※この作品はR-18です。

【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】   作:ぶっこ抜きデク

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497話 叔父と甥の会合と戯れ①

「惜しかったな御手洗、やはりその身体で俺には爪すら届かないか」

「く……そぉ……」

 

 片膝を着き、砕かれたヒーロースーツから包帯巻きの肉体を晒し、上蓋から覗く眼光は鋭くも、ただ止めれぬ悔しさにウォッシュは、もう片方の膝も地面に着いた。

 

 怨龍は時計を確認し、まだ戦う意志を持つベストジーニストにシンリンカムイを見て、2人に言い放つ。

 

「ところでだ……本部地下の子猫ヒーローだが、さっさと運ばねば死ぬぞ?そこな吹き飛ばした輩2人も心停止している……警察署内には死ぬか生きるか瀬戸際の奴らも多々居るが……ヒーローよ、どうする?まだ俺と遊んで救える命を減らすか?」

 

 ここに来て2人に突きつけられる究極の選択!ヒーローよ、傷ついた仲間に警察たちは助けを求め死の淵を彷徨っている、お前たちは俺と遊んで救わずに放っておくのか?それとも、悪である俺を見逃して命を救うか?選択肢を与えた怨龍は、保管ボックスを片手に首を回し、2人へ言い放つ。

 

「俺はもう十分楽しんだのでここを去る、人命か、はたまた俺か……ただでさえ人が居ないのだ、よく考えて行動しろよ?ヒーロー……」

 

 ヒーローがやるべき事はよく知っているだろう?被害を出した本人から煽り散らすように言われたが、ベストジーニストもシンリンカムイも口惜しい事この上無く……。

 

 怨龍が、悠々と歩き出すのを止める事ができなかった。

 

「シンリンカムイ……我々で、可能な限り救助を……」

「……はい!」

 

 後詰のヒーロー達がまだ来ない、サイドキック達も動いているが被害が甚大過ぎる!ヒーローとして、一番に優先すべきは人命だと、2人はヴィランを後回しにする事にした。

 

 即ち……敗北宣言である。

 

「あと数分か……案外時間が余ったな」

 

 思いの外早く終わってしまったと、ヒーロー達が救助に向かうのを後ろに見てから、時計に目をやり、怨龍はそのままゆっくり歩き出した。さながら勝者の凱旋であった……しかし。

 

「む?」

 

 彼方から、飛来する姿を怨龍は見た。また違うヒーローが遅れて到着したかと、立ち止まると、少し離れた正面にその者は着陸した。

 

 ヒーロースーツではない、制服だ。たしか雄英高校、ヒーロー科の名門校の制服だ。プロでも無いのに、義憤で駆けつけたのかと怨龍は立ちはだかる雄英生に言い放つ。

 

「退け学生、貴様如き若造が俺を……」

「悠叔父さんで、あってる?」

「む?」

 

 が、その台詞も遮られ、ようやく怨龍は……いや、緑谷悠は気付いた。そして、先程の弟弟子との再会よりも、口端を吊り上げて目を爛々と輝かせ、悠は声を上げたのだった。

 

「出久か……!そうか、そうか!今日か!!ようやく会合でき」

「怨龍ぅうううううぁあああーーーー!!」

 

 その一撃は、『怨龍』緑谷悠からしたら、避けるも、防ぐも簡単すぎた。逆にカウンターを叩き込める程に予兆が見て取れた、力任せのテレフォンパンチ。しかし怨龍……いや、この瞬間だけは『叔父』の緑谷悠は、甥の放つここまで鍛え、研ぎ澄まして来た拳を顔面で、最後までその目で見ながら笑顔で受け止め……。

 

 込められた膂力に地面から身体は浮き上がり、宙を二転、三転、いや四転して、その身体を地面に大の字にして落下したのであった。

 

 景色の明滅、顔から広がる鈍痛。口の中が切れたのはいつぶりか……悠は上半身を起こし、怒りに震え浅い呼吸を繰り返しこちらを見下ろす、ヒーローとなった甥っ子を見上げた。

 

「いいパンチだな出久、流石AFOとその依代を退けた男だ」

 

 素直な喜びがこの男にはあった、覚えてなかろうが……かつて拳の握り方を教えてやったのが自分でもあったのだ、有した個性の恐ろしさも知っていて、批判や中傷を受けてなおヒーローとなろうとしている事も知っていた。

 

 叔父と甥、感動の再会その一時……となる訳もなく。出久の手が悠のコートの襟を掴み上げて引き上げ、怒鳴り散らした。

 

「答えろ!この惨状!!お前がやったのか!!ヒーローを、警察をこうまでしたのはお前なのか!?怨龍!!」

 

 怒りと、動揺と……何とも思春期らしい眼差しに、悠は笑みがさらに深まった。そんな甥っ子に悠は優しく答えてやるのである。

 

「ああ、俺がやったが?」

「何で!!」

 

 出久の眼差しに、さらに悲痛が混ざる。知ってかしらぬか、父からは聞いたか聞いてないかは知らない。だが、そんな理由はお前も理解できるだろうと、叔父は甥に言い放つ。

 

「分かるだろ出久?ヒーローのお前なら……俺はお前の倒すべき相手……お前の叔父さんは、とってもとっても悪い屑のヴィランなんだぜ?」

 

 悠の告白に、出久は歯を食いしばった。信じたくなかった、嘘だと思いたかった。ただの同姓の、無関係な男なだけだと……。

 

「……ぁぁぁああああああああああーーー!!」

 

 怒りと悲しみのないまぜの感情に力が入る。信じたく無い現実を振り払う様に、獣じみた咆哮を響かせた緑谷は、右手の拳を握り振りかぶる。

 

「いい顔だ!!あらゆる感情が見て取れるぞ甥っ子よ!!」

「あぅう!?」

 

 拳が振り下ろされる前に!悠は出久を引き込み腹に蹴りを放った!さながら柔道の巴投げの様に出久は宙に放り出されたが、猫の様に身体を捻り受け身を取り、立ち上がった叔父と……いや!

 

 ヴィラン『怨龍』と、対峙する!!

 

「情け無いヒーロー達のおかげで時間はまだ少しある……叔父と甥の素晴らしき再会を祝して遊んでやろう!来い、出久!!」

「ふざけるな!ふざけるなぁあああ!ヴィランがぁあああ!!」

 

 世界中の悪が恐れる若きヒーローと、AFOすら逃げ出した地上最強の悪が、今この場で衝突したのだった。

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