※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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463話 探れ!秘密!下

 ジェントル・クリミナルとラブラバ、かつては義賊を名乗り、迷惑動画投稿を繰り返すヴィランだったが、雄英高校侵入を文化祭の時期に行おうとした所、開始時間まで喫茶店でモーニング食べに来ていた緑谷と偶然遭遇し、捕縛され、説得の果てに自首したヴィランであった。

 

 そして、死柄木との戦いでは雄英高校のシステムに攻撃して来たスケプティックにより降下し始めた『天空の棺』を守り切り、そのスケプティックの所在特定と、破壊されたシステム修復にて活躍。

 

 その恩赦により釈放された2人は、社会復帰して働いていたのであった。

 

「GeL.Incだっけ?会社建てたって聞いてびっくりしたよ、就職したのかなと思ったら」

「とは言っても、私とラブラバだけの2人の小さな会社でね、私は営業しかやってないから、彼女が実務をほとんどね」

「ジェントルが営業を頑張ってるから仕事が入るんじゃない、お陰でセキュリティシステムやら効率化ソフトの開発まであって、もうテナント借りれるくらいには稼げてるんだから」

 

 ほとんどラブラバが実務をやっているとジェントルは頭を掻いて恥ずかしがるが、営業があるからこそ仕事が入って来ているとラブラバは笑う。

 

 どうやら業績はいいらしい、大戦の中で居なければどうなっていたかとなるほど活躍した2人だ、普通に真っ当に働いたら稼ぎくらいすぐ出せるポテンシャルはあるんだなと、紅茶を飲みながら、緑谷はラブラバに尋ねた。

 

「それで、昨日の今日でもう全部調べ上げたの、ラブラバさん」

「ええ、この程度簡単よ、跡も残さず完璧に調べ上げたわ」

 

 ラブラバは紐付き封筒を取り出し、紐を解くや、その中のコピー用紙を数枚取り出して緑谷に手渡した。

 

「今年の雄英高校、推薦合格の1人の情報が欲しいなんて……何かあったのかしら?」

「簡単に話すと、その推薦合格者が"ドブの下水煮込み〜汚物を添えて〜"みたいな性格で、僕が贔屓にしていた後輩をリンチして、轟くんに道徳を忘れたような暴言を吐き散らした」

「えっ」

 

 緑谷の言葉にジェントルが危うくティーカップを落としそうになった。あのヒーローの名門、雄英高校の推薦枠でそんな子が入学したのかと信じられないと言いたげだった。

 

「雄英も一筋縄じゃあないのね……頼まれた通り調べたわ、生まれた病院から最新の健康診断の結果、家族構成から何までね」

「……本当にできるんだ、貴方が味方になってくれて良かったよ」

 

 緑谷が頼んだのは、斥野力也の個人情報だった。あんな性格になった理由は、ここから読み取れるのではないかと、ラブラバのハッキング技術を使い、まず家族でなければ知り得ない情報すらも、緑谷は手に入れてしまったのである。

 

 この人、敵側に回っていたら状況は変わっていただろうな。大戦にて電脳戦を逆転した天才的ハッキング技術が、今は更生して社会貢献している事に緑谷は安堵する。

 

 その技術でブラックな事をさせてしまったのは自分なのだがと、コピー用紙に綴られた情報を目で追い、緑谷は斥野という少年を知っていくのだった。

 

 まず、生まれも育ちも京都らしい。普段こそ標準語が、動揺や怒りを露わにすると関西弁が出ていたのはそれでかと、緑谷は思い出す。

 

 小学校、中学校も私立に受験合格……所謂『エリート街道』な育ちであり、実家も裕福な、満たされた人生を歩んできている筈の少年であった。

 

 父の名前は、斥野幸四郎。

 母の名前は、斥野美之。

 

 そして━━。

 

「あれ、兄さんが居るんだ?」

「ええ、斥野陽一、26歳で今はデトネラット社の系列だった、アースファクトリーの社員さんね?アーマー系のヒーロースーツのヒーローが、ここで作ってるのを着てるなんて聞いた事あるわ」

 

 斥野には、兄が居るらしい。10歳違いの兄弟かと、兄の名前の下には『無個性』と記されていた。

 

 だから、両親の個性はどうなのかと、そちらも見てみると、緑谷は首を傾げた。

 

斥野幸四郎 個性『電磁石』

斥野美之 個性『カロリー算出』

 

 この2人から、あの『斥力』がこの2人の個性から混ざって生まれるのか?と、失礼ながら思ってしまったのだ。

 

「この2人からあんな強個性が生まれるとは、突然変異なのか?」

 

 思わず口に出してしまった緑谷に、ラブラバは言う。

 

「それなんだけど、その次の資料見てくれる?」

 

 ラブラバに言われ、下に重なった資料に切り替えた緑谷は目を見開いた。

 

斥野紅印(旧姓:御印) 個性:方向指定

 

 その顔写真の女性と、斥野力也の目元は似ていた。しかし、斥野美之とは似てなかった……さらに言えば、父である筈の斥野幸四郎、兄の斥野陽一とも、斥野力也は似ている箇所が全くない事に、緑谷は気付いた。

 

「これって…………」

「この、斥野力也という少年……どうやら種違い……托卵された子どもらしいんだ」

 

 ジェントルから報された、斥野力也の事実に緑谷は愕然とした。見てはいけない物を見てしまったとは、こういう事かと、資料をテーブルに置き、右手で口元を覆った。

 

「斥野紅印は斥野幸四郎の前妻で、斥野陽一を産んだ……しかし無個性と知るや愛情が薄れ、彼女は浮気の果てに斥野力也を産み、4年間托卵を隠し通したが露呈し離婚……裁判で浮気相手と共に多額の賠償金の支払いを命ぜられたが、力也を残して蒸発……幸四郎はその2年後会社の同僚、美之と結婚……現在に至る、という流れになる」

「この斥野力也くんの実の両親は……東北の山中で遺体として見つかったらしいの、浮気相手の男も良いとこの役員から、浮気でクビになって慰謝料に首が回らずヴィランの仕事に手を出して、という事かしら」

 

 ジェントルとラブラバから語られる、凄まじい情報と事実に、緑谷はなんと言ったらいいのかと溜息を漏らした。

 

 家族と思っていた兄は、父は、本当の家族ではなく、実母は浮気相手と消えた果てに、死んだ。

 

 彼は、天涯孤独の身であった。

 

 唯一マシなのは、そんな托卵されて賠償金すら払わず浮気相手と消えた女の子どもを、蔑ろにせず今でも実子として育てて、凶行にも頭を下げて親としての愛を向けている事なのだろう。

 

「彼が通っていた中学校……全寮制なのよ、学期の間の休日以外は帰らず、ずっと寮に居たらしいの」

「それで全寮制の……」

「今も雄英から2駅のマンションで、一人暮らししてるみたいだね」

 

 全寮制を選び、今は一人暮らし……決して今の家族を『家族』と認めない。いや、それどころか『家族』という絆すら放棄しているのが見て取れた。斥野力也の、歪んだ性格を形成した原因には十分すぎる事だと、緑谷は頷く。

 

「……人の情報なんて、軽々見る物じゃ無いな、反省したよ」

「私もちょっと調べ上げた所で頭押さえたわよ……よくないから燃やして良いかしら?緑谷出久?」

「はい、そうしてください……ブランデー入り紅茶頼もうかな」

「いやキミ未成年だろ、ダメだからね?ヒーロー希望なのに、ミルクティーにしときなさい」

 

 ここまでヘビーな情報と思わんやん……緑谷はコピー用紙をラブラバに返却し、メニューのブランデー入りを頼もうかというヤケに、ジェントルが大人として止める事態になった。

 

 斥野力也の個人情報を知った緑谷は、気付けにミルクティーを頼み、それを待つ事にした。あとはもう、この1杯を飲んだら解散だなと、店主を待つ。

 

 それまでの間に、ジェントルからまた違う話が振られたのである。

 

「そう言えば少年……近頃はまた忙しくなっていたりするのかね?」

「えっ?まぁ授業とかはそうですけど、どういう事ですか?」

 

 単なる世間話かと思った、最近多忙ではないかと。復興も進み、派遣も終わり授業も再開されて忙しいかと言えば、学業はそうだがとジェントルに答えた緑谷。

 

 しかし、ジェントルは紅茶を一口頂いてから、緑谷に告げるのであった。

 

「最近、またヴィランの活動が活発になっているらしい……AFOと死柄木が倒れ、沈静化されたと思っていたが……変な噂が今出回っているんだ」

 

 復興も進み、平和が戻りつつある中……それに呼応するようにまた、ヴィランが活動を再開しつつあるとジェントルは語った。緑谷は、ふと日常の最中ではあるが、確か久々にヴィラン犯罪のニュースが流れていたなと思い出す。

 

「変な噂って……?」

 

 そして、ジェントルが何やら知っているらしい、その噂とはと尋ねると、彼は答えた。

 

「AFOの遺産、という噂だよ……彼が残したらしい遺産を、日本だけじゃなく世界各国のヴィラン達が探しているようなんだ」

 

 ただの噂話、信憑性も無い話である。

 

 しかし……世界にその根を張って日本を支配しようと動いた『巨悪』が、AFOなのだ。

 

 あり得ない話ではない。彼が死んでも、その忠実な部下、信奉者、同盟関係……様々な関係者はまだ世界に存在する。

 

 大木を切り倒しても、根はまだ土の中に存在する。掘り起こし、焼き尽くさねば、また新たな枝木が生えてくる。

 

 悪の胎動が、始まっていたのを……緑谷出久はこの噂話から知った。

 

 ヒーロー達が再起、復興を図る裏で……。

 

 ヴィラン達は、群雄割拠の時代を迎えていたのであった。




次回予告

 職場体験にインターン先、決まらない中辿り着いたのは、敬愛する先輩ルミリオンが就職した『サー・ナイトアイ事務所』に僕はインターン、光くんは職場体験で向かう事になった。

 そんな中、サーの口からもヴィラン達の活性化と『AFOの遺産』が語られる。それは、彼の生前のコネクションであり、狂気の研究成果であり、隠し財産……様々な形で残っている物を、ヴィラン達は『次のAFO』という席を巡り血眼で探しているらしい。

 でも……手に入れる人間は『ヴィラン』だけじゃない。たまたまそれを見つけてしまった彼らは、その力に酔いしれて思いつく。

『この力で、僕たちが本当の楽園を築くんだ』

 思春期の暴走では言い訳がつかない、少年達が解き放った無責任な力は、余りに惨たらしく、救いの無い結末が待ち受ける『残酷悲劇(グランギニョル)』への幕が開かれる。

 次回、僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア、二年生編第四章。

『†思春期⭐︎グランギニョル†』

 あー……常闇くんと黒色くん呼んできて!!え!?それは範囲外!?マジ……!?
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