【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
光と絆定寺はそのまま横並びで歩いた。なぜ自分が、自分如きが推薦入学の彼女と?いや、ただ帰る方向が一緒なだけだ、それだけだ馬鹿野郎と光は自らに言い聞かせた。
「そう言えばさ」
「あ、はい?」
「遠方まで職場体験行った子達って、泊まりなんだって、凄いよね」
「あ、あー、そうみたいだね」
雄英の職場体験は、全国のヒーローの下に向かうわけで、場合によってはこの一週間外泊する。光や絆定寺のように、雄英高校がある静岡県やその隣県ならば自宅から通える利点があった。
「確か、斥野くんがベストジーニストの所にインターン申し込んだら、東京の事務所じゃなくて、岡山支部に居るからそっち行ってるらしいんだよね」
「岡山って……気合い入ってるな斥野くん」
「道走くんと紙式さんは東京、晴日くんは大阪のファットガムさんのとこに職場体験行ってるって聞いた」
「そうなんだ……」
他のクラスメイトが何処に職場体験に行ったか、光は気にしていなかったが斥野は相変わらずトップヒーロー狙いで、道走と紙式は首都東京を、晴日は大阪と活動が激しくなる都会を選んだらしい。
そのまま駅に辿り着き、切符を買う。この辺りで互いに違う駅だろうと光が思ったら、なんと駅まで同じだった。
「知らなかった、ご近所さんだったりしたのかな?」
「学区が違うとか……」
電車に揺られ、座る絆定寺と吊り革を掴み立つ光。意外にも二人は住んでいる場所が近かった事を今更知ったのだった。あと何駅か止まれば降りる、窓から見える空はいよいよ暗くなってきた。
「そういえば光くんは職場体験どうなの、この二日間」
「え、いやぁもう、追いつけないくらい大変だった……明日もそうなるかもって」
「元オールマイトのサイドキックは仕事が早いんだね」
「いや、そのルミリオン先輩にイズク先輩と回ってて、二人がもう」
「いいなぁ、勉強になりそう」
他愛のない会話が続いて、そして降りる駅に辿り着き、二人は電車から降りて改札から出た。そしていよいよ駅からは違うと向かう方向が違うと気づいた絆定寺は、光に言った。
「じゃあ私こっちだから、また明日パトロールで会えたら」
「あ、うん、また明日、絆定寺さん」
手を振って、また明日現場で会えたならばと挨拶を光は返した。今はもう夜も近く、ふと光は……考えた。
夜道に女子一人は危なくないか?と。
しかし、今更『家まで送る』とか言ったら、気持ち悪がられるだろうなと考えた。邪な気持ちを悟られて……いや、別に絆定寺に好意があるわけではないがと、首を横に振って光も自宅に向かった。
この翌日、光活人は後悔する事になる。たとえ……気持ち悪がられたり軽蔑されようと、この時家まで送っていくと言うべきだったと。
ヒーローインターンの終了時刻は、そのヒーロー達によってまばらである。緑谷は過去、エンデヴァーの下でインターンを行った際は、夜中まで行いエンデヴァー事務所の宿舎に泊まって日々を過ごした。
サー・ナイトアイ事務所においても、イズクは夜間手前までの活動を許された。それだけ緑谷の実力を、サーも認めているという証とでも言うべきだろう。
「あれから収穫は無しでしたねぇ、ルミリオン」
「まぁそんな物だよね、初日みたいな襲撃は無かったし」
緑谷と通形は事務所に帰還するや、ドアを開けとりあえず経過報告をナイトアイに行う事にした。彼もまた何処かへ調べに出ていたらしい、ファイルを机に開いて、ホワイトボードに写真を貼り証拠整理を行なっていた。
「イズク、ルミリオン、戻ったか」
二人が帰還したのを見てそう言う彼に、緑谷は一礼し、ルミリオンも言葉を返す。
「ただいま帰還しました、サー」
「そうか、帰って来てすぐ悪いがセントラル病院から報告があってな、自殺に踏み切った学生達の原因が分かった」
「本当ですか!」
そして、サーの方にも進展があったらしい。前日の襲いかかって来た学生、それが自刃した理由が分かったと聞いて二人はその原因を尋ねた。
「体内から他人の個性因子が見つかった、他人が生成した個性に類した物を取り込んだ形跡があり、その因子情報を個性登録に照らし合わせた結果……ある人物の個性だと分かった」
サーは、ホワイトボードに貼られた写真の一枚を指さす。そこには、女性のような化粧を施した美少年が写っていた。
「雨谷誘魅、蛍陽中学の二年生だ……彼の個性"フェロモン生成"により、自身のフェロモンを何かしらの方法で製薬し、それを麻薬の様に彼らは使っているようだ」
「フェロモン生成……いや、麻薬!?」
「今、製薬って言いましたかサー!」
また更に、ここで繋がったかと緑谷と通形は頷く。が、ここでサーが話した内容を改めて頭の中で巻き戻すや『麻薬』さらに『製薬』と言うワードに二人は待ったをかけた。
「ああ、麻薬だ、全国で同じ事件が今起こっていて、捕まった学生から全て大小関わらず、雨谷の個性因子が見つかった……写真だがこれがその錠剤になる」
またホワイトボードの違う写真を指し、これまた以下にも粗悪な麻薬らしい濃いピンク色にハートというお手本の様な、警察の啓発ポスターに載ってそうな錠剤が写っていて、緑谷は頭がくらくらしてきた。
「ミリオ先輩……これ、下手なヴィラン組織よりやらかしてますよね」
「ああ、麻薬製造、殺人に脳無作成、カルトじみた宗教……これ学生だよね彼ら」
無知と若さというのは、時としてなんと恐ろしいものか。規模も重大さも理解してこの学生達はこんな事を行なっているのかと、緑谷も通形もこれらの所業に最早何も言えなかった。
「以上の事から、この雨谷誘魅含め……主犯格の常川法水、ヴィラン名"ミカエル"と、その彼が束ねる組織"聖救国騎士団"を指定ヴィラン団体とし、全国指名手配と逮捕状が下された」
「あぁああ!寒い!なんか背中ゾワゾワした今ぁ!聖救国騎士団んん?それ本当に名前なんですか、ヴィラン組織の!?」
「ミカエル自身が、オールマイト広場で喧伝していた」
「羞恥心とか無いのかな、その子……」
このあまりにもな所業に、いよいよミカエルこと常川法水、及びその傘下に居る雨谷誘魅、彼らが束ねるヴィラン組織"聖救国騎士団"は、正式なヴィラン団体として逮捕状が出たとナイトアイから聞かされる。
その恥知らずな名前と、それを神野で喧伝した行動を知り、緑谷はあまりの恥ずかしさに怖気すら感じながら自らを抱きしめるのだった。
「この件は全国のヒーローに、ヒーローネットワークを通じ共有する、全ヒーローが彼らを捕縛する為全力で当たる事になった、お前たちも明日以降それを念頭に置いてパトロールに当たってくれ、今日は解散してよろしい」
「了解です」
「了解」
ただの学生の、ヴィランごっこでは最早済まなくなった。この事件は全国規模にまで発展し、ヒーロー達が本気で捜査に踏み切るまでになった。
彼らはそんな事も知らず、ただ個性を悪戯に扱う。奥底には、甘い考えが彼らにはあったのだ。
『許される』と。
『本気にはならない』と。
しかし、少年たちはやりすぎたし、もう取り返しがつかない所まで来てしまった。
そして翌日……彼ら"聖救国騎士団"はヒーロー達を、さらに本気にさせる所業に手を染めた。
オリジナルヴィラン図鑑
ガブリエル
本名:雨谷誘魅(あめやゆうび)
*本当の読み方は(あめやゆみ)
妄想Cv玉城裕規(俳優)
救世騎士団のNo.2であり、改造した詰襟に化粧をした女の子じみた少年。元は有名な事務所の子役俳優だったらしかったが、声変わりを恐れた母に去勢され、性転換させられた『レディボーイ』である。
実際、彼女の親は彼を女性に育てようとした果ての凶行であった。名前も女性名で、それを嫌い『ゆうび』と名乗っていた。
それが露呈し芸能界から引退したがいじめられ、そこを常川に助けられてからは彼を崇拝し、楽園建造の為に個性を振るう事となり、その肉体も捧げている。
個性は『フェロモン生成』
自身から好きな命令を実行させるフェロモンを『汗』として分泌できる。それにより『ミカエルに従え』『捕まったら自殺しろ』というフェロモンを分泌し、それを『愛』というドラッグにして信徒に広めていた。