※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

664 / 697
494話 日本ヒーロー絶望の日①

 ヒーローがヴィラン犯罪現場に到着するまで、平均してどれ程の時間が掛かるかご存知だろうか?

 

 現場から管轄の県警へ通報が入り、警察からヒーローネットワークおよび、通報アプリにより近隣プロヒーローへ通達されるまで、5分かからない。

 

 仮に現場近くにいれば、余程の事が無ければヒーローは駆けつける!

 

 日本のヒーローが、現場に到着するまでの時間は平均して……57秒!!1分を切るという超スピードである!!

 

 ただし!それは群訝山荘の事件以前のヒーロー飽和社会の時の話!ヒーロー社会崩壊後、現在のヒーロー現場到着時間は……。

 

 平均して4分である!!

 

「そら、飛んでけ」

「うわぁああ!?」

 

 目の前に突っ立っていた刑事らしき私服警官の首を鷲掴みにして、襲撃者は別の警官へぶん投げてやった。ドミノ倒しに倒れる警官をよそに、ずいずいと目的の場所へ悠は向かう。

 

「止まれ!止まれー!!」

 

 県警本部に襲撃をかけてきたヴィラン相手に、発砲許可など待つわけにいかない。背後に回った警官が配給されたニューナンブの引き金を引いて発砲音が響き渡る!

 

 コートの背中に数発命中した、確かに当たった!しかし!!

 

「狙うなら頭を狙うべきだったな、まぁ38口径では俺の頭蓋は砕けんがな?」

「き、効いてない!?硬質化の個性か!!」

 

 コートから床に音を鳴らして弾丸は落下した、全くの無傷にこの襲撃者は『硬化』の個性かと警官は言う。襲撃者は振り返るや、右手の人差し指を立てて左右に振った。

 

「全く違う、まぁ……俺を構成する一つではあるか……なぁ!」

「うぉああああああ!?」

 

 そして、右手を銃の形にして撃った素振りを見せた瞬間、襲撃者の人差し指から放たれた紫色の炎の弾丸が、警官に命中し、刹那の内に全身へ延焼し、床に転がった。

 

「だ、だれか消火器!急いで!!」

 

 警官は即座に床に転がり消そうとするが消えない!近場の婦警が消火器をと声を上げて、即座に持ってきた警官が火だるまの同寮へ噴射した!

 

「ああ、あつ、いぃい……ああ……」

「き、消えない!?どうして!!」

 

 だが、消火剤を噴射しても紫色の炎は消えず、火だるまにされた警官はやがて手を伸ばしながら灰へ成り果て焼滅したのだった。

 

「数がいるとやはり煩わしいな……と言うわけで、塞がせてもらう」

 

 しかし、やはり人数が多いとなった襲撃者は、右手の手のひらに紫色の火を灯すと、思い切り腕を振るった!

 

「うわぁあなんだぁ!?」

「炎の……壁!?」

 

 警察署内の奥への道を塞ぐように、メインエントランスを分断する紫炎の壁がごうごうと燃え盛った!それにより火災報知器が作動し、スプリンクラーが水を噴射し始めるが、火は決して消化されない奇妙な景色が出来上がっていた。

 

 これで自分を阻む者が減ったと、嬉々として奥に歩く襲撃者は、館内マップが壁にあるのを見つけ、依頼主が欲する物がある場所を見つけた。

 

「地下か」

 

 お目当ての部屋は地下にあり、さて目の前にエレベーター、そして階段と襲撃者は降りる手段を二つ見つけ、悠々と階段を降りていくのだった。

 

 

 駅に着いた緑谷は、自宅の折寺までの乗り換え、切符を探していた。知らない街の駅から自宅の最寄り駅までを調べたら、2回乗り換えが必要と知って、意外に面倒な場所に来たなと顔を顰めた。

 

「次のは……げっ、30分後ぉ?」

 

 そして、次の電車が来るまでしばらく待たねばならないと来た。とことん間が悪いなと、とりあえず切符を買って構内にコンビニもあるので、朝食でも買って時間を潰すかと、切符代のボタンを押して硬貨を入れていった。

 

『臨時速報です、神奈川県警察本部が、ヴィランの襲撃を受けたと情報が入りました』

「えっ」

 

 入れ切る手前、最後の100円玉を入れかかるところで、駅構内モニターでニュースが報じられて、緑谷は振り返った。構内の人々もそのニュースに立ち止まり、モニターを注視し始めた。

 

『現在、神奈川県警察本部にヴィランらしき男が車で正面から突入し、警察は交戦を続けているとの事です、ヒーローへの通報も既に行われていますが、ヒーローの人数減少に伴いまだ到着していないとの事、近隣の皆様は避難し、周辺の方も近づかぬようにお願いします』

 

 仮にスマホを持っていたら、ヒーローシグナルが鳴っていた。そして即座に駆けつけていた筈、今この瞬間にもニュースで流れる神奈川県警察本部の大惨事に、緑谷は入れっぱなしの切符代も構わず、煩わしいと最後の一枚すら投げ捨てて駅の出口へ駆けて、出るや否や自らを空に引き寄せ飛翔した。

 

「さて、こんなものか……しかし先方も欲しがる理由も分からんし、こんなものが何故神奈川県警察の保管室にあるのやら」

 

 襲撃者は証拠保管室の冷凍庫から移送用ボックスに補完品を詰め込み終え、PCのUSBポートよりUSBを引き抜いて懐に入れた。補完室を担当していた者たちは全て、その顔面を砕かれ鮮血を散らして痙攣したり、灰となって姿をこの世から消していた。

 

 ボックスを持ち、襲撃者は保管室のドアを蹴り開け、悠々と来た道を戻り地上を目指す。が、そのまま帰さぬとばかりに早速ヒーローは馳せ参じた。

 

「随分な真似してくれてんなぁ、ヴィラン!!」

 

 坂だった髪の毛に露出した牙、立髪を模したヒーロースーツ!彼の名はライオンヒーロー"シシド"!

 

 ヒーロービルボードチャート13位のトップヒーローに数えられ、鯱ヒーロー"ギャングオルカ"とはライバルとして知られている!

 

「随分と……来るのが遅いなヒーロー、やはりAFOとの戦いに社会崩壊は、こうまで傷を浮き彫りにするか」

 

 左手につけた時計で来るまでの時間を確かめた襲撃者。シシドの背後にも所属サイドキックが流れ込んで現れる!

 

「ヴィランに心配してもらうほど柔じゃねぇよ日本のヒーローは!テメェら手を出すなよ!!」

 

 売り言葉に買い言葉、シシドは咆哮と共に四つ足で走り抜け、襲撃者に襲いかかった!襲撃者は補完ケースを傍に置き、両手を広げるやシシドの手と指を絡め、力比べとばかりに迎え打つ!!

 

 ライオンヒーロー"シシド"!

 

 個性『ライオン』!!

 

 その身に百獣の王ライオンの力を宿すワイルドパワーのヒーローである!!その膂力も凄まじい!!

 

 ……その筈だった!!

 

「それが獅子の個性か?まるでじゃれにきた子猫と変わらんな」

「な、あ!?」

 

 ギリギリと、絡む指の力と押しているはずが全く微動だにしない様にシシドは戦慄した!しかもだ、こちらは足の力がしっかり込められた前傾姿勢かつ、踏み込んでいるのに……襲撃者はその場で立ってシシドの力に対抗しているのだ!

 

「シシドさんが、そんな!?」

「こんな事があり得るのか!!」

 

 サイドキック達も、彼について来てこんな光景は初めてだと驚愕する!!

 

「が、あ、くそぁああああ!!」

「つまらん、去ね子猫よ」

 

 まるで期待外れだと冷たい眼差しをシシドに向けた襲撃者は、シシドの両腕をそのまま捻り上げた。瞬間、シシドの両肘は逆方向に折れ曲がり骨は肉と皮膚を突き破った!

 

「ぎ、やぁあぁああああーーー?!!」

 

 激痛に叫んだシシドだったが、その側頭部に右の回し蹴りが放たれ、その肉体が二転、三転と空中で回る。

 

 その威力はシシドの頭蓋を砕き、頸椎にすらヒビを至らせ意識を彼方に蹴り飛ばすには十分で、壁面に叩きつけられたシシドは、無惨に白目を剥いて血の泡を吐き、両肘内から露出した骨を晒して血溜まりを作り上げるのだった。

 

「シ、シシドさ━━」

 

 サイドキックの一人が、悲痛の叫びを上げる間に、襲撃者の姿は眼前まで既に到達し、その叫びすらも奪うように拳が顔面を粉砕。力のままに肉体は床に後頭部を叩きつけ頭蓋を砕き、血が割れた水風船のように拡散して、他にも追従していたサイドキック達も、瞬く間に壁や床に鮮血を散らした。

 

 シシドとそのサイドキック達は……数秒すら止める事叶わず、襲撃者は階段を上がっていくのだった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。