【原作完結】僕の脊髄ぶっこ抜きアカデミア【オリジナルストーリー開始】 作:ぶっこ抜きデク
『ヴィラン恐怖の象徴』とまで呼ばれた若き英雄と『時代最強のヴィラン』と呼ばれた両者が、遂に激突した!
出久の手足から放たれる、風を切るほどの拳が、蹴りが!悠に向かう!
「単調だぞ、怒り任せは良くないなぁ出久?」
その全てを、悠は身体を軽く傾けて避け、時には緑谷の拳を右手で弾いて軌道を変えて逸らし!蹴りを右足で軽く蹴り弾き!足底で止めていなし防ぎ切っていた!
まるでそれは、はるか昔のカンフー映画にて、弟子が師に挑む組み手の如く!幼年の甥っ子とヒーローごっこを楽しむ叔父のように!出久の攻撃全てがあしらわれてしまったのだ!
「ぐっ、く!舐めるなぁ!!」
「お?」
出久はならばと、弾かれた瞬間に叔父の悠の頭部を引き寄せて体勢を崩しにかかった!前のめりになる悠に、迎え撃つように右膝を放った!
「惜しいな」
「えっ!?ぐぁあ!!」
だが!悠はその膝を首を捻り掠らせる程度に回避するや、引き寄せられた勢いのまま逆立ちとなり、身体を捻った勢いを右足に乗せて出久に叩き込んだ!
スパァン!と、左頬を弾く気味のいい音が鳴り響き、出久の肉体は錐揉み回転して倒れ、悠はそのまま勢いつけて飛び上がり立ち上がった!
「魚跳ねれば水も跳ねる、自然の理というやつだ、分かるか出久?」
「なにを……!」
「俺に一撃入れるには、些か単調が過ぎる」
「師匠気取りかぁ!」
出久からすれば、目の前の叔父はヴィランでありながら、戦いの最中に口舌を垂れて教えを説こうとしている。ふざけているのかと、起き上がりながら低姿勢からの後ろ回し蹴りで奇襲を掛けた出久だったが!
「甘い」
「うわぁあ!?」
蹴りを放つ最中の臀部を押し蹴られ、放つ前に潰されたのだった!出久はそのまま蹴り転がされ尻餅をつく形になってしまった。
出久は思い出す……これはまるで、一年前の時と同じだと。
すでに亡き師である『グラントリノ』の下での職場体験。一週間の短い間だったが、初日は手も足も出ずめった打ちにされた。
そして、一年一学期の期末試験での、オールマイトとの戦い!あの時にも力の差に、確かにその身を包んだ『感覚』が、今目の前に居る叔父である怨龍、緑谷悠を前にして起こっている!
凄まじい力量差の相手を前にすると……まるで全てを見透かされて、何も出来ないと、勝てないと感じさせる虚無感と虚脱!!怨龍を見上げる出久の表情が、やるせない無力感に歪みつつあった!
「う、うぁあああああ!!」
「お、まだやるか?」
声を上げて立ち上がり、拳を、蹴りを放つ。しかしそのどれもが、怨龍にすかされ、止められ、当たりもしない!
数々のヴィランと戦って、倒して来た!凶悪で、強くて、一筋縄じゃいかない奴らばかりだった!仲間の力を借りて、世界を牛耳る巨悪だって超えて来た!
それでも、この目の前の一人には届かないと言うのか!?
出久の全てをいなす悠は、そろそろかとばかりに、構えて前に出して攻撃を弾く為の左手を、ここに来て握った。
「ふん!」
「!?」
気合いと共に、放たれたジャブじみた怨龍の左の拳……出久はそれを目視で捉える事ができなかった。
放ったのかすら見えず、握った拳が既に引き戻されていて……ただ、制服の胸板の中心にめり込んだ跡がすでに出来ていた。そして、衝撃が背中を突き抜けて……呼吸が止まった。
「━━ッッか……!?」
「そらっ」
次いで、感じたのは刃物で刺し貫かれた様な感覚。悠の右足の爪先が、止まった出久の鳩尾を深々と射抜いた。全くの脱力の間に放たれた追撃は、腹筋を固める暇も身体を逸らし避ける事も出来ず直撃し━━。
緑谷出久の両膝を、地面に着けさせるには充分すぎた。
「ぐ、ぐぇえあ!うげぇええ!!」
腹を押さえ、抗えぬ吐き気をそのまま吐瀉物にして出久は呻く。信じられない光景だ……あの『恐怖の象徴』とまで呼ばれた少年が!AFOや死柄木弔、様々なヴィランを打ち倒しその名を轟かせたイーヴルヒーローが!!
手も足も出ず、自らの吐瀉物に顔を埋め倒れ伏す姿など!
「どうした出久、ここまでか?ほら、頑張れ頑張れ」
「ぐ、ぐぅう!」
笑みを浮かべ煽り散らす悪党に、出久はむしろスッキリしたと自らに言い聞かせ、わなつく足で立ち上がる!そして……!まだ全てを出してはいないと腰元に両手を交差させた!
「む?」
こればかりは悠も、目を丸くした。出久の所作と共に浮かび上がった生物の様なベルト、更には彼の言い放ったセリフに驚かされた。
「変身!!」
ベルトが輝きを放ち、触手が出久の体を覆い尽くし、異形の姿へ変えていく。それを見た悠は、思わず"ほう?"と口から感嘆が漏れたのだった。
「凄いじゃないか出久!特撮の変身ヒーローみたくなれるのか!!」
「はぁああ!!」
「むぅう!?」
『象徴と破滅の鎧』を纏った出久の右ストレートが、ついに悠の顔色を変えた。甥っ子が残していた奥の手に感激する間も無く、片手で捌いていた悠は、右腕と右足を上げて盾の様に使いその一撃を受け止めるも、その力に後方へ押し込まれた!