【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
常川達の席を調べる緑谷達だったが、元々彼らは名門私立中学の生徒というのもあり、置き勉の教科書や出し忘れのプリントなぞもあるわけがなかった。
まぁ、自分のクラスの机の中に証拠品なぞ残すわけもないかと考えながら、常川の机の中を見た緑谷がため息を吐くと……。
「あ、何だこれ?ノートだ」
峰田の声があがった。峰田が調べたのは常川達と仲のいい一人で、失踪している内の1名である那由多解理の机、そこから一冊の大学ノートが出てきたのだった。
「グレープジュース、開いてちょうだい」
「うっす……って、ただのノートだな、数学のを忘れたか?」
Mt.レディに言われて、峰田が那由多の忘れたノートを机に置いて開く。が、書かれているのは数式やらで、数学のノートを忘れっぱなしにしていただけのようだった。収穫は無いかとそのままノートをめくっていく峰田だったが……。
「ん?何だこれ?」
途中で挟まれていた紙片が見つかったのだった。その紙片は明らかに大学ノートと、紙の質感も年季も違い古い紙片だった。
「悪い事してるなぁ、これ多分本破った一部だよ」
「わざわざ挟んで隠してるあたり、いかにもね?」
粗雑に破られながら綺麗に畳まれているその紙片に、悪い奴だと緑谷が呆れた。あからさまに隠してあったそれをMt.レディは峰田に開くように促し、その中身に全員が注視する。
「えっ……これって」
「これは……」
「えぇ……」
紙片に描かれていたのは……この場のインターン生も、ヒーロー二人もよく知る物だった。脳が剥き出しにされた、人間の形をした化け物……つまりは『脳無』の詳しい図解であった。
精々が図解だが、破られた跡からして、恐らくは詳しく書かれたレポートから取ってきたのかもしれない。それを一中学生が所有していた事に、一同は驚愕する。
「脳無の……作成図かしら?いや、そうよねこれ……」
「て事は……まさか?」
「こいつが作ってんのか、新たな脳無を?いや、中学生ができるわけ……」
まず思いつくのが、この那由多解理が、脳無を製造しているという考えだった。瀬呂も上鳴も峰田も、まずそれが思いつく。新たに神野に現れた、AFOて殻木が作り出した脳無を、ただの中学生が作れるわけもなしと否定する。
「……出来る可能性、あるかもです」
しかし、その否定は彼の担任である荻野により潰された。ああそうだ、ただの中学生でないのだろう、作れる程の力を那由多解理は持っているのだろうなと、緑谷は荻野に目を向けその続きを聞く。
「それは何故ですか、荻野先生?」
「那由多くんの個性です、彼は……一度書物を読んでしまったらどんな事も理解できるんです、彼は『超理解』と呼称してました」
脳無製造可能な理由、そして神野に現れた脳無は誰が作ったのか?一気に掴めたかもしれない。常川達と消えたクラスメイト、那由多解理もまた、常川と行動を共にし脳無を製造しているかもしれない疑惑があがった。
「ま、待った!理解できても、脳無作る研究所的な物ないと作れなくね?製造工場みたいな」
だが待ったと上鳴は言う、いくら個性を使い脳無の作成法を理解しても、作るための研究所なり工場がないと無理ではないかと。確かにその通りである、知識はあれどそれを作る場所、施設が無いと無理だろうと。
「…………見つけたのかもしれないわ、この子達は」
「は?」
「だから、脳無を作る施設、AFOが所有していた製造工場……神野にもあったし、蛇腔の病院にもあった……あのAFOの事だから、あちこちに隠し持っていてもおかしくない」
しかし、その否定もMt.レディにより遮られた。脳無の製造工場を彼らは見つけたのかもしれないと、さらにMt.レディは話を続ける。
「ヒーローネットワークにもね?今、情報があがってるのよ、AFOが日本……いや世界中に隠したというか、生前使っていたアジトや遺物……それら含めて"AFOの遺産"って言う形で、ヴィランが血眼で探してるの、次のAFOになりかわろうとして……その一つをこの子達は見つけたんじゃあないかしら」
『AFOの遺産』
死したAFOが遺した様々な物……人脈、設備、財産……世界を混沌に落とそうとして、百何年生き永らえて来たか分からない巨悪は、死してなお消えずに世界に己の築き上げて来た物を残していた。ヴィラン達は、それを手に入れて次代の悪として台頭しようとしている。
彼らは、その一つを見つけた。
そして、それを『扱える力』を持っていた。
少年たちの純粋かつ、若さ故の勢いと万能感が今回の事件を引き起こしたのではないかと、Mt.レディは纏め上げた。
「なら、あとやる事は一つっすね?Mt.レディ、シンリンカムイ」
「ああ、彼らの所在を突き止めるのみよ」
「本当、何処に隠れてるのかしらね……」
さて、後は彼らが何処に隠れて悪事を働いているのか?それだけだと上鳴の言葉に、シンリンカムイとMt.レディが頷いた。彼らはかつてのヴィラン連合に所属していた『黒霧』に似た移動手段を有しており、所在は分からない。果たして何処に潜伏しているのか……まずはそこからかと悩む。
時計の針は、決して止まらず動き続ける━━。