【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
かつて失った力が、再び甦る。目の前の仇敵を滅ぼすまで、お前は休む事は許されないとばかりに、再び鎧を纏った緑谷は、鎧の調子を確認するように右手を一度ゴミを払うように動かして、変異常川へ向け走り出した。
「かァアああ!」
向かって来た緑谷に、変異常川がビームを両手から照射した!両腕をクロスさせ構わず効いてないと勢いは止まらず、踏み込んだ緑谷の右拳が変異常川のボディを射抜いた。
「げぁあァアああ!!」
くの字に体を折り曲げ、崩落した壁から外に出るほど吹き飛ぶ変異常川!その右拳の跡はくっきり肉体に刻まれて、治る事無く血が流れ始めた!
「こ、ノおぉお!」
歩み寄ってくる緑谷に、変異常川は立ち上がり、傍にあった鉄パイプを掴み殴りかかった!
「シッ!!」
「うバァはぁ!」
しかし、緑谷はその鉄パイプを軽くいなして裏拳を叩き込み、さらに追撃の右サイドキックで間合いを作るや、右手をまっすぐ伸ばした!
「オウゥうう!?」
鎧の右前腕、手の甲の突起が射出されて変異常川に突き刺さる!突起から連なって出て来た鎖のような触腕が、そのまま巻き取って変異常川を力強く引き寄せ、頭部を掴んだ緑谷は、2発、3発と右膝を腹部に叩き込んだ!
「はぁあ!!」
「ごわぁああ!?」
無造作に投げ飛ばして変異常川は転がって行く、緑谷はそのまま間合いを取りながら、立ちあがろうとする変異常川を見た。見れば膝を叩き込まれた腹部には、亀裂と共に、色を失い灰色になっている事に気付いた。
緑谷は自らの右足を見て、そしてまだ立ち上がれぬ変異常川を見るや、息を整え意識を右足に集中させながら、体を屈めた。
立ち上がった変異常川は、屈んで隙だらけと思った緑谷に、羽を広げ飛翔!そして飛びかかった!
「うぁああああアアアあ!!」
叫びと共に襲いかかる常川!対して間合いとタイミングを捉えた緑谷は、常川よりも高く跳躍し、思い切り右足を勢いに乗せて突き出した!
「たあぁあああああ!!」
「ごぼぁあ!?」
咆哮一閃、緑谷の右足が変異常川の頭部を見事に捉えて撃墜!地面に落下した常川の背後に緑谷は降り立ち、緑谷は振り返った。
「ば、かなぁあ、ボクはぁああ、きゅう、せいしゅ!ナノにぃいい!!」
最後に喋ったのは常川か、はたまたAFOか分からない。しかし、悶えながら常川の肉体は不自然な白から、真紅の結晶へ変わっていき、頭部に刻まれた『手』のマークからひび割れが全身に広がり……そして、跡形もなく砕け散ったのだった。
それを見届けた緑谷の鎧もまた、ゆっくり溶けていく様に消え去り、元の姿へ戻っていった。
「結局キミに怪我させちゃったな、申し訳ない光くん」
「あはは、まぁ運が悪かったんですって、でも生きてますから」
脳無達は全て鎮圧され、プロヒーローと警察が脳無工場となっていた廃工場地下へ捜査へ次々入る中、緑谷は担架に固定された光を見つけ謝罪した。
そばを離れるなと言っておきながら、連絡の為にと単独行動をさせた結果、怪我をさせた事は良くなかったと、自らの軽率な判断を悔いた。まさかあの後、上級脳無と接敵して討ち果たしたなんて効いた時は、やはり光活人の才能は間違いなかったと思ったが、運が悪ければ後輩を失っていた事に戦慄した。
「ボクも先輩としてまだまだだ……解決はしたが、反省点が山積みだよ」
事件は解決しても、まだまだ粗があるし危ない判断もあったと緑谷が自省していると、救急隊がそろそろ搬送すると目配せして来たので、車内の席から立ち上がった。
「ゆっくり休みなよ光くん、お疲れ様」
「はい、それでは」
光はそうして搬送されていき、脳無工場に警察達が次々出ては入っていき、証拠物件を回収していく。ここまで巨大な脳無工場と、様々な個性、そして全国規模による薬品での洗脳を行いながら、彼ら学生ヴィランの終わりはあまりに呆気ないものだった。
彼らが手にした力は強大だった、それこそ何か一つ慎重に行動していれば、大規模なヴィラン犯罪となっていただろう。だが結局、与えられた個性も、この見つけた『財産』も、宝の持ち腐れとばかりに振り回されてしまったのだ。
首謀者ミカエル、常川法水は死んだ。
ガブリエル、雨谷誘魅も瓦礫に巻き込まれて圧死。
ラファエル、那由多解理は未完成のハイエンドに踏み殺された。
残されたウリエルこと、門脇元次は……結局治療後に新たなタルタロスへ収監されたらしい。証言台で判決を告げられた彼は、泣きじゃくって必死に許しを請うたが、あまりにも遅すぎた。
彼らはこの事件で、名を刻もうとしたらしいが……今後起きる様々な事件やヴィラン達の活性化により風化を辿る。
以上の、余りにも無軌道かつ、少年たちの気の迷いと、無責任な死をもって。
『†思春期⭐︎グランギニョル†』は、閉幕とさせていただく。