【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
あの日、僕は『星に射抜かれた』
No.1ヒーローエンデヴァーのスキャンダルが、超常解放戦線のメンバーである荼毘こと、轟燈矢により暴露されて、日本のヒーロー社会が崩壊し、僕も避難生活を余儀なくされた。
僕の家の範囲も、避難勧告が出されて雄英に避難した。
あの時、ずっと願っていた。
『ヒーローの敗北』を。
理由は単純、僕は『無個性』だったから。
無個性の差別でいじめられて、個性を持つ奴は明るい未来が広がっているこの世界を、AFOと死柄木弔が壊してくれると、変わると思ったからだ。
けど、AFOも死柄木も敗北して、復興が始まった。また同じ形に、同じようにこの国は甦るのだろうとため息をつく日々が続いた。
幸い、実家にまで被害は出なかったが、それでも避難生活が終わるまで時間は掛かった。外出制限もあったが、それが解かれたいつの日かの夜……僕は散歩にでかけた。
まだ倒壊した家屋がある街を歩く、このまま消えてしまいたいなんて思った。例え復興しても生活は変わらず、またいじめの日々が続くだけ……瓦礫の積まれた街中を歩く中、ふと僕は空に『光』を見た。
神々しい光だった、こんなに綺麗な星が空にあったのかと思うほどの光。やがてそれは近づいて、僕を『射抜いた』のだった。
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「それからだ、僕に救世主の個性が宿ったのは、僕はこの個性で……避難所から出てきた今までいじめてきた奴を断罪した」
玉座に肘を突き、足を組みながらミカエルこと常川法水は独白した。
「この個性があれば、事故に見せかけるなんて簡単だった、無敵で完璧な個性の筈なのに……なぜ負けた!?僕は!!」
今まで、ここまで上手くいっていた。この個性は何だって出来た、光線を放ち、翼で空を飛び、甘美な声で人を酔わせ、力はオールマイトにだって負けない筈。
それだけあって、何故負けたのだと、玉座の手すりに拳を打ちつけた常川は、敗北を思い出し屈辱に歯噛みした。
━━その時だった、常川の頭に声が響いた。
『なに、これは試練さ、まだキミは力を上手く扱えてないんだ、まだまだ個性を使いこなす練習が必要だ』
「!?……あ、あぁ、神託!また再び!!聞こえた!!」
自分を嗜め、導く様な声に常川は屈辱に染まった表情を一気に歓喜へ染めた。最近とんと聞こえなくなった"神託の声"がまた聞こえたのだ。
「主よ、僕は次に何をしたらいい……超えるべき試練、立ち向かう方法をどうか教えて欲しい!」
椅子から立ち上がり、階段を降りながら祈る様に呟く常川……廃工場の天井の穴が、さながらスポットライトの様に常川を照らしつけると、また声は脳内に響き渡る。
『兵隊を増やすのだ、キミの仲間の個性による操り人形でなく"尖兵"を、より強い個性を持った者を集め、尖兵の材料にするといい……狙うならば、ヒーローを目指す者達がいい』
その神託が下す次の提案に、常川……いやミカエルは笑みを浮かべた。成る程と、今の操り人形の『天使』達よりも、強い尖兵をより多く作り上げる、その材料を集めるべきだと。
そして、狙うのは『ヒーローを目指す者』つまり、まだヒーローにはなってない『ヒーロー科の学生』がいいというわけかと常川は神託に頷いた。
「ウリエル!全国の天使達に通達を、今後我々は楽園を築き上げるため、新たな作戦を決行する!狙うのはヒーロー科の学生、生死問わずここに連れて来る様に伝えるんだ!」
ミカエルがそう叫べば、天井の骨組みに座り待機していたウリエルは翼を広げ、そのまま地面にゆっくり降り立ち、ミカエルに一礼してやがて地面に沈んで行った。
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「よし、お疲れ様!今日はここまでね」
「あ、はい、お疲れ様です」
緑谷と通形が情報集めに奔走する中、職場体験としてバブルガール、センチピーダーとパトロールに出ていた光活人は、職場体験の時間を終えて帰還、簡単なレポートを書き終えて終了となった。
バブルガールにレポートを確認してもらい、問題なしと判子を押されて本日の職場体験は終えた光は、まだ帰らぬ緑谷と通形を気にしていた。
「先輩達、余程難航してるんですかね……」
「サーも戻らないあたり、今回の学生ヴィランは隠れるのは得意らしい」
センチピーダーも、出払っている事務所の主ナイトアイが戻らずまだ出ているという事は、それだけ彼も遠方に出て多忙なのかもしれないと語った。
ヒーロースーツをしまい、指定カバンとスーツケースを持ち、光はバブルガールとセンチピーダーに一礼した。
「お先に失礼します、また明日もよろしくお願いします」
「はいお疲れ様」
「気をつけて帰りなさい」
挨拶を一言、光はナイトアイ事務所から退社した。まだ夕方5時ながら日は早く、すでに夕日が消えようとしている。また明日も頑張らないといけないなと、気持ちを入れ替える光は階段を降り切ると、ふと横切った人物に驚いた。
「あれ、絆定寺さん?」
「え、光くん?」
クラスメイトであり、もう一人のA組推薦枠の生徒、絆定寺綾がちょうど通りかかったのだ。絆定寺は光が出てきたのが、サー・ナイトアイの事務所と見て、目を見開いた。
「うそ……光くんサー・ナイトアイ事務所で職場体験してたの?リストにあった?」
絆定寺からすれば、何故そんな有名なヒーローの事務所にと驚愕の事実だったらしい。確かにリストには無かったヒーローだったので、光は申し訳なさそうに答えた。
「あー……実は、緑谷先輩が誘ってくれたんだ、緑谷先輩が通形先輩、ルミリオンと縁があってそのおこぼれ的な」
「緑谷先輩の……成る程、羨ましいわ」
「絆定寺さんもこの辺りのヒーロー事務所に?」
「そ、絶対知らないよ?浄瑠璃ヒーロー"アイノ"ってヒーローの事務所」
「し、知らないヒーローだ……」
あまり知らないヒーローの所で、彼女は職場体験を受けているらしい。確か、斥野がベストジーニスト事務所に職場体験が取れたらしいが、何という落差かと落胆する彼女に、光はどうフォローしたらいいかと言葉が出なかった。
「しかも始まって二日間は、出動しても後始末とか誘導ばかりで、実践の現場を見学できる機会が無くて……はぁ、本当に事務所選ぶの間違えた」
「そ、そうなんだ……」
選んだのは自分だが、こうも割を食うとは思わなかったと嘆く絆定寺に、光は苦笑以外何が出来るのかと悩んだ。成績からして天と地の自分と絆定寺、自分が慰めた所で全てが煽りとして捉えられかねないと思ってしまう。
「げ、元気だしなよ、あくまで職場体験で、プロの仕事を間近で見て学ぶのが大事なわけで……合流した他ヒーローとかから、学ぶとかも出来る機会が……あるかも……」
それでも、彼女の鬱憤晴らしのサンドバッグにはなれるかと自信無しに、無責任な励ましを光は絆定寺に語った。
「……確かに、それはありよね」
「えっ?」
「そっか、別に体験先のヒーローから全て学ぶ必要無いんだ、合流したプロヒーローからも色々聞いておけば良かったんだ」
だが、絆定寺の反応は違った。素直に気付かされたと顎に手を当て、考え込むのだった。光活人、性格最悪な斥野を知るが故か、他の人物にまで同じ反応を返されかねないと思っていたが……雄英に入学しヒーロー目指す少年少女は基本『いい子』である事を忘れかけていた。
とにかく、彼女の糧になったならそれは良かったと光は笑顔が自然と浮かんだ。
「じゃあ僕はこれで……」
そのまま、別にただ挨拶を交わす程度、職場体験先が同じ区域だったから話しただけの光は、そのまま帰ろうと歩き出すと。
「あ、光くんもそっちなんだ、だったら途中まで一緒に行こうよ」
「えっ!?」
別に意味はない、絆定寺はただ変える方角が同じだからそう言っただけである。しかしヒーロー科とは言え、光も男子学生……ちょっと"そういう意味"にも考えてしまって、声が上ずるのだった。