【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
「じゃあ後は頼みます」
「わ、わかりました」
ヒーローが、危篤状態や重症人を即時移送に踏み切った場合、救急よりどの病院へ移送するか指示がある。緑谷は指示に従いその病院に向かい、救急の窓口で待機していた医者と看護師、スタッフに後を繋いだ。
気を失ってはいるが、両足と右腕を喪失した中学生が日中に運ばれたなんて、何があったんだとスタッフ達も驚きながら、即座に治療のためストレッチャーベッドに乗せられたウリエルこと門脇元次は、既に意識を失っておりそのまま院内へ運ばれた。
「さ……て……と」
緑谷は病院スタッフの姿が消えたのを確認し、さらに左右に人影が無いかを確認。ポケットから『自分の物ではないスマホ』を取り出して、病院の壁に隠れる様に背中を預けた。
緑谷が取り出したのは、門脇のスマホである。搬送中に抜き取っていたのだ、そう……大変素敵で素晴らしい『情報源』である。
そしてもう片方の手に、自らのスマホを取り出して画面から『あるアプリ』を起動した。なんともファンシーな猫のキャラクター『GANRIKI⭐︎NEKO』が、画面に映されると……データ通信マークを経てカメラが起動した。
そのカメラを、門脇のスマホに向ける。すると『HACK!』とファンシーな文字が映り、緑谷はそれをタップした。ローディングゲージが溜まっていき、溜まり切った瞬間。門脇のスマホの画面が開き、指紋認証画面が映るがまるで本当に認証が行われたかの様に、ホーム画面が開かれた。
こちら、ラブラバ開発のハッキングアプリ『GANRIKI⭐︎HACK』であり、カメラを通してデバイスを撮影すると電波を同期させ、自動的にハッキングして様々なロックを解除し、情報を吸い出せる違法アプリである。緑谷はそれを使い、他のメンバーの所在を割り出そうとしたのだ!
(※完全な違法アプリであり、ヒーローによる一般市民へのハッキングは完全な"違法行為"!!明るみになったら罰せられるわよ!!━━ラブラバ談)
「よーし、じゃあ電話履歴から確認しようか」
緑谷は電話履歴を開く。そこにはもう、律儀に『常川法水』と『雨谷誘魅』そして『那由多解理』と電話履歴があった。緑谷は、常川の番号をタップして電話をかける……そして……。
『ウリエルか?何かあっ━━』
切った。GANRIKI⭐︎HACKを起動した自らのスマホに地図が映る、逆探知も成功したのである。
「所詮はごっこ遊び、情報の秘匿くらい徹底しないからこうなる」
別の通信手段なり用意をしておけと、杜撰な連絡体制から所詮は抉らせたごっこ遊びだなと緑谷は心中で呆れ、地図に現れた常川の携帯の場所をより詳細に理解する為、地図をより縮小していく。そして……あっさりと敵方の所在は割れたのだった。
「ここは……あぁ、確かに人が寄りつかないな、隠れるのにも隠すのにも打ってつけだ」
よりにもよってここかよと、緑谷はアプリを閉じて、ナイトアイに電話をかけた。
「もしもし?サーですか、イズクです」
『イズクか、話はルミリオンから聞いている、何やら個性暴走が起きたと』
「みたいです、で……痛みから正気になったか白状しましてね……敵の所在割れました」
『何っ?』
あくまで"門脇が居場所を白状した"事にして、アプリで手に入れた位置情報を緑谷はサーに語った。
「ミカエルが根城にしているのは……折寺区の廃工場地帯です」
その場所は、緑谷の実家に近しい折寺の旧市街にある廃工場地帯であった。確かにあの場所は誰も寄りつかないし、打ち捨てられて解体されないまま放置されている。子どもが肝試しで近寄ったりするくらいしか無いし、大人たちは危ないから近寄るなと遠ざける場所……いい隠れ蓑にするには十分な場所だった。
『そうか……なら急いだほうがいいな、すぐにヒーローと警察を向かわせる、イズクも現地へ直で行ってくれ』
ナイトアイから意外な指示が降った、普段なら確実に確保する為に日を跨ぐかと思ったら、早急に片をつけたいらしい。
「どうしたんですか?貴方らしく無い……急いでるようですが」
気になった緑谷は何かあったのかと、ナイトアイに尋ねれば、その答えはすぐ返って来た。
『昨晩から、職場体験を行っていた雄英生が一人帰宅してないと先程連絡が回って来た、絆定寺綾という一年生で……もしかしたら攫われたかもしれない』
「えっ」
雄英生が攫われた……まさかの事実に緑谷は表情が固まったのであった。