【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「いってきまーす」
職場体験三日目……光活人はいつも通り、自宅から最寄駅に向かっていた。昨日はバブルガールとセンチピーダーの二人についてパトロールして、数件手伝いをした。
帰りには絆定寺と職場体験の地域が被っていた事を知り、もしかしたら職場体験ちゅうに合流したりするかもしれないと淡い事を考えた。
今日も頑張ろう、そう決意を固めてその足が最寄駅に辿り着き、視界に入ると……光は足が止まった。というのも、最寄駅が騒がしく、いつもより人だかりが出来ていたのだ。
「あれ?何かあったのかな……」
駅に近づいた所、金網の先に見えた電車が停止したまま動いてなかった。もしかして人身事故か、運転見合わせか?それだと事務所に連絡を入れないといけないなと、光はスマホを取り出した。
「えっと、ナイトアイ事務所の電話番号……」
そこまで、電話帳のアプリを開いて入れておいたナイトアイ事務所の電話番号をタップしながら、さらに駅へ近づくと……なんとパトカーまで来ていた。
本当に何があった、電話はそれからした方がいいなとなった光だったが、逆に呼び出し音が鳴り響いた。電話の相手は……緑谷からであった。
「緑谷先輩?」
いよいよもって急を要する事態かと、光は応答ボタンをタップして耳にスマホを当てた。
「もしもし?緑谷先輩?」
『光くん?良かった無事だった……』
「えっ、無事って……何かあったんですか?」
緑谷から、開口一番無事の確認が出て、光の心臓が冷たくなった。一体何が起こっているのか、無事を確認する事態があったのかと光は、緑谷に尋ねた。
『実は、今朝ナイトアイ事務所へインターンに向かう途中襲撃を受けたんだ、例のナチ軍服学生に』
「ええっ!?今朝一でですか!!」
『うん、歩いてるところをいきなり』
光は驚愕した、一昨日の軍服学生に緑谷が朝イチで襲撃されたと。しかしこうして電話をかけてきたのならば、無事らしい。
『で、今情報確認したら昨晩かららしい、主要都市のヒーロー科を擁する高校生に襲いかかってるって、東京、福岡、大阪……各地で起こってるみたいで、朝になって一気に活発化していると、だから通形先輩と合流してキミを迎えに行くから自宅に戻って待機してて』
「わ、わかりました!」
緑谷との通話はそこで終わった。まさかそんな事にと光は、すぐにスマホでニュースを確認したら確かに出ていた。『全国で学生が暴動!ヒーローが鎮圧中、各種公共交通機関に遅れ……』とトピックに出ていた。
この辺りは襲撃が無かったのか、全く雰囲気も感じなかったと、光は来た道を戻るのだった。
「さ……て……と……」
スマホをしまい、制服の返り血を払う緑谷出久は、目の前で痙攣している二人のナチ軍服学生を見下ろした。
「は、はが、はががが……」
「!!……!……」
一人は壁に血の線を引いて白目を剥き、身体を預け痙攣し、もう一人はうつ伏せに倒れて痙攣している。多分二人とも頭蓋割れたなぁと思いつつ、壁に倒れかかっている方の襟首を掴み……。
「起きろ」
「へげぇへ!!」
もう一度壁にの顔面から叩きつけてやった。そうしたら無理矢理意識を引き出す事ができて、緑谷は冷ややかに血に濡れた顔面を見つめて言い放つ。
「お前ら、どこから来た?襲った理由は?吐け」
「な、何を……おぼぉおお!!」
要領を得ないなと、緑谷は思い切り右膝を叩き込んでやれば、しばらく息ができなくなり呻きながら吐瀉物を吐くナチ軍服学生に、もう一度説明した。
「吐け、それとも次は血を吐く?」
「ま、待ってぇ、ま、言いますからぁ、ぼ、僕らただ、頼まれたんですぅ……」
「誰に?」
「ウ、ウリエル様に……ヒーロー科の学生を、連れてきたら、天使にしてやるって……」
神野の喧伝の次はヒーロー科の学生をターゲットにした襲撃かと、昨晩からの動きの理由はこれかと緑谷は舌打ちしてさらに情報を絞り出しにかかる。
「そのウリエルとやらは何処にいる?」
「わ、わかりませ━━ぉおごぉああ!!」
そんな事を僕は聞きたいんじゃないと、さらに膝を叩き込み、もう吐ける物は無くなったらしいえづくしかできないナチ軍服学生に、次はないと右手親指を瞼に添えた。
「次は目を失う、言葉を間違えるなよ?」
「ひぃいいい!?」
「どこに、ウリエルは、居るんだ?」
脅しで済まないと、ゆっくり、ゆっくり右手親指に力を込めた緑谷に、ナチ軍服学生は声を張り上げた。
「ご、業寒の!北の廃教会!!ここの支部の信徒はぁ、そこで集まって、ウリエル様の指示をぉ……」
「支部があるのか?」
「ぜ、全国に4か所……ウリエル様は、個性を使って支部を移動して、ミカエル様の指示を!」
学生が吐いた情報に、緑谷はようやく襟首から手を離した。ヒーローネットワークに纏められた情報でも、確かウリエルこと『門脇元次』は、かつてヴィラン連合に居た黒霧に似た遠方へ瞬時に移動する個性を持っているとあったなと思い出した。
「情報どうも、救急車は呼んどいてあげる」
「へげぇあ!?」
緑谷は感謝を込めて、倒れたナチ軍服学生の顎を踏み蹴り、意識を飛ばしておいた。首が変な方向に向いていたが、まぁなんとでもなるだろうと、緑谷はまずナイトアイ事務所に電話をかけた。
「もしもし、イズクです」
『イズクか、出社が遅れてるようだがどうした』
「襲撃受けました、件の学生から、で……自害しないように薬を吐かせてから、情報を吐かせました、業寒の廃教会に連絡拠点があるみたいで、ウリエルが全国に個性を使い移動して連絡係やってると」
『なに……』
「どうします?ナイトアイがいいと言うなら、僕が行きますけど」
緑谷はサー・ナイトアイに、吐かせた情報を語った。そしてこのまま直接、その廃教会に単独で行っていいなら行くがと提案した。しばらくして、ナイトアイから返事は返ってきた。
「ルミリオンとヒカリと合流してから向かえ、今ルミリオンがヒカリを迎えに行ってるからそれからだ、もしもウリエルが居たら確保するならば、人員は多い方がいい」
「分かりました」
一人で行くな、行くなら人数を集めてからだという指示に、緑谷は了承して電話を切った。一人で行って逃したら笑い草で目も当てられない、準備と人員はしっかり整えるべきだとその事実に緑谷は頷くしかなかった。これで一気に、ミカエルとやらに近づくチャンスなのだ、慎重に行こうと緑谷は通形に連絡するためスマホを操作した。
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「……ん?」
絆定寺綾は目を覚ました。薄ぼけた視界がゆっくりクリアになっていき、壁にもたれかかっている事に気付く。辺りを見回せば、自身の部屋ではない違う、知らない場所と理解して、意識はようやく覚醒した。
錆びた配管やら、基盤、それらが設置されてきいきいと、頼りない電球が吊り下がって部屋を照らし、絆定寺綾は後ろ手に縛られている。
「痛った……ここは……」
頭や体の節々の痛みによる意識の覚醒と共に、絆定寺は思い出した。昨晩、光と別れ帰路についたところだった。
『雄英生ですよね』
改造制服の学生に、帰り道を塞がれた事を。職場体験先のヒーローからも話があった、学生ヴィランだと気付いた。絆定寺は即座にその場から逃げた事を思い出す、個性は使えないと律儀に守り、プロヒーローか警察を呼ぶか、人の多い場所まで逃げればと駆けた。
しかし、まだ他に居たらしい、何かは知らないが、個性により意識を失い、今はどこか分からぬここに居る、拉致されたという事かと理解した。
「逃げないと……」
そう言って、絆定寺は後ろ手に拘束している物が何か、指と手首の感覚で確かめた。プラスチック製の結束バンド、安易な拘束に違和感を覚える。捕まえておく気があるのかと、絆定寺は捻るように力を込めれば、結束バンドは千切れた。
立ち上がった絆定寺は、まずドアが開くか近寄ってドアノブを捻り、ゆっくり押してみた。ぎぃぃ、と重苦しい音を鳴らし、隙間からまずここは何処なのか確認するように、左右を見た。
見えたのは、積まれた機材に配管、止まった機械……廃工場の事務所か配電室に自分は閉じ込められていたのかと、ゆっくりドアを開けて、ふと視界の先に見た物を見て、絆定寺は即座に室内に身体を隠した。
「あ、あれって……脳無?」
廃工場らしき外には、白い肌に虚な足取りで歩く、剥き出しの脳みそに目が埋め込まれた化け物、脳無が居た。しかも、何体も見張りのように徘徊していたのであった。
絆定寺綾は、脳無の巣食う廃工場にただ一人、拉致されていたのであった。