちらですと、息子が申し訳ない事をしたと謝っていたよ』
「は、はぁ……そうですか……?」
担任、相澤からそう電話があったのは謹慎初日の夕方であった。経過日数たったの1日で、謹慎が解かれたのである。
正直な話……身構えはしていた。斥野力弥の性格からして、両親もこう……エリート教育一家的な、権力者とかの家で『息子をこんな目に合わせた輩を退学にしろ』とか言ってくるかなと。
それが即座に謝罪して来たと聞いて、申し訳なくもなってしまう。
が、こんなスピーディに事が進むのかと、緑谷は訝しんだ。この一件で緑谷出久の母、引子も雄英に呼ばれて斥野の両親と会話したはず……自宅謹慎の緑谷は、家電の前で顎に手を当て、これは何事かと考えた。
「ただいま」
「あ、おかえり母さん……」
考えていたら、母の引子は帰って来た。眼帯がようやくとれた両目の母に、緑谷は尋ねてみる事にした。
「今学校から、自宅謹慎解除の電話きたけど……その、斥野くんのご両親どうだった?」
緑谷からの質問に、ふうとため息を吐いてリビングの椅子に座った引子へ、備え付けのポットより煎茶を湯呑みに注ぎ、緑谷は母に差し出した。
「会うや否や、2人揃って謝って来たわ、こちらも謝るべきはずなのに、うちの子が申し訳ありませんって」
「そう……なんだ……」
「話は聞いたけど……もう少し理性的に動けたらいいわね出久は」
母から聞いても、斥野の両親が先に謝って来た話は事実だった。だからこそ、緑谷は余計首を傾げるほど気になった。
あの爆豪勝己(一年次)の性格よりも、輪をかけて酷かった男の両親がこうも簡単に謝るような人なのかと。逆にそんな両親からあのドブカスが育つのかと。
いや……育つのか、かっちゃんがそうだ。緑谷は近くに居たわと即座に実例が頭に浮かんだ。
爆豪夫妻は、出久も人となりを知っており、母親の光己さんが少し肝っ玉かーちゃんでかっちゃんを押さえつけているが、歪な家族ではない真っ当な家族だ。
その性格の起因は夫妻というより、オールマイトへの憧れと爆破の個性により、幼少期からリーダーシップを取って形成していた、No.1至上主義と向上心からであると思い返す。
となると、外的要因からあの性格になったのかと、最早知らぬ好きにしろという相手となった斥野だが、ああまでなったのが外的要因ならまだ『生意気が過ぎた』くらいにはなるので、緑谷は母が奥に消えたのを見計らい、スマホを取り出してある電話番号を選んだ。
「こんにちは、お久しぶりです……ええ、元気ですよ、そちらは……そうですか、実は頼みたい事が……」
それから、自宅謹慎を解かれた緑谷は復学し、クラスメイト達に根掘り葉掘り聞かされた。
斥野が轟に暴言を吐き、指導していた後輩の光を傷つけ、ブチギレた事を語れば、クラスメイト達は差はあれど納得してくれた。
また、この事件があってか、生徒だけでの居残り練習での体育館の使用禁止となり、必ず1人は先生の監視が必要となったらしい。こうして自由は規制されていくのかなと、緑谷は今後、光や晴日の指導時間が短くなっていく事に悲しくなったのであった。
後ほど聞いた話ではあるが……斥野は大人しくなったらしいのと、一年の間で『緑谷先輩が斥野を半殺しにしてシメあげた』とどこからか漏れ出たらしく……緑谷は一年生から見かけられると過剰に怖がられる事が多くなった。
緑谷出久恐怖の伝説に、また1ページが刻まれたのであった。
━━夕刻、放課後。
緑谷出久は制服姿のまま、とある喫茶店に座っていた。すでに置かれていたティーポットを傾け、紅茶をカップに注いでそれに口をつける。まだ夏が抜けない残夏の日差しが窓から差し込む中、待っていると……喫茶店のドアが開いて呼び鈴が鳴る。
「2人ともお久しぶり、ごめんね?いきなりあんな事頼んで」
入って来た2人に挨拶を交わす緑谷、1人は白髪の老紳士、そしてもう1人は赤いツインテールの小学生のような女性。傍から見たら、老人と孫娘だがそれは見かけだけ!老紳士はまだ30代、小学生はもう20代なのだ!
「雄英の学生がこんな事頼むなんて世も末ね、だからこその"悪の英雄"かしら緑谷出久」
「電話がかかって来た時は驚いたよ、しかし、これでようやくキミと約束が果たせるな」
2人は元ヴィラン、現在は更生して社会人として働いている大人達。
『ジェントル・クリミナル』こと、飛田弾柔郎!
『ラブラバ』こと相場愛美!
その2人は、緑谷出久との出会いの地であり、更生の機会を得た喫茶店にて、再会したのであった。
「出所したら紅茶を共に、だったよね?色々あったから機会がなかったけど、ちょうど良かった……店主さん、紅茶2人分を追加で」
緑谷は、2人との再会と約束、そして電話で頼んだ『仕事』の結果を得るために、2人を席に案内した。