【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
ヒーロー達が、たった一人のヴィランを前に成す術なく倒されていく。そして決着をつけに来たヴィランの一撃を阻止したのは、まさかの意外なるヒーローであった!
「ウオシャアアアッ!(怨龍!貴様の好きにはさせぬ!!)」
現れたそのヒーローのシルエットは、決して戦いに向かない姿。ふとましい足に、ドラム式洗濯機の前面に、縦穴式の蓋から覗く目と、洗濯機のマスコットキャラを思わせる彼は、ヒーロービルボードチャートJP8位のヒーロー。
子どもも大人も、彼の洗濯用洗剤のCMソングを歌えない者はいない程の人気を誇るヒーロー、洗濯ヒーロー"ウォッシュ"が、遅れて参じるや怨龍の炎を自らの個性『クリーンボブル』で消し去りながら飛び蹴りで横腹を蹴り抜いて吹き飛ばしたのだった!
これにはベストジーニストも、シンリンカムイも面食らった。仮にだが、他のプロヒーローがこの光景を見てもほぼ同じ反応をするだろう!何故ならば!!
「ウォッシュが……飛び蹴りを放った!?」
「ウォッシュ先輩が、近接戦を!?」
"あの"洗濯ヒーローウォッシュが!徒手空拳で戦う姿なんて、見たことも聞いた事も二人はなかったのだから!!
Q.道行く人々に聞いてみた!!ウォッシュの戦う場面を見たことありますか!?
A1.「えっ!?いや……見た事無いです……CMで敵役のマスコットを倒したりとかは見た事ありますけど」(30代主婦)
A2.「えー?言われてみれば、救助とかでは見た事あるけど……救助専門じゃないんですか?」(40代会社員)
A3.「そう言えば、なんか一撃でヴィラン吹っ飛ばしてたのを見たけど……あれ?明確に見た事ないな思えば、俺が見たのってすげー珍しい!?」(20代アパレル店員)
A4.「ありますよ、ウォッシュさんって近接戦闘がとても強いんですよね、まず彼は救助専門なのと、子ども達を怖がらせない為に極力戦いを避けるんで見る事がレアケースですからね…0戦わなければならない際にはそりゃもう強い……特に例を挙げるなら2年前の浄水施設襲撃事件で━━」(10代緑髪の雄英生)
『洗濯ヒーローウォッシュは、救助活動と子ども人気でその地位に居る』
実しやかに囁かれるこの噂……だが、考えてみて欲しい。かつてのオールマイトがNo.1の時代から、ウォッシュはこの順位に居た!
同じように、子ども人気を狙ってデビューしたヒーローが数多の数居る中で、マスコット人気だけでここまでの順位を保持し続ける事が出来ようか!
出来るわけがない!ヒーローは、無力の人々を救うための存在!時として戦う場面に遭遇して、全く勝てない、戦えないヒーローがビルボードチャートに名を刻めようか!?
そして今、ヒーロー達の窮地にウォッシュは……振るわぬ拳を握りしめて構えたのである!!
「……今の蹴り、その姿……」
対する怨龍は、仰向けに倒れた身体を跳ねて起こし、構えるウォッシュを見つめ歯を見せて笑い言い放つ!
「御手洗か!お前がまさかウォッシュだったのか!?久しいなぁ……その装いは俺の呪い火の火傷を隠しているのか!」
「えっ!?」
「なにっ!!」
怨龍がウォッシュを『御手洗』と呼んだ、珍しい話ではない、ヒーロー名鑑やチャートにのるヒーローの個人情報は意外にも載っており、ウォッシュの本名が『御手洗濯(みたらいすすぐ)』というのも調べればわかるし、プロヒーロー達も認知していた。
だが、ベストジーニストとシンリンカムイが驚いたのは、怨龍がウォッシュに親しさを感じさせる反応と言葉を見せたからである!そして!
「……よくもそのような口を聞けたな!!かつての我が兄弟子怨龍よ!俺は、貴方が行った凶行を今日まで忘れずに生きてきたのだ!!」
「「!!!???」」
中継ヘリが上空に対空しているが、声を拾わなかったのは惜しい事この上なかろう。
あのウォッシュが……日本語普通に喋ったのだから!しかも声が渋かっこいい!!あのウォッシュ語はキャラ設定だったらしい衝撃の事実にベストジーニストもシンリンカムイも驚愕の連続で身体が動かなかった!!
「怨龍、我が兄弟子よ!我が師、そしてお前が秘奥の為に灰にした弟弟子達の無念!今俺が、ここで晴らす!!」
ふとましい足が、怒気と共に地面を踏み鳴らした。錯覚ではない、ベストジーニストとシンリンカムイは確かに、ウォッシュの震脚に地面が揺れたと実感した。
「日本の温さにその拳は錆びついていないか?御手洗よ?いいだろう、この場だけはかつての兄弟子として相手をしてやる」
ウォッシュがまるで、地球を掴むようなどっしりとした広く足を広げた構えに対し、怨龍は自然体に右手は顎、左手はだらりと垂らしたオーソドックスかつリラックスが見て取れる構えを取った。
ジリジリと間合いが、摺り足で狭まっていく。Mt.レディが倒壊した建造物の破片が、ゆっくりとずれ落ちて、砕けて音が鳴った瞬間━━二人は互いに踏み込んだ!
ウォッシュと怨龍の間に交差する拳と蹴の交差が、風を切り空気を鳴らし、互いの肉体がぶつかる低い音を響かせる!一撃一撃が交差し、風を呼び、ベストジーニストとシンリンカムイに、躊躇すらさせた!
踏み込めない……!今この場で、ウォッシュの助けに踏み込んだ瞬間、自分たちがウォッシュの隙になりかねないと感じた!さながら、神野でオールマイトがAFOと戦った時のそれに近いと、二人はただウォッシュと怨龍の戦いを見守るしかなかった!
「ほう?拳速は衰えていないな……だが、そのヒーロースーツでなければ俺に追いつけぬあたり、傷は深いと見た!」
「吐かせぇ!!」
交差する拳を跳ね除けたウォッシュが、右の肘で怨龍の顎を跳ねあげ、さらに踏み込むや足を払い、その洗濯機ボディで思い切り体当たりを叩き込んだ!
その一撃に、怨龍は背後の警察署の正面詰所まで吹き飛ばされたが、空中で身体を転じさせ詰所を足場にして跳ね返るように戻ってくると、右足でウォッシュのボディに蹴りを叩き込んだ!
ウォッシュはそれを両腕でなく、そのボディで直に受け止めれば、洗濯機ボディの一部は砕け散り、露出した様々なパーツの下に包帯で巻かれた痛々しい、ウォッシュの本来の姿が見えた!
「ヒーロースーツに助けられたな、御手洗」
「ぐっ……!?」
互角に渡り合っていたと思われた戦いは、ヒーロースーツを砕かれたウォッシュが片膝をついた事で、その希望を打ち砕いたのであった。
御手洗濯(セキアカバース)
年齢:30歳(原作は29歳だが、1年経過しているので)
Cv.玄田哲章
洗濯ヒーロー"ウォッシュ"その人であり、ヒーロースーツの中の人。普段はウォッシュとしてそのキャラクターを演じて、救助活動を重視して活動していた。洗濯機の異形型ではなく、洗濯機型のヒーロースーツを着込んでいたのである。
が……『戦うとめちゃくちゃ強い』と噂が流れており、実際戦闘を目撃した事がある一般人曰く『そういえばヴィランぶっとばしてたな……』と、思い返したらそうだったようなと目撃例が少なかった為、噂に留まっていた。
その真実は、正しく事実であり、トッププロヒーローが怨龍に倒される中、互角の勝負を演じてみせた。
そして……怨龍とウォッシュは、かつてのある武術の門派において兄弟子と弟弟子の関係であったと言う。