※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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471話 †ごっこ⭐︎遊び†

「く……そ……何で!こんな筈!?」

 

 ミカエルは地面に仰向けに倒され体を首から下全て凍結で拘束されて身動きができなくなった。それ程までに氷を張り、剛力にて壊そうともがけば再度凍結させ、決して逃がさないと轟は彼を見下ろし言い放つ。

 

「幾つも個性を持っているのは驚いたが……お前、扱い方が雑だな?これならまだそこら辺の個性持ちの小学生の方が上手く使えてるぞ」

「な、なんだと!?」

 

 轟の口から放たれた感想に、ミカエルは目を見開き唖然とした。だが、轟焦凍は決して煽っているわけでも、悪意があってそう言ったわけではなかった。

 

 事実を述べたのである。

 

 最初の洗脳は危うかったが、放たれた光線も、オールマイト並みの剛力も、当たれば危ない個性なのは重々承知していた轟だが……どうにもその様々な個性を前にして、降りかかる殺意というか、敵意というか、脅威があまりに弱かったと感じたのだ。

 

 ミカエルが殴りかかってきたのも、テレフォンパンチで見て避けて投げ倒せる余裕があるくらいで、慣れが無い。これならさっき放ったビームを乱発した方がまだマシだったのでは?と思うほどに。

 

「警察がもうすぐ来る、後はそこでしっかり全部吐いて━━」

 

 だから、この騒動はもう終わったと轟は思っていた。一瞬、自身を覆う影と敵意に気付けたのは、潜り抜けた修羅場と訓練の賜物か……轟は即座にその場を飛び跳ねてミカエルより離れた!

 

 彼の耳が感じた風が凪ぐ音と、視界の端で見えたのは、巨大な……刀身!危うく身体が両断されかけていたが、何者かと間合いを取るや轟はその相手に驚愕した!

 

「こいつは……!」

「な、何でこいつが居る!?」

 

 離れていたキドウも同じ反応を示した!唐突に地面から、上半身を露わにした漆黒の肌に、筋骨隆々の肉体!両腕は巨大なナタを取り付けられ、露出した脳みそに眼球が植え込まれたその怪物は、波打つ地面から足を抜いて現れてミカエルを守るように立ちはだかる!

 

 それは、AFOの懐刀、殻木球大が作り上げた化け物!!人造兵器人間『脳無』であった!しかも、黒い肌の個体は『ハイエンド』と呼称される、最上位の力と自己意志を持つ個体と称される個体である。

 

「何やってるミカエル、油断したか」

 

 ハイエンドの背後より、同じ改造制服に青い翼を持った少年が、凍り漬けのミカエルを見下ろしてそう尋ねれば、ミカエルは先程の尊大な態度は消し飛んだかのように叫んだ。

 

「うるさいぞウリエル!少し考えてた事と違っただけだ!もういいからここからさっさと離脱するぞ!後は尖兵に任せる!」

 

 年齢相応の、上手くいかないと癇癪を起こす様にウリエルは何も言わずに、親指に傷を付け、凍りついたミカエルの近くの地面に、何やら描けば……凍ったミカエルごと地面は揺れ始めミカエルも、ウリエルと呼ばれた少年も沈んで行く!

 

「逃すか!!」

 

 そのまま逃すかと、左手から炎を放つ轟!しかしそれをハイエンド脳無は自ら盾となり防げば、救世主ミカエルはウリエルと共に地面の中に消えていった。

 

 ワープか、はたまた地中に潜る個性持ちかと逃した轟だが、まずはこの目の前のハイエンドからだと即座に右足から地面を這う氷で一気に凍結させた!

 

 このまま一気に押し切る!!膨冷熱波を叩き込もうと左手の炎を叩き込もうとした轟であったが……。

 

「……うん?」

 

 両腕ナタのハイエンドは……凍結させられてから微動だにせず、抵抗無く動くことすらしなかったのである。

 

「どうした焦凍くん、何かあったのか!」

「いや……この脳無、全く抵抗しないし、動きもしなくなったんですが」

「ええっ……いや、確かこれ、ハイエンドって意思ある個体だった筈だよね?」

 

 キドウも、轟が攻撃を止めて構えを解いて、その理由を聞くや本当か?と歩いて近づいた。ハイエンドの個体差や個性差があるが、凍結から抜け出す力くらいある筈なのに、まるで電源が切れたかのように氷の中でハイエンドは停止していたのである。

 

 とりあえず、危機はさったのかと、気を失う『聖救国騎士団』とやらのメンバー達と、避難を終えて静かになったオールマイト広場を確認したキドウが、一息吐いてから言い放つ。

 

「ハイエンドの脳無まで持って、ここまで組織的に集団を動かせる割には……お粗末なものだったな……一応、AFO配下の残党か、崇拝者ってやつなのか?」

 

 人数も中々に居た、統率も取れていたが、元々学生の個性持ちというだけで、戦力としては頼りない。そしてこのハイエンドが動かなくなるという事から、命令系統に不備があったとしか思えない。

 

 AFOの残党なのか崇拝者なのか知らないが、あまりにもお粗末な襲撃であったとキドウの話に、轟も頷いた。

 

「ええ、何というか……こう、ごっこ遊びでもしているみたいですね……ヴィランごっこというか」

「ごっこ遊びだろうが、ラインを越えたぞ、あのミカエルとかいうヴィラン……学生だろうが、ハイエンドまで所有となればこっちも本腰を入れざるを得ない」

 

 ごっこ遊びとしか思えないお粗末な襲撃、しかしあの救世主ミカエルは、取り返しのつかない所まで踏み込んだ。いかに彼が学生だとしても、ヴィラン犯罪に少年法は適応されはしはいと、キドウの包帯の下に隠れた眼差しは鋭かった。

 

 

「ぐぁあああ……ぐぅう!!」

 

 逃げ果たせたミカエルは、ウリエルに肩を抱えられ本拠地である脳無工廠に帰還していた。

 

「ミカエル!?どうしたの!!」

 

 工廠で脳無作成を行っていたラファエルが、丁度その場に居て抱えられたミカエルを見て駆け寄った。

 

「何!?どうし……きゃああ!!ミカエル!?」

 

 玉座への階段で口紅を引いていたガブリエルも、ラファエルの声に反応してミカエルの有様に悲鳴をあげて駆け寄った。

 

「ミカエルがやられた!エンデヴァーの息子が丁度警備に出ていて……ラファエル!ぬるま湯作ってくれ!凍傷になってる!!」

 

 ミカエルを床に寝かせたウリエルが、ラファエルにぬるま湯を沸かせと指示した。轟の冷気を直に受けて凍結しており、このままでは壊死してしまうとウリエルは知っていたのだ。

 

「わ、私が人肌で!」

「やめろ!皮膚くっついて離れなくなる!!」

「わ、わかった!すぐお湯を━━」

 

 ガブリエルがならば人肌がとミカエルを抱きしめようとしたが、皮膚がくっついて二次災害になると止めた。ラファエルはここでようやく、お湯を沸かしに走り出したが……。

 

「ひ、必要無い!」

 

 ミカエルは止めた、必要無いと。それは強がりにしか3人には見えなかったが、うつ伏せになりながら、ミカエルは息を荒げ右手を見つめた。

 

「ぐぁああ!あぅう、あああああ!!」

 

 右手の五指に光が灯り出し、光線が漏れ出す!凍傷に晒された指が一気に熱を持ち、水膨れが出来上がり、さらに弾けてリンパ液が漏れ出すが……みるみる再生していき、男らしからぬ綺麗な指は元通りになった!

 

「はぁう……ぐぁあああ!!」

 

 自ら光線を用いた凍傷の荒療治、そして体組織の再生を成功させたミカエルは、その手で次は自らの胴体に光線を浴びせた!

 

「おい!無茶をするな!?」

「黙れぇ!この、ていどぉ!!」

 

 同じように皮膚が水膨れ、破裂し、そして元通り再生していく……これが、救世主ミカエルの個性……。

 

『救世主』と、ミカエル自身は呼称していた。

 

 本来、一人に一種類の個性しか持ち得ない筈ながら、ミカエルは様々な個性をその体に宿していた。

 

 指から光線を放ち。

 凄まじい怪力を発現させ。

 言葉を聞いた者を陶酔させ。

 そして……受けた傷は跡形もなく治せる。

 

 どんな事でも出来る、神の御技が如き個性。故に『救世主』だと、ミカエルこと常川法水は語った。

 

 この個性があれば、誰も敵は居ないと彼自身豪語していたし、此度の演説に同行したウリエルもそう思っていた。

 

「こんな……馬鹿な……僕が、負けるなんて!」

 

 しかし、結果はこの有様だった。ミカエル自身も、信じられない、あり得ないと息を切らし理解を拒む程の惨敗を喫したのであった。

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