【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
こうして……一週間の職場体験は始まった。1ーA生徒達は方々に散り、プロヒーローとして活躍する者の膝下で、その業務活動を知る事になる。
「鉄哲!?」
「切島!?」
「「なんでお前が!?」」
体育祭の戦友とまさかの合流を果たす者ーー。
「ヒーロー活動の基本は、犯罪の取り締まりだよ?事件発生時には応援要請がーー」
『ガンヘッドさん、喋り方……かわいい!』
担当先のヒーロー、その意外なギャップに驚く者。
「それから、ヒーローには副業が許されてるの、公務に定められた当時はーー」
「もっと……ヒーロー的な活動をしたいんだけどな……」
「いえ!これもプロ入りすれば避けては通れない道ですわ!」
また違う側面と対面する者ーー。
「ヒーローは日々訓練!日々鍛錬だ!パトロール中と言えどもそれは変わらん!」
「は、はい!」
早速洗礼を受ける者ーー。
「ヒーロー活動はね?いかに暇な時間をやり過ごすか?が重要なのよ?あらメッセージ……はぁ?ミッドナイト先輩若い燕捕まえたかもって?」
『え!?ミッドナイト先生彼氏ができたかもって!?』
欲望に駆られ、いいように使われる最中、やべー情報を聞いてしまった者。
「待っていたぞ焦凍……それはそうと、その殺気はなんだ焦凍?」
「いえ、ただやる気に満ちているだけです(必ず一発……股座に入れてやる……)」
因縁と対面し、乗り越えようとする者ーー。
「その身体に叩き込んでやるよ、何が人をヒーローたらしめるのか」
「く、来るとこ間違ったーー!?」
やらかした者ーー。
そして、緑谷出久はーー。
「おう、よう来たのう小僧……じゃあ早速、ヒーロースーツに着替えろや」
「え?」
「ワシが鍛えてやる、思う存分打ってこいや」
かつて、オールマイトの担任であったグラントリノの事務所に職場体験を決めたのだった。ミッドナイトからのアドバイスにより、まだゆっくり自分のなりたいヒーローを見定めなさいと言われた緑谷は、それならばこの職場体験という期間、修行に費やして更なるステップアップをする事に決めたのだ。
やがて見えた自分になる為、更なる研鑽を持って準備をしよう、そのためにオールマイトから頂いたグラントリノの事務所を届出に記したのだ。
そして、数時間後ーー。
「がっはぁああーー!?」
緑谷出久は……人生において初めての経験をしていた。手加減したとはいえ、オールマイトとの手合わせも、体育祭の轟との死闘もこうはならなかった。
「おやおや、昼から始めて夕方……一撃も当てれんとはのぉ?正統後継者が聞いて呆れるわ」
全く、手も足も出ない!いや、手も足も攻撃も出せるが、触れる事すらも、何より新たに手にした『引っ張る』力すらも、グラントリノを捕まえ、捉える事が出来なかったのだ。
「くそーーこんな事……」
「初めて、か……?」
「恥ずかしながら……」
身体中が痛い……というか、本気で殴られていたら自分は一体『何回死んだんだ?』頸部、胸骨、背骨……軽く打たれた場所を何度やられたのかと自問自答する。もしも……ヒーロースーツの防御力が無しだったら、身体機能を奪われ寝たきりになった姿が見える程であった。
「お前さんの事はあの正義馬鹿から聞いている、孤独で頼れる大人は両親だけ、師も先生も無しに、ひたすら自分でここまで強くなった、なるしかなかったと」
「…………」
「その努力と狂気は見事だ、故に貴様には……重大な弱点がよく見たら存在する」
グラントリノは、狂気と努力の果て、1人でそこまで行き着いたのは認めると褒めた、だがその道の果てにできてしまった弱点、それを見つけたと緑谷へ指摘した。
「弱点……」
「おまえさん……同じクラスの尾白とやらとの組手は負け越しておろう?」
「そんな事まで……」
互いに格闘技を武器とする尾白とは、研鑽のため組み手をたまにする仲だった。しかし……ヴィラン連合襲撃、体育祭と様々な活躍を見せたに関わらず、尾白との組み手においての緑谷の成績は現在……。
35戦10勝23敗2引き分け
練習の組み手で負け越している、加減も互いに分かっているが、それでも尾白と戦えば、爆豪と轟達と戦うのと全く違ったのだ。
「師や先生が居ないが故の貴様の弱点……それは……所々見える大きな隙じゃ」
「隙……」
「お前さんは余程、様々なヒーローを真似てきたようじゃ、それを集めて……形を作り、落とし込んできた……それは味こそはいいが見てくれは悪い、巨大な、人には出せぬ、売れぬ、客の事をかんがえちゃおらん、自分よがりな団子と言えばいいかの」
「お団子さん」
「そう、お団子さん、言い方可愛いのおまえさん、夜は団子にするか、まぁつまりおまえさんは、ヒーローたちの技を自分自身の力ににしたと思っとるのが、モノマネだけで強くなっとるわけじゃ」
団子を捏ねるような仕草で、今の自分の弱点を説明する。
「故に、攻防の移り変わりや、次に行う攻撃の取捨選択が下手すぎる、コンビネーションの繋がりが、あるようで無い、もしも……さらに強いヴィランを前にした時おまえさんは、叩きのめされよう」
「そうですか……」
振り返れば確かに、オールマイトとの試し合いでそれが分かったかもしれないと思い返す。
「じゃが……それは強みとなる、お前さんの背中には、空想、虚構とは言えたくさんの師匠が居る、決して無駄だったわけでは無い……今よりおまえさんがやるべき課題は……この一週間でそれらを紐解き、再編成し、新たな戦いの術を作り出す事じゃ!!」
「新たな……戦い方……」
自分の戦い方を、新たに作り上げる!それがこのグラントリノの元にて行う職場体験の課題!!
「あえて、それに名をつけるのであればこう呼ぼう!ヒーロー・アーツ!!ヒーローがその経験と鍛錬の果てに辿り着く、ヒーロー自身を象る戦闘技術!!おまえさんは、この一週間でわしとの実践訓練と夜のパトロールで作り上げる事になるだろう!!」
「ヒーロー・アーツ……!」
「ここまでよく1人でたどり着いた、貴様をわしが、一人前のヒーローに恥じぬように鍛えてやる」
いつも……1人で頑張ってきた。誰も何も教えちゃくれなくて、ひたすら闇の中を掻き分けて、暗中模索の日々。道標無き荒野を歩く日々、少年はようやく……『道』を見つける事ができたのである。
だからこそ、自然に、緑谷出久は正座をして、師である、師となってくれたグラントリノに、床に頭をつけて言った。
「御指導、よろしくお願いします」
この日少年は、初めて『本物』の師匠を得たのであった。