【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
さて、職場体験ともなれば一年全てが対象となるわけで、この男も無論ヒーロー事務所でお世話になっていた。
雄英高校1年A組、斥野力弥。
『新時代ヒーロー』ネクストマイト改め。
『ドブカスヒーロー』 チンカスである。
無論、正しいのはネクストマイトである為、チンカスは名乗っていない。あくまで緑谷からそう呼ばれているだけであるが、緑谷にそれはもう圧倒的な力の差を教えられた斥野は、リカバリーガールに最新医療の力もあり、即座に復帰できたので、職場体験に間に合った。
基本、雄英の職場体験というのは5月に行われる『雄英体育祭』の結果を見たプロヒーローがオファーを送り、そこから生徒が選び、現地でプロヒーローから学ぶ形である。
しかし今年は雄英体育祭が行われず、さらにプロヒーローも減少している為、雄英から対応できるプロヒーロー事務所を探してリスト化、そこから選択する形になった。
斥野は、引退したエンデヴァーの息子であり先輩、轟焦凍のツテでリストに無いエンデヴァー事務所に頼もうと交渉したが破綻した。そして、罵倒に中傷したのでもう二度と無理だろう。
それでも、雄英高校1年首席のプライドから、ビルボードチャート上位ヒーローの下で職場体験は譲れないとなった斥野が選んだのは━━。
「威勢の良さに、その性格……去年の爆豪を思い出すな」
「が……ぐ……!?」
椅子に座っている斥野は、抵抗せずに鏡の前で自分のセットした金髪に櫛を通され、ぴっちり整えられていた。
抵抗"しない"のでは無い"できない"のだ。ヒーロースーツの繊維が自分自身を拘束し身動きが取れない、斥力により弾こうとしてもそれより強い力で縛りつけにされている。ベストジーニスとの個性『ファイバーマスター』によって。
「学校からも、君が先日やらかした話を聞いていてね……頼まれたよ、矯正を兼ねてしっかり見てやって欲しいと」
上下ともにジーンズ生地のヒーロースーツに身を包んだ彼の名は『ベストジーニスト』、ヒーロービルボードチャート3位のヒーローにして、AFO、死柄木との戦いでも最前線で活躍し、爆豪勝己が過去職場体験にも選んで以降は、衝突こそあれど師として仰ぐヒーローの1人であった。
「成績と類稀な個性の強さ、それを扱える才能……爆豪とキミはそっくりだ、だからこそ私に頼んだのだろう」
そんな彼だが……今回は職場体験に斥野を迎え入れたのには理由があった。
雄英高校にて彼が起こした、轟焦凍への暴言、クラスメイトへの私刑の果てに緑谷出久に半殺し……いや、全殺し後に蘇生された事を聞かされたのだ。
その様は、かつての爆豪勝己を思わせる。そんな彼を矯正し、さらに先のステージに上げた実績から、彼ならばと担任であるエクトプラズムより直々に頼まれたので合った。
「一週間でキミに縫い付ける、ヒーローがなんたるものか、ヒーローに必要な物はなにか、をな?」
「く、く……来る事務所……間違いやった!!」
斥野は、自らの髪の毛をマッシュルームカットに揃えられた姿を見て、そう絞り出すように呟く。
「だーーーはっはっはっはっ!!?ち◯こだ!デケェ金色のち◯こじゃねぇかよ!!」
そしてこの男、ヒーローインターンでも改めてお世話ななる為に来ていた爆豪勝己は、後輩の公然猥褻な髪型を指差して爆笑した。かつての職場体験から帰還した際、自分も8:2ヘアにされて瀬呂に切島に笑われたが、いざ他人が同じ目に遭うと笑えるしすかっとする爆豪なのだが……。
「大・爆・殺・神ダイナマイト?」
「はっ━━!?」
ギランと目を光らせたベストジーニストに名前を呼ばれ、やべぇとなって即座に逃げようとしたが既に遅く。そのまま違う椅子に括り付けられた爆豪の後ろにベストジーニストが、櫛を輝かせた。
「ジーパン!?それはマジでやめてくれ!!笑ったのは謝るから━━」
「一年でインターンができなかったからな、まだまだ改善の余地もありとみた」
真昼の青空に、断末魔が響き渡る。そして完成した、マッシュルームカットの斥野に、8:2坊やな爆豪。その出来栄えにベストジーニストは満足げに頷くので合った。
そんなここは、ベストジーニストの故郷岡山県……ベストジーニスト事務所岡山支部での、一幕であった。