【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
一瞬!!瞬きすら許さずに!!轟焦凍の冷気は改造制服集団を凍結させた!!
「こ、れは……!」
そのうちの一人、青い翼を生やした学生は氷塊に身体を捕らえられ、身を捩りながら呻く。他の学生達も同様、動こうとするが身動きは取れなかった。
「デモにしてはあまりに殺伐としていたんでな、悪いが止めさせてもらった……」
凍りついた地面を歩き、銀髪の少年の目前の前に立つ轟。対して動きを封じられた少年、救世主ミカエルは余裕すらある笑みを見せた。
「これはこれは、まさかエンデヴァーの息子、ショートが居たなんて……父親の罪を語られて隠蔽しに来たのかな?」
甘ったるい声だ、聞けば今は苛立つが、さっきまで心地よさすら感じていた声に、轟は囚われないように集中しつつ、言い返す。
「親父は罪を償うよ、俺も荼毘の弟として、言われても言い返しはしない……新たな秩序とか言ったが、ごっこ遊びにも限度があるぞ?」
轟はそう言いながらデモの学生達を見た。明らかに皆、年下の中学生のあどけなさが残る顔をしていた。異形型の個性も自分より身長が低かったり、幼さが伺える。それが真昼間からデモ活動から洗脳の個性まで使って、遊びでは済まないと轟の言葉に、ミカエルは笑った。
「遊び?本気さ、僕は……救世主ミカエル!!」
「な!?」
そして、恥ずかし気も無く、ミカエルは囚われた氷を打ち砕いた。
轟は驚いた、どこにこの氷塊を砕く力があるのか不思議な細い右腕、それで自分の冷気から生成した氷から、ミカエルが力づくで抜け出したのだから。
「救世主の御技、その目に焼き付けるといい!罪深き偽りの英雄の落とし子よ!」
その振り上げた腕を振り下ろし、ミカエルの拳が氷塊に当たった瞬間!轟焦凍の作り上げた氷塊は喧しい音を立てて砕け散り、学生達を氷の牢獄より解放したのである!
地が揺れた、周囲の建物すらも!その一撃はさながらオールマイトの放つ攻撃と変わらない程に強烈な一撃であり、轟を驚かせた!
「感謝いたしますミカエル様!」
「ヒーローを粛正せよ!楽園の為に!」
氷を砕かれ行動を開始する信徒らしき学生達!対して、救世主ミカエルが演説を止められた為か、ここに来てようやくエンデヴァーのサイドキッカー達が意識を取り戻した!
「あ、れ!?何だ今呆けて……何だ!!」
「敵です!この学生達、ヒーローネットワークにも流れていた奴らです!」
オニマーが状況が飲み込めないと焦り、轟が状況を即座に伝達する。それを聞いたキドウ、そしてバーニンも理解して先程の演説が催眠系統の個性で、危うく操られていたのかと理解する!
「意識が飛んでいた……まるで従うのが当たり前みたいな声だった!」
バーニンがさっきまで聞いていた演説を思い出すと、その怖気が甦り顔面蒼白となった。無意識に従いそうになりかけていて、轟が行動しなければそうなっていたと!
「バーニンさん、オニマーさん!避難誘導頼みます!ここは俺とキドウさんが!」
「了解、任せるよ焦凍くん!」
轟の言葉にバーニンが答え、オニマーが頷いて、二人は周囲の民間人の避難誘導に向かう。救世主を名乗る男、ミカエルはゆっくりと学生達の最前線に出るや、手を掲げ言い放った。
「Angriff!!(突撃せよ!!)」
その号令と共に、ミカエルが従える学生達が各々個性を展開して轟とキドウに襲いかかる!
「遊びじゃ済まねぇぞ……!」
だからと言って轟焦凍が、学生のヴィランまがいの輩に押し切られるわけがあろうか?いや、無い!断じて!砕かれようと氷はまだ残っており、その程度で戦況が傾く程、轟焦凍という少年が弱い筈が無い!
轟の左半身の炎が燃え上がり!勢いよく放たれるや、膨張した空気が爆風を引き起こし、突撃する学生達を一網打尽に弾き飛ばした!
「膨冷熱波!!」
理不尽な程の実力!有象無象の学生達は吹き飛ばされて水蒸気が立ち込める。手加減込み、気絶させる程度に抑えた必殺技で、勝負あったかとなったが……。
「!!」
水蒸気に穴をあけ、光線が轟に放たれた!それをキドウが前に出るやヒーロースーツの一部であり、包帯で円を作りそれを通過した光線は轟には当たらず空へ向かい霧散した!
水蒸気が消えて現れたミカエルは、指先から光を灯して轟とキドウを睨んでいた。
「さっきの演説も個性として、超パワーに光線……複数個性持ちとはな?AFOや死柄木と同じだ」
「えぇ、キドウさん」
キドウの言葉に轟は頷く、精神干渉してきた演説も、先程の氷塊砕いた剛力も、そして今見せた光線も……全てこの銀髪に白制服の少年が行使した『個性』だと。
複数個性の持ち主……轟が知る中でそれは、かつての緑谷出久がそうであった。それに連なる、大元となる存在はただ一人。
AFO(オール・フォー・ワン)である。
だが、轟焦凍はそんなAFOに似通った個性複数持ちを相手に対峙して違和感を覚えた。
「救世主の力の前にひれ伏せ!偽りの英雄!」
ミカエルが踏み込んできた、前に立つキドウが構える中、轟はその横から自ら踏み込んでいく。
「焦凍くん!?」
基本、遠距離から自らの半冷半燃を押し付け一気に勝ち切るのが、轟焦凍の戦闘スタイルであり、近接戦は不得意なのをキドウは知っていた。だから、この接近は待ったの声を上げた。
先程氷塊の拘束を自らの剛力で打ち砕いたのを見れば、まず余程自信があるか近接主体で無い限り避けたい力を見て、それでも轟は近接戦に踏み込む!
「はぁあ!」
救世主ミカエルの右拳が振られた。
が!轟はそのオールマイト並みの一撃を有する拳を!
「えっ!?」
自らの左手首で打ち払うように逸らして見せた!風が起こる膂力の拳を前に恐れず!弾かれたミカエルは体勢を崩し、轟はその右手首を左手で掴みながらミカエルに密着し、右足を踏み込ませ、右手で左襟を掴んで腰を当て自らに引き込んだ!
「はぁああ!」
ミカエルの身体は轟の足に払われて、勢いよくコンクリートの地面に背中を叩きつけられた!
「がっはっぁあ!?」
夏休み合同合宿、誠刃学園の校長は姫鷹、その教え子である花霞姉妹が体得せし『誠刃流柔術拳法』その体捌き、そして受け流しからの投げ技を、見事この場で使って見せたのである。
「しばらく止まっとけ」
「うぁぉああ!?」
仰向けに倒れた救世主ミカエルとやらに、轟は右手の冷気を直接発生させ、首から下を念入りに凍りつかせ拘束させた。指一つ動かす事ままならなくなった、この学生ヴィランごっこ団体のリーダーを拘束し終え、轟は一息を吐いてヒーロースーツの襟元を正した。
轟焦凍は静かに、そして確実に、No.1ヒーローへの道を一歩また歩み始めた。